ゲニステイン

ゲニステインとは? 更年期女性にもうれしい効果を分かりやすく解説



イライラやほてり、不安感など、更年期の症状に悩まれていませんか。更年期症状の原因は「女性ホルモンの減少」であることは知っているものの、対策方法が分からない方も多いでしょう。
この記事では、更年期や女性特有のお悩みを持つ方にもうれしい「ゲニステイン」の働きについて、分かりやすく解説します。ゲニステインとエクオールの違いについても解説しているため、効果を比較する際の参考にしてください。


ゲニステインとは

ゲニステインとは、大豆イソフラボンの一種です。構造が女性ホルモンとよく似ているため、女性ホルモンのような働きをします。そのため、女性ホルモンの減少によって引き起こされる更年期の症状を改善する効果が期待できるのです。

大豆イソフラボンには、体内に吸収されやすい「アグリコン」と、吸収されにくい「配糖体」というタイプがあります。そして、「アグリコン」はさらに「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」の3種類に分けられます。

「アグリコン」とは糖が切り離されたもののことをいい、「配糖体」は名前の通り、糖が結合しているもののことです。 イソフラボンが体内へ吸収されるためには、糖が切り離された状態であるアグリコンになる必要があります。

ゲニステインとエクオールの違い

ゲニステインとエクオールとの違いは「体内のエストロゲン受容体への結合のしやすさです。受容体とは、細胞でさまざまな信号を受け取るタンパク質のことをいいます。 エクオールとは、大豆イソフラボンの一つである「ダイゼイン」由来の成分であり、女性ホルモンのような作用を持つため、近年とても注目されている成分です。しかし、エストロゲン受容体への結合力は、エクオールよりもゲニステインが勝ります。そのため女性ホルモンのような効果は、ゲニステインを摂取したほうがより期待できるといえるでしょう。



ゲニステインには女性ホルモンと似た効果がある


ゲニステインが女性ホルモンのような作用(女性ホルモン様作用)を持つ理由は、女性ホルモンであるエストロゲンと分子構造が似ているからです。

女性ホルモンが作用する際、体内でエストロゲン受容体と結合し、女性ホルモンとして作用する信号を体に送ります。女性ホルモンが鍵、エストロゲン受容体が鍵穴の役割を果たしていて、鍵が鍵穴にはまると女性ホルモン様作用の信号が体内に出るようなイメージです。

ゲニステインはエストロゲンと構造が非常に似ているので、ゲニステイン自体がエストロゲン受容体に結合することで、女性ホルモン様作用の信号が体内に出される仕組みとなっています。

先にお伝えした通り、女性ホルモン様作用をもつ大豆イソフラボンのなかでも、体内に吸収されやすい「アグリコン」には、「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」の3つがあります。そのなかでも、特に女性ホルモン様作用が強いのはゲニステインです。

ここからは、ゲニステインの効果について詳しく解説していきます。

更年期障害の改善につながる

ゲニステインは女性ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをするため、女性ホルモンの減少によって生じる更年期障害の改善に役立ちます。不眠やめまい、頭痛、イライラ、疲労感などの更年期症状でお悩みの方は、エストロゲン様作用をもつゲニステインを意識して摂取するとよいでしょう。

骨粗しょう症リスクの低下につながる

女性は閉経を境に、骨粗しょう症のリスクが高まります。主な原因は、骨のなかにカルシウムを蓄える働きをもつエストロゲンが、閉経によって急激に減少することです。

ゲニステインはエストロゲンに似た作用を持つため、摂取することで骨量の減少を抑えて骨粗しょう症を予防する作用が期待できます。

乳がんリスクの低下につながる

女性ホルモンであるエストロゲンは、乳がんの発生や増殖に深く関わっています。実は、乳がん細胞のなかには女性ホルモンの受容体をもっているものがあり、女性ホルモンが結合することで増殖することがあるのです。 一方で、ゲニステインは女性ホルモン様作用があるため、エストロゲンの代わりに女性ホルモン受容体に結合することにより、がん細胞の増殖を抑え、乳がんのリスクを低下させるのです

生活習慣病の予防につながる

ゲニステインはその抗酸化作用によって活性酸素を抑制するため、生活習慣病の予防にも役立ちます。活性酸素は本来、人間が健康を保つうえで欠かせないものですが、生活習慣の乱れやストレスなどによって過剰に増えると細胞を傷つけてしまいます。

ゲニステインには活性酸素を抑える抗酸化作用があるため、動脈硬化やがんなどの生活習慣病を予防する効果が期待できるのです。


ゲニステインが摂取できる食品

大豆イソフラボンアグリコンの一種であるゲニステインを摂取できる食品には、味噌、醤油などの一般的な大豆食品が挙げられます。豆腐や納豆などには、糖が結合したままの「イソフラボン配糖体」として存在していますが、味噌や醤油などでは発酵の過程で糖が切り離されるため、「イソフラボンアグリコン」である“ゲニステイン”として存在しています。

大豆イソフラボンが腸で吸収されるためには、イソフラボンから糖が切り離された「アグリコン」でなければなりません。腸内環境によっては、アグリコンに変換する酵素である「β-グルコシダーゼ」の働きが悪く、大豆製品を積極的に摂っても十分に吸収されない場合もあります。

そのため、大豆製品のなかでも、はじめからアグリコン化されたものを積極的に摂るとよいでしょう。

ゲニステインの安全な摂取目安量は

大豆イソフラボンのアグリコンには3種類あり、そのうちの一つがゲニステインです。イソフラボンアグリコンとしての安全な摂取目安量の上限値は1日75mg、うち約半分がゲニステインの摂取量となるため、ゲニステインの一日の安全な摂取目安量はおよそ30mgと考えられます。

ゲニステインには健康に役立つ働きが多くありますが、大量に摂取すればよいというものでもありません。どんな成分にも言えることですが、長期にわたり過剰に摂取し続けると体内におけるマイナスの影響が出てくる恐れがあるためです。まずはバランスのよい食事や適度な運動などの生活習慣を整えたうえで、ゲニステインはプラスαの工夫として上手に活用していきましょう。

サプリメントで補うのがおすすめ

大豆食品にはさまざまな種類があるものの、毎日食べ続けることは大変ですよね。仕事や家庭のことで忙しいと、なかなか日々の食事に気を使う余裕もないでしょう。

その点、ゲニステインを含むサプリメントを活用すれば、無理なく効率的に摂取できます。アグリコン化されたゲニステインを多く含むサプリメントであれば、腸内での酵素分解の過程に関わらず、速やかに体内に吸収されるでしょう。


ゲニステインで更年期症状を改善しよう


ゲニステインとは、大豆に含まれるイソフラボンの一種です。女性ホルモンに似た作用を発揮するため、更年期の症状を緩和する働きがあると期待されています。同じく大豆イソフラボン由来の成分には「エクオール」もありますが、女性ホルモン様作用はゲニステインのほうが強いとされています

イライラやほてり、ゆううつ感などの更年期の不調を感じている方は、日々の生活にゲニステインを取り入れてみてはいかがでしょうか。食事やサプリメントを上手に活用しながら、更年期症状に負けない元気な毎日を過ごしましょう。