いつまでも輝く女性のために…今月の特集!

更年期の不安、気分の落ち込み、うつ気分との上手なつきあい方

女性ホルモンと環境の変化が、うつ気分の引き金に

 女性ホルモンのエストロゲンは、女性の身体の機能を正常に保つ重要な働きをしているホルモンです。
 そのホルモンの分泌量が急激に減少するのが更年期(おおむね45~55歳の時期)です。女性なら誰もが通る道とはいえ、どの女性にとってもはじめての経験です。これまでとは異なる心身の状態に不安がつのり、心の不調を訴える人は決して少なくありません。

 更年期の心の不調は、なぜ起こるのでしょう。

 ひとつは、前述したように、エストロゲンの分泌量が急激に減少することの影響です。エストロゲンには、気持ちを安定させる働きがあるため、エストロゲンの分泌量が減少するだけで、感情のコントロールが難しくなり、不安や気分の落ち込み、うつ気分に陥る人がいます。

 さらに、女性を取り巻く環境の変化も挙げられます。更年期は、多方面から必要とされて充実している反面、家庭や職場、地域などで、強いストレスにさらされることが増えます。

 例えば、子どもの将来、家族や親、友人の病気や死、介護、相続やお墓、パートナーとの関係、仕事の重圧、老後の生活資金など、すぐに答えの出せない難問が次々と起こりやすくなります。

 問題がひとつやふたつなら、なんとか乗り越えることができても、4つも5つも重なると、限界を超えて対応できなくなることもあるでしょう。

 また更年期は、見た目や体力に加齢の影響があらわれはじめる時期です。自分の老いとどう向き合い、どう受け入れていけばいいのか、戸惑い悩む人も少なくありません。

 更年期は身体の面でも、人生においても大きな転換期ですから、これまでとは異なる出来事に不安を感じやすのです。

つらいときは婦人科が強い味方になります

 更年期の心の不調の強い味方となるのがクリニックなどの婦人科です。婦人科というと妊娠や出産、女性特有の病気の治療をする印象が強いかもしれませんが、更年期の不調に対する治療も、婦人科の大切な役割のひとつです。

 「女性外来」「更年期外来」という看板を掲げていたり、更年期障害の治療に力を入れていたりする婦人科なら、更年期特有の心の不調についても、さまざまなアプローチをしてくれます。

 更年期の不調は平均すると2~3年ほどで治まりますが、中には5年以上長引く人もいます。医師や医療機関とは相性もありますから、体や心の調子が傾いてから自分に合う婦人科を探すのは、意外と骨の折れる仕事です。

 少しでも元気なうちから、定期健診などを受けて、更年期を二人三脚で歩んでいける、かかりつけの婦人科を探しておきましょう。今後の見通しも立ちやすくなります。

更年期の心の不調にはいろいろな治療法があります 

 更年期特有の不安や気持ちの落ち込み、うつ気分に対する代表的な治療方法には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬、カウンセリングの4つがあります。
 
 ホルモン補充療法は、減少していくエストロゲンを補う治療法です。エストロゲンの減少による抑うつ気分の解消に効果的です。

 ホルモン補充療法を行うには望ましいタイミングあります。医師とよく相談し、効果と副作用の情報を十分に検討したうえで、選択すとよいでしょう。飲み薬や貼り薬、塗り薬などがあります。

 ホルモン補充療法が使えない人や使いたくない人には、漢方薬という選択肢もあります。漢方薬は身体全体の調子を整えることで、気になる症状をやわらげていく治療法です。漢方薬にも効果と副作用がありますので、医師とよく相談しましょう。

 向精神薬は、強い不安感をやわらげる治療法です。抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などがあります。向精神薬と聞いて不安を感じる人もいるかもしれませんが、信頼できる医師のもとで適切に使用すれば、心の不調の改善に役立ちます。服用によって一時的に症状が改善しても、勝手な自己判断で中断することのないように注意しましょう。効果と副作用について医師とよく相談したうえで、選択するとよいでしょう。

 更年期は、前述したようにさまざまな出来事が起こる時期です。カウンセリングでは、専門的な知識をもつ医師や臨床心理士と対話しながら、自分の偏った考え方のクセと向き合い、ネガティブな物事の見方を変えていく治療法です。心の不調をやわらげながら、自分なりの解決策を探していきます。

 エストロゲンの減少の影響による更年期のうつ気分と、本格的なうつ病は、簡単には見分けられません。うつ病は早期発見、早期治療が大切です。もし、「死んでしまいたい」という思いに繰り返し襲われるときは、本格的なうつ病の可能性がありますので、すぐに精神科やメンタルクリニックを受診しましょう。一人でかかえこまずに、そばにいる誰かに、つらい気持ちを伝えることも大切です。

家族の無理解が症状を強くすることがあります。

 ひと昔前までは、子育てがひと段落してから更年期を迎える女性が中心でしたが、現在は、子どもに手がかかる時期と更年期が重なることが珍しくなくなりました。

 家族がいる人は、やることは山ほどあるのに、思うように物事がはかどらず、そうした状況に自分でもはがゆさを感じることがあります。

 これまでまじめに頑張ってきた人ほど、さらに無理を重ねて、深刻なうつ病になってしまうこともあります。 

 さきほど、婦人医と二人三脚でとお伝えしましたが、家族とも二人三脚で更年期を乗り切るという視点も大切です。

 更年期に関する本はいろいろなものが出ていますので、元気なうちから、自分だけでなく、家族にも正しい知識を知ってもらえる工夫を少しずつしていきましょう。

 男性にも更年期はありますし、子どもにも気持ちが不安定になる思春期があります。つらいとき、困ったときはお互い様です。家族がつらいときに、あなたが支えてきたように、あなたがつらいときは家族に支えてもらっていいのです。

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