大豆イソフラボンとエストロゲンの関係は?更年期症状を改善する女性の味方

大豆イソフラボン

更年期症状には、大豆イソフラボンが良いという話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。大豆イソフラボンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと似た働きをすることが分かっているため、更年期症状の改善に有効とされているのです。
本記事では、大豆イソフラボンと女性ホルモン(エストロゲン)の関係を分かりやすく解説します。大豆イソフラボンの効果的な摂取方法についても解説しているため、更年期症状を改善させたい方は参考にしてください。



そもそもエストロゲンとは?

エストロゲンとは女性ホルモンの一種で、女性らしさをつくる働きがあります。女性の体の成長や美容に貢献しており、乳房や生殖器を発達させる効果に加え、肌の潤いやハリを保つ効果もあるのです。エストロゲンは主に卵巣から分泌されており、成長とともに分泌量が増加。分泌量は20代でピークを迎え、30代後半から少しずつホルモンを分泌する卵巣の機能が低下していきます。

45〜55歳の更年期になるとエストロゲンの分泌量が大きくゆらぎながら減少するため、ホルモンバランスの乱れからさまざまな更年期症状が現れるようになります。エストロゲンには、骨や血管、関節を健康に保つ機能もあることから、分泌量が減少すると肩こりや関節痛などの身体症状が起こるのです。また、不眠やイライラ、気分の落ち込みといった精神症状が出る場合もあります。



大豆イソフラボンにはエストロゲンに似た働きがある

大豆イソフラボンには、女性ホルモンと同じような働きをする「エストロゲン様作用」 があります。大豆イソフラボンは、女性ホルモンと化学構造が似ていることから「植物性エストロゲン」とも呼ばれており、日常的に摂取することで更年期症状の改善が期待できるのです。

更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少するため、レセプターと呼ばれる受け皿が余っている状態になります。エストロゲンが不足している状態で大豆イソフラボンを摂取すると、レセプターが大豆イソフラボンをエストロゲンと認識するため、余っている受け皿にはまることができるのです。大豆イソフラボンの活性力は、エストロゲンに比べると弱いものですが、エストロゲンが必要な場面では、おだやかに作用を発揮します。



大豆イソフラボンの摂取方法



大豆イソフラボンの摂取方法は、主に食品から摂る方法とサプリメントで補う方法の2つが挙げられます。ここからはそれぞれの摂取方法の特徴と、効率的に摂取する場合に意識しておきたいポイントを解説していきます。


食事

イソフラボンには「非吸収型(グリコシド型)」と「高吸収型(アグリコン型)」があり、納豆や豆腐、きな粉などの大豆製品や、豆乳など多くの食品に含まれるイソフラボンは「非吸収型」の比率が多く、一部、醤油や味噌などの発酵食品には「高吸収型」のイソフラボンが多く含まれます。醤油や味噌などは発酵の過程で糖が分解され、体に吸収されやすいアグリコン型のイソフラボンになるためです。

日々の食事で大豆イソフラボンを摂取する場合は、1日75mgまでを目安として、摂取を続けると良いでしょう(安全な1日の摂取目安量の上限は、食品安全委員会により75mgと定められています)。

大豆イソフラボンを多く含む食品

大豆イソフラボンが含まれる食品には、以下のようなものがあります。なお含有量には、体内へ吸収される型である「大豆イソフラボンアグリコンに換算した値」が用いられています。


(大豆イソフラボンアグリコンとしてmg/100g)

食品名含有量平均含有量
大豆(11検体)88.3〜207.7140.4
煮大豆(3検体)69.0〜74.772.1
揚げ大豆(1検体)200.7200.7
きな粉(2検体)211.1〜321.4266.2
豆腐(4検体)17.1〜24.320.3
おから(1検体)10.510.5
油揚げ類(3検体)28.8〜53.439.2
納豆(2検体)65.6〜81.373.5
味噌(8検体)12.8〜81.449.7
醤油(8検体)0.7〜1.20.9
豆乳(3検体)7.6〜59.424.8
※厚生科学研究「食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)」をもとに作成



サプリメント

大豆イソフラボンを効率的に摂取したいと考えている場合は、サプリメントで補うと良いでしょう。

サプリメントから大豆イソフラボンを摂取する場合、安全な1日の摂取目安量の上限は、食品安全委員会により30mgと定められています。食事で足りない部分を補う目的で、定められた量を継続的に補うようにしましょう。



大豆イソフラボン、エストロゲンに関するよくあるQA

ここからは、大豆イソフラボンとエストロゲンに関するよくある質問へ回答していきます。


大豆イソフラボンとエストロゲンの違いとは?

大豆イソフラボンは、大豆に多く含まれるフラボノイドの一種です。一方のエストロゲンは、女性ホルモンの一種です。大豆イソフラボンはエストロゲンと構造が似ていることから「植物性エストロゲン」と呼ばれていますが、同じ成分ではありません。

大豆イソフラボンの摂取量目安はどれくらい?

更年期症状の改善を目的として大豆イソフラボンを摂取する場合は、1日75mgまでを目安に摂取すると良いでしょう。大豆食品から摂取する場合は1日75mg、サプリメントで摂取する場合はそのうちの30mgまでが安全な摂取目安量の上限とされています。

大豆イソフラボン、エストロゲンと乳がんの関係は?

大豆イソフラボンには、乳がんリスクを低下させる効果のあることが分かっています。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、乳がんの発症や増殖に大きくかかわっています。大豆イソフラボンに含まれるゲニステインには女性ホルモン様作用があるため、1日の目安量を守って摂取することで、乳がんの発症リスクの軽減が期待できます。



まとめ



大豆イソフラボンは女性ホルモンと同じような働きをするため、更年期症状を改善する効果が期待できます。急なのぼせや気分の浮き沈み、不眠などの更年期症状に悩んでいる方は、日常的な大豆イソフラボンの摂取をおすすめします。

「高吸収型」の大豆イソフラボンを摂取したい場合は、食品の場合、醤油や味噌から摂取することもできますが、同時に多くの塩分が含まれているため、摂りすぎには注意が必要です。更年期症状の改善を目指す場合は、普段の食事に加えてサプリメントで補うこともおすすめです。


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