更年期症状を軽減するゲニステインの効果

ゲニステインを摂取すると、更年期症状・骨粗しょう症・乳がんなどのリスクを軽減できることが分かっています。この記事では、ゲニステインにまつわる研究データをまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

更年期症状改善効果

大豆イソフラボンアグリコンを摂ると、更年期症状が改善することが分かっています。実際に、更年期症状を持つ40~50代の女性90人に、ゲニステインを多く含む大豆イソフラボンアグリコンを8週間連続して摂取してもらったところ、更年期症状によく見られる症状である抑うつ、不眠、めまい、頭痛、疲労感、血管運動神経症状(ホットフラッシュ、発汗、冷え)などで改善が見られました。

参考文献:Hirose A. et al.  Arch. Gynecol. Obstet. 2016; 293: 609–615

大豆イソフラボンアグリコンとは?

大豆イソフラボン配糖体は、糖(グリコン)が結びついた状態で存在しています。ここから糖の部分が切り離され、糖がない状態になったのが大豆イソフラボンアグリコンです。大豆イソフラボンアグリコンは、ゲニステイン・ダイゼイン・グリシテインの3種類で、ゲニステインは、この中で最もエストロゲン活性が強い成分です。

出典:Muthyala R.S. et al.  Bioorg. Med. Chem. 2004; 12, 1559-1567

骨粗しょう症リスクの低下

ゲニステインには、骨粗しょう症のリスクを低下させることが分かっています。大豆イソフラボン配糖体40mg(アグリコン換算:24mg、ゲニステイン=12mg相当)を12カ月連続して摂取する臨床試験では、骨代謝マーカーであるデオキシピリジノリン量の減少が確認されました。

デオキシピリジノリンは、数値が高いほど骨粗しょう症になるリスクが高いといえる物質です。この試験では、大豆イソフラボン配糖体の状態で継続摂取しても、骨粗しょう症のリスクが減少することが確認されましたので、アグリコンであるゲニステインにおいても同等以上の効果が期待できると考えられます。

出典:Delia M. T. et al.  J. Clin. Med. 2018, 7, 297-309

乳がんリスクの低下

ゲニステインは、乳がんのリスクを低下させることが分かっています。さまざまな研究結果がありますが、今回ピックアップしたのは、40~69歳の女性約25,000人を対象に行われた約10年間の追跡調査です。

この調査では、血中イソフラボン濃度と乳がんリスクに関係があると確認されています。

イソフラボンの中でも、ゲニステイン濃度が高ければ高い人ほど、その後、乳がんになる可能性が低いと示されており、特に閉経後、乳がんになる可能性が低いと確認されています。

出典:日本乳癌検診学会誌 2010、19, 1, 4-15

まとめ

年齢を重ねるとともに、病気のリスクは大きくなるのが一般的です。更年期の症状が気になる方や、将来に向けて病気を予防したい方は、ゲニステインを含む大豆食品やサプリメントを試してみてはいかがでしょうか?

 

<記事監修>

寺内公一先生
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座教授。医学博士。主に更年期障害や骨粗鬆症の診療に従事し、中高年女性の抑うつ・不安・不眠の特性とその対応についての研究や、閉経後骨粗鬆症の病態生理に関する研究、女性の身体的・精神的機能の加齢による変化と、食品・薬品およびそれらに含まれる生理活性物質がこれに対して与える影響についての研究を行う。