月経/生理不順・不正出血

更年期に生理が来ない、生理不順の原因は?症状の特徴や対処方法を解説

いつも定期的に来ていた生理が不規則になると、「体に何か異常があるのでは」と不安になる方がいることでしょう。心や体の不調も相まって、自分の変化に敏感になるのも無理はありません。本記事では、更年期に起こる生理不順の原因や対策について解説しています。更年期の生理について少しでも不安がある方は、参考にしてください。

更年期の生理不順の症状

更年期の女性の身体にはさまざまな変化が訪れます。そのなかでも変化が出やすいものが生理(月経)です。突然の出血や不規則な月経周期に、何かの病気や妊娠を疑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特にこれまで規則正しく生理が訪れていた方は、急な変化に戸惑い、不安になりますよね。

更年期になると、今までは25〜38日周期で起こっていた月経周期に変化が表れます。この月経周期の変化は卵巣の機能が低下することに伴うものです。つまり、月経周期の乱れは「更年期に入った一つのサイン」といえます

不正出血や生理不順の裏には病気が隠れている場合も

また、この時期には徐々に排卵が起こらなくなるため、生理とは違う不規則な出血(機能性出血)が起こることも多くなります。生理前に少量の出血があったり、生理後にだらだらと出血が続いたりします。

機能性出血は自然におさまることがほとんどです。しかし子宮や卵巣の病気が原因で不正出血が起きている場合もあり(機能性出血と区別して「器質性出血」と呼ばれます)、不正出血の裏には病気が隠れていることも。症状が長引く、おさまらない場合は婦人科を受診することをおすすめします。

更年期に生理の周期が乱れる原因

更年期に生理の周期が乱れる原因は、卵巣の機能が低下するためです。一般的に正常の月経周期は25~38日とされますが、24日以下の短い周期で月経が起こる「頻発(ひんぱつ)月経」や、次の月経までに39日以上あく「稀発(きはつ)月経」などが始まり、月経ごとに出血量が極端に多かったり少なかったりするようになります。このような不規則な月経を経て、「1年以上月経のない状態」になると閉経を迎えます。

ストレスや環境の変化による生理不順もある

更年期に生理が来ない原因は卵巣の機能低下だけでなく、ストレスや環境の変化によるものもあります。更年期は生理以外にも体にさまざまな変化が起こったり、ホルモンバランスがゆらぐことで心が不安定になったりします。年齢を重ねることによる自分の変化にストレスを感じることもあるでしょう。

また、仕事で重要なポジションを任されたり、子どもの受験があったりと、更年期はライフイベントの多い時期です。そのため環境の変化で心と体にかかった負担が、生理不順となって現れる人もいます。

生理が来ないときはおりものの状態も確認

一般的に、閉経が近づくにつれ女性ホルモンの分泌量が減少するため、おりものの量も減少します。色は無色透明で、ほぼ無臭とされています。一方で、おりものの量が極端に多い場合や色が濃い場合、臭いが強い場合などは、他の病気が隠れている可能性もあります。
おりものの状態に違和感があるときは、専門である婦人科の受診をおすすめします。

更年期の生理の乱れと、それに伴う不調への対処方法

月経が不順になること自体は、閉経に向けた自然の経過であり、「更年期に入ったサイン」です。ただし、卵巣の機能低下に伴い、女性ホルモンが減少することで自律神経が乱れ、急なほてりや気分の浮き沈み、強い疲労感や不眠などさまざまな不調が出てしまうことがあります。このような更年期の不調には次のような対処方法が考えられます。

● ホルモン補充療法(HRT)で女性ホルモンを補う
● 桂枝茯苓丸などの漢方薬を服用する
● 大豆食品やサプリメントを摂取する
● 足のツボを押す

ここからはそれぞれのポイントについて詳しく解説します。

ホルモン補充療法(HRT)で女性ホルモンを補う

ホルモン補充療法(HRT)は、卵巣の機能が低下して分泌量が低下した女性ホルモンを薬で補う方法です。基本的には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)をセットで補充します。薬は飲み薬や貼り薬、塗り薬などの種類があり、医師と相談したうえで最適なタイプの薬を使用します。生理不順のほか、更年期の身体的・精神的な症状にも効果的です。

桂枝茯苓丸などの漢方薬を服用する

更年期のさまざまな症状に対して、漢方薬で対処する方法もあります。HRTが使用できない場合や、更年期の症状が多岐にわたる人に有効な方法です。

女性ホルモンのゆらぎによる不調に用いられる主要な漢方には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が処方されます。これらの漢方薬は市販でも入手できます。セルフケアで試したい場合には、市販の漢方薬を試してみるのも良いかもしれません。

大豆食品やサプリメントを摂取する

女性ホルモンのエストロゲンと化学構造式や体内での働きがよく似ている成分が、大豆に含まれるイソフラボンです。このため、イソフラボンを継続的に摂ると症状の改善につながるとされています。納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品を、食生活に上手に取り入れましょう。

また、大豆イソフラボンのなかでも、女性ホルモン様作用が強い「ゲニステイン」が更年期にいいとされています。食事やサプリメント等を活用しながら、大豆イソフラボンのなかでもゲニステインを摂取するとよいでしょう。

関連記事:ゲニステインとは? 更年期女性にもうれしい効果を分かりやすく解説

足のツボを押す

内くるぶしの一番高い部分から指4本分上、内すねの骨と筋肉の境目にあるのが、「三陰交(さんいんこう)」と呼ばれるツボです。このツボに親指を当てて気持ちのよい強さで押しましょう。足全体の血行が良くなり体が温まるため、婦人科系の症状に効くといわれています。生理痛や生理不順のほかに、冷え、ほてりなどにも有効です。温めると良いツボなので、お灸(きゅう)などもおすすめです。

生理不順に効く三陰交のツボ

更年期の生理不順に関するよくある質問

ここからは更年期の生理不順に関するよくある質問について、回答していきます。

生理が来ないときの腹痛は問題ないですか?

腹痛が軽いものですぐにおさまるようであれば、特に問題ありません。更年期になると血管運動系にも影響が現れ、血行不良で下腹部に痛みが生じることがあります。もし痛みが強い場合や、下腹部が膨らんでいるような場合は婦人科で診察を受けましょう。

更年期になるとどれぐらい生理が遅れますか?

生理周期の遅れには個人差があり、人によっては3カ月以上遅れることもあります。正常な生理周期は25〜38日周期で、39日以上生理が来ない場合は稀発(きはつ)月経です。なお妊娠以外で3カ月以上生理が来ない場合は、無月経と呼ばれます。

更年期に生理が遅れる場合はどうすればいいですか?

月経周期の変化は卵巣の機能が低下することに伴うもので、更年期に入った一つのサインともいえます。ただし、不規則な出血がだらだらと続く、おりものの様子がいつもと違うなど、気になる症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。

生理が来ないときのおりものにはどのような特徴がありますか?

更年期に生理が来ないときのおりものは、無色透明で無臭のものがほとんどです。また女性ホルモンの分泌量が減少することで、おりものの量も今までより減っていきます。おりものの量が多い場合や色が濃い場合、臭いが強い場合などは病気が隠れている可能性も考えられます。違和感がある場合は自己判断をせず、婦人科の受診をおすすめします。

体からのサインを見逃さずに自分の体を労ろう

更年期は卵巣の機能が低下することで、女性ホルモンの分泌量が減少します。女性ホルモンのゆらぎにより、生理不順や不正出血など、さまざまな変化が起こって戸惑うこともあるかもしれません。ホルモンがもたらす変化がストレスとなり、体や心に不調が現れることもあります。体からのサインを見逃さず、自分を労わりながら上手に更年期と付き合っていきましょう。