大豆イソフラボン

大豆イソフラボンの効果
イソフラボンはポリフェノールの一種で、大豆などのマメ科の食べ物に多く含まれています。大豆イソフラボンは女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと構造が似ており、「植物性エストロゲン」ともいわれています。
ほてり、のぼせ、イライラなどの更年期の不調を改善する上で有効であると期待されている他、骨粗鬆症を予防する、肌の弾力を改善する、シワの面積を減少させるといった働きももち、更年期の美容と健康を保つためには必要不可欠な成分であるといえます。
実際に大豆イソフラボンを使った臨床試験で確認された、「更年期症状の緩和効果」を紹介していきましょう。

40~60歳の女性を対象にした臨床試験で、1日25mgの大豆イソフラボンアグリコン※を摂取してから8週間後に、抑うつ症状と不眠症状が非摂取群と比較して有意に改善することがわかりました。
※大豆イソフラボン配糖体から糖が切り離され、体内に吸収されやすくなった成分(後述)

同じ臨床試験では、ほてり(ホットフラッシュ)、発汗、冷えなどの血管運動神経症状が8週間後に摂取開始時と比較して有意に改善するとともに、疲労感、めまい、頭痛などの身体症状も4週間後と8週間後に摂取開始時と比較して有意に改善することがわかりました。
このように大豆イソフラボンは、「減少していく女性ホルモンの代わりに働く成分」として更年期症状を緩和してくれます。それだけでなく、年齢を重ねるにつれ気になってくる肌やメタボリックシンドロームに対しても、その効果が認められています。

30~40代の女性を対象にした臨床試験の結果で、1日40mgの大豆イソフラボンアグリコンを摂取開始2カ月後に肌弾力の改善が、摂取開始3カ月後にはシワ面積が非摂取群と比較して有意に減少(改善)されました。

また、40~60歳の更年期女性を対象にした臨床試験の結果では、1日40mgの大豆イソフラボンアグリコンを6カ月間摂取したところ、体脂肪率や総コレステロール、LDLコレステロールが減少することも明らかになったのです。
大豆イソフラボンとは?
女性の健康や美容に強い力を発揮してくれる大豆イソフラボン。そもそもどんな成分なのか、詳しく説明していきましょう。
地球上にはさまざまなポリフェノールが存在していますが、果実、野菜などに多く含まれる仲間に「フラボノイド」というポリフェノールがあります。なかでも、大豆をはじめとするマメ科の植物に多く存在するフラボノイドが「イソフラボン」。大豆に含まれるイソフラボンには、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類の成分があります。

大豆イソフラボン(ゲニステイン)と女性ホルモンであるエストロゲンの構造式を見てみると、化学構造が似ています。そのため大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た作用を示すことが明らかになっており、「植物性エストロゲン」とも呼ばれています。
体内への吸収性が高い大豆イソフラボンアグリコン
日本人が日頃より摂取している豆腐、豆乳、納豆、味噌、醤油は、大豆を主原料として加工されています。元来、生の大豆にはイソフラボンは「配糖体」、いわゆる糖がついた物質として存在しているのですが、大豆加工食品はそれぞれの食品加工処理の段階でイソフラボンの形が変わるものもあることが知られています。

豆腐や豆乳、油揚げ、納豆では、イソフラボンは配糖体のままの形で存在しています。ところが、味噌や醤油といった発酵食品では、イソフラボンはそれらの発酵工程において麹菌などの微生物の影響により、糖部分が切断されてそのほとんどが「アグリコン」という形に変換されます。ただ、アグリコンは水に溶けない性質のため、圧搾後の醤油には大豆イソフラボンアグリコンはほとんど含まれませんが、味噌中には大豆イソフラボンはアグリコンの形で残っています。

配糖体はそのままの形では人間の体内にほとんど吸収されず、配糖体の糖部分を切断する能力のある腸内細菌や酵素の働きにより分解され、アグリコンになって初めて体内へと吸収されます。一方、大豆イソフラボンアグリコンは腸内環境や体調に左右されずにそのままの形で腸管から吸収されます。

では、アグリコンになるとどれくらい吸収率が違うのか、大豆イソフラボンアグリコンと配糖体の人への吸収性を比較したデータを見てみましょう。
イソフラボン配糖体は、一旦アグリコン化されてから吸収されますので、吸収後のイソフラボンの血中濃度の上昇は緩やかですが、大豆イソフラボンアグリコンは、そのままの形で吸収されるため、血中濃度の上昇も速やかです。明らかに、大豆イソフラボンアグリコンの方が配糖体よりも体内への吸収性が高いことが確認されました。
エクオールとの違いは?
近年、エクオールという成分の研究も進んでいます。
エクオールは、大豆イソフラボンアグリコンの一つである「ダイゼイン」が体内に吸収される前に腸内で代謝生産されてできる物質です。その後、エクオールは体内に吸収され、血中に移行、体内の各臓器、器官に分布されることもわかっています。ちなみに、エクオールはその構造上“イソフラバン”という分類に属しますので、正確には大豆イソフラボンではありませんが、似たような作用を示すことがわかっています。

大豆イソフラボンやエクオールは、女性ホルモンであるエストロゲンと同様に、体内に存在するエストロゲン受容体と呼ばれるエストロゲンが結合する鍵穴のような部位に結合して、その結果、女性ホルモンに似た作用を示すと考えられています。
上の図のように、エストロゲン、大豆イソフラボン(ゲニステイン)、エクオールなどがエストロゲン受容体に結合すると、エストロゲン受容体から信号のようなものが出て、いろいろな効果を発揮します。
また、これらエストロゲンに似た作用は、エストロゲンが最も強いですが、その次にゲニステイン(大豆イソフラボン)、エクオールの順に強いという報告があります。
このように女性の悩みに寄り添う特別な力を持つ、大豆イソフラボン。症状の予防や改善だけでなく、これからも美しくあるために、毎日の生活に取り入れていきましょう。
大豆イソフラボンが含まれる食品
豆腐 豆乳 納豆 油揚げ