プロアントシアニジンとは?成分の正体と注目される理由を解説

ポリフェノールが含まれる赤ワイン
ブドウ種子ポリフェノール

年齢を重ねるにつれ、体の老化やさまざまな不調を感じやすくなった方も多いのではないでしょうか?特に40代後半から、女性は更年期の症状が現れ出すタイミングでもあり、不調や病気から守るための生活習慣を意識したいもの。そこで、日々の食生活で摂取しておきたいのが、老化や病気を抑制するカギとなる抗酸化力のある食品です。
本記事では、数ある抗酸化成分のなかでも、特に抗酸化力が高く、さらに更年期症状の緩和も期待できる成分「プロアントシアニジン」について詳しく解説していきます。プロアントシアニジンの健康効果や、摂取しやすい方法について知りたい方はぜひ参考にしてください。

プロアントシアニジンとは何か?

プロアントシアニジンには、どんな特徴があり、体内でどんな働きをするのかご紹介します。

ポリフェノールの一種として知られる成分

プロアントシアニジンとは、ブドウ種子などに含まれるポリフェノールの一つです。そもそもポリフェノールとは、植物の苦みや渋み、色素のことで、強い抗酸化作用があることで知られています。また、ポリフェノールの種類によって独自の作用があり、さまざまな健康効果が期待できます。

プロアントシアニジンは、その構造からA型とB型の2種類にわけられ、抗酸化作用に加えて、それぞれ異なる作用を発揮します。A型、特にクランベリー由来のA型プロアントシアニジンには、大腸菌、歯周病菌、う蝕菌、ピロリ菌などさまざまな菌に対する制菌作用があることが知られています。一方、B型には抗炎症作用があり、生活習慣病の予防が期待できるほか、また更年期症状の緩和にも役立つことが分かっています。

ブドウの種・赤ワインなどに多く含まれる

ブドウやリンゴなどの果皮や種子に含まれているプロアントシアニジン。ブドウでは、特に種子に多く含まれ、その量はブドウ全体の50~70%。次に、果皮に25~50%、果実・果汁に5%未満のプロアントシアニジンを含んでいます。もちろん、ブドウからつくられる赤ワインにも、プロアントシアニジンが豊富です。

強力な抗酸化力が特徴

ビタミンCやビタミンE、βカロテンなど抗酸化作用のある成分のなかでも、抗酸化力が強いのがポリフェノールです。特に、プロアントシアニジンは「ポリフェノールの王様」といわれるほど、ほかのポリフェノールとくらべても抗酸化力が強いとされます。
体内での抗酸化力を比較すると、ブドウ種子由来プロアントシアニジンの抗酸化力は、ビタミンCやビタミンEに比べて高い結果を示した研究もあります。

プロアントシアニジンが注目される理由

プロアントシアニジンは、更年期世代の女性にとってうれしい健康効果が期待できるうえ、海外を中心に研究が進められる成分です。注目される理由を詳しく解説します。

老化や酸化ストレスへの関与

プロアントシアニジンは高い抗酸化力を持つため、健康の維持や老化の予防に役立つとされます。具体的には、疲労回復効果やLDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制することによる抗動脈硬化作用、肝斑などのシミを改善する美白効果などが挙げられます。

そもそも私たちの体を老化させる原因の一つに、活性酸素による酸化ストレスがあります。活性酸素とは、呼吸により取り込まれた酸素の一部が変化したもの。細胞間での情報伝達のほか、細菌やウイルスから体を守る免疫機能などの重要な役割がある一方、細胞を酸化させ、老化やさまざまな病気を引き起こす原因にもなります。

この酸化作用に対し、体に備わる防御機能が活性酸素を除去したり、活性酸素によるダメージを修復したりします。しかし、防御機能を上回るほど活性酸素が過剰に産生されると、体は大きな酸化ストレスにさらされます。また、この防御機能は加齢とともに弱まり、特に40代後半から急激に低下してしまうのです。
そこで、プロアントシアニジンなど抗酸化力のある食品を日常的に摂取すれば、低下した防御機能を補い、活性酸素による酸化ストレスから体を守ることができます。

更年期症状の緩和

プロアントシアニジンには、更年期の不調をやわらげる効果も期待できます。更年期の代表的な症状である、不安感を軽減するほか、ほてり、のぼせなどの血管運動症状、不眠、疲労、めまい、頭痛などの身体症状を改善する効果も報告されています。



抗菌作用による尿路感染症への関与

クランベリー由来のプロアントシアニジンA型には、大腸菌に対する抗菌作用があります。そのため、大腸菌が尿路の壁に付着するのを防ぎ、膀胱炎など尿路感染症の予防が期待できます。

植物由来で比較的安全性が高い

プロアントシアニジンは植物や果実などに含まれ、日常的に摂取されてきた点から、安心して摂取できる成分といえます。動物試験でも、有害な影響が確認されなかった最大の投与量がほかの成分より多く、安全性の高さが実証されています。

欧米を中心に研究も進んでいる

植物由来の成分であり、抗酸化作用にも優れることから、海外を中心にプロアントシアニジンの有効性に対する研究が進んでいます。アンチエイジングなどを目的としたサプリメントも数多く開発されているほか、フランスでは下肢静脈瘤の治療薬にも使われています

プロアントシアニジンを含む食品

では、プロアントシアニジンを摂取するには、どうすればいいのでしょうか。プロアントシアニジンを含む食品やおすすめの摂り方をご紹介します。

ブドウ、赤ワイン、クランベリーなど

冒頭でご紹介したとおり、プロアントシアニジンを含む食品には、ブドウや赤ワイン、クランベリー、リンゴなどがあります。ほかにも、カカオやシナモン、小豆の種皮、落花生の皮など、日々の食事に取り入れやすい、身近な食品に含まれています。

サプリで摂取されることも多い

更年期症状の緩和や抗酸化作用による健康効果を期待するなら、1日に200㎎のプロアントシアニジンを摂取するのがおすすめです。
しかし、赤ワインで摂取するなら、1日に4~6杯ほど飲酒する必要があり、アルコールの過剰摂取になる恐れも。そこで、プロアントシアニジンのサプリメントを活用すれば、健康への悪影響を心配せず、十分な量を摂取することができます。

プロアントシアニジンの効果を知っておくべきなのは?

40代後半から低下する抗酸化力を補えるプロアントシアニジンは、これからも健康や美容を維持したい、また更年期の不調をやわらげたいと考えている方におすすめの成分です。

健康維持・エイジングケアを意識する中高年層

プロアントシアニジンは、その抗酸化力から体を老化させる活性酸素の働きを抑えます。いつまでも若々しく、健康を維持したいと考えるなら、プロアントシアニジンを摂取することをおすすめします。

プロアントシアニジンは血流を改善させるため、肩こりなど血行不良を原因とする症状の解消につながります。また、血管の強化も期待でき、むくみの改善や、高血圧や動脈硬化の予防にも。
さらに、ある試験ではプロアントシアニジンの摂取により、中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールが減少するとともに、HDL(善玉)コレステロールが増加するのを確認。つまり、脂質代謝を改善する効果もあり、脂質異常症や糖尿病といった生活習慣病の予防にもつながると考えられます。
ほかにも、腸内環境を改善させる作用もあります。プロアントシアニジンを2週間摂取することで、便のにおいが軽減されたという報告もあります。

美容に関心のある方

プロアントシアニジンの抗酸化力は、皮膚細胞の老化抑制にもつながります。年齢とともに現れるシミ、しわ、たるみなど、お肌の老化が気になる方にもおすすめです。

特にシミに対して、プロアントシアニジンは2段階で働きかけることが分かっています。そもそもシミは、紫外線によって発生した活性酸素が皮膚細胞を傷つけるのを防ぐため、メラニン色素やメラニン細胞が増殖することで生じるもの。
プロアントシアニジンは、その抗酸化力により活性酸素の発生自体を抑制します。さらに、メラニンの生成を促進させる酵素「チロシナーゼ」の活性を阻害するとともに、メラニン細胞の増殖も抑えます。これらの働きからシミの改善が期待できます。

更年期障害にお悩みの方

プロアントシアニジンは、更年期のさまざまな症状を緩和する作用もあります。不眠や不安症状、疲労感やめまい、頭痛、ホットフラッシュなどの症状でお悩みの方は、プロアントシアニジンを含む食品を摂取するようにしましょう。
プロアントシアニジンとあわせて、大豆イソフラボンのゲニステインを一緒に摂取するのもおすすめです。ゲニステインには、不眠や抑うつなどの改善効果があり、プロアントシアニジンと同時に摂取することで、更年期特有の精神症状をはじめ、ほてり、疲労感、頭痛などの改善が期待できます。


まとめ

身近な食品から摂取できる、頼れる自然成分

植物由来のプロアントシアニジンは、健康や美容の維持のために、特に更年期世代の女性におすすめの成分です。ブドウやクランベリーなど、プロアントシアニジンを多く含む食品を日々の食事に取り入れたり、足りない分はサプリメントで補ったりして、毎日一定量を摂るようにしましょう。

体の老化や不調を感じやすい方は、配合量が記載されているサプリメントを選び、必要な量を効率的に摂取することで、更年期症状の緩和や健康効果を実感し、快適な毎日を過ごすことができます。

<この記事を監修いただいた先生>

秋津 憲佑 先生
キッコーマン総合病院 産婦人科部長
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