生理不順は更年期のサイン!

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生理のしくみをおさらい

 更年期の生理不順がどうして起こるのかを知るには、女性ホルモンがどう分泌されるのか、生理のしくみを理解することが大切です。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、どちらも卵巣から分泌されています。しかし、卵巣が勝手に分泌しているわけではなく、脳からの指令によって分泌されています。
そのプロセスは少しだけ複雑です。

(1)まず脳の視床下部から「女性ホルモンを出すように催促するホルモンを出しなさい」と下垂体を刺激するホルモンが分泌されます。

(2)下垂体が反応すると、卵巣に向けて「女性ホルモンを出しなさい」と促すホルモンを分泌されます。

(3)そのホルモンに卵巣が反応すると、卵巣の中で眠っている卵胞のひとつが成熟を始め、卵胞が成熟する過程で女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されます。

(4)エストロゲン充分に分泌されると、こんどはこれが刺激となって下垂体から黄体化ホルモンが分泌され、これに反応して成熟卵胞が破れ中から卵子が排出されます。これが排卵です。

(5)排卵後、卵胞は黄体という組織に変わり、そこからエストロゲンとプロゲステロンが分泌

(6)子宮内膜はエストロゲンによって厚くなり、プロゲステロンによって質的に変化し、受精卵の着床に備える

(7)妊娠が成立しないと、子宮内膜は子宮の壁からはがれ落ち、血液とともに体の外に排出されます。これが月経です。

このように≪脳の視床下部―下垂体―卵巣≫はお互いに影響し合いながら、それぞれが分泌するホルモン量を調整しています。そして、そうした連携のなかで排卵や月経が起こり、卵巣から女性ホルモンが分泌されるのです。
しかし、更年期を迎えて卵巣の機能が低下してくると、卵胞から分泌されるエストロゲンの量は急激に減ってしまいます。また、その信号を受け取った脳下垂体からは、「もっとエストロゲンを出しなさい」と卵胞を刺激するホルモンが大量に分泌されるようになります。

そうして正常なホルモン分泌量のバランスがくずれることで、生理周期に乱れが生じやすくなってしまうのです。

例えば、周期が短くなったり、長くなったりしたり、それが交互に訪れたりして、生理がいつ訪れるのかがわかりにくくなります。だらだらと長く続いたり、短い周期で月に数回訪れたりすることもあります。経血の色が濃くなったり、薄くなったりすることもあります。
生理の量が多い時は、貧血を起こしやすくなりますので、更年期は貧血にも注意が必要です。

また、生まれる時にたくさん蓄えていた未成熟な卵胞の数も更年期には急激に減少します。排卵が起こりにくくなるため、排卵を伴わない生理(無排卵月経)を繰り返すようになり、やがて閉経に至ります。

子宮や卵巣の病気が隠れていることも

更年期世代を迎え、生理が不順になったら、女性ホルモン量が減少しているサインです。生活習慣を見直してたり、サプリメントなどのセルフケアを取り入れたりすることに加え、現在の身体の状態を知るためにも婦人科を受診しましょう。

婦人科検診では、今抱えている不調が更年期特有のものなのかを確認したり、病気の有無をはじめ、女性ホルモンの濃度、骨密度、血管年齢なども調べたりすることができます。

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生理不順を経て、「1年以上、生理のない状態」を迎えると閉経となりますが、閉経後に出血がある場合は病気が隠れている可能性がありますので、きちんと婦人科を受診しましょう。

生理不順の有無に関わらず、定期的に婦人科検診を受けることもおすすめです。医師とは相性もありますので、一度で自分に合う医師にめぐりあえるとは限りません。
更年期に理解の深い婦人科医をかかりつけにもつことができれば、きたる嵐の乗り越え方や、その後の老年期の過ごし方などをアドバイスしてくれるので安心です。

更年期から更年期後(おおむね55歳以降)は、それまでエストロゲンに守られていた部分が無防備になる時期です。体の内部では、動脈硬化や心筋梗塞、骨粗しょう症など、以前は気にかけてこなかった病気にもかかりやすくなります。外見も、肌が乾燥しやすくなったり、太りやすくなったりもします。

生理不順という体からのサインを受け取ったら、激動の更年期以降を乗り越えるための心構えと知識をいち早く入手しておきましょう!

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