更年期後におすすめの食事や習慣とは?

食事のことで悩む女性
お悩み相談の回答

ご相談内容

ご相談者様:53歳、女性
とある女性タレントさん(60歳)、紹介されている限りではバランスよく気を遣われた食生活を送っていると感じられたのに、TV番組の企画で高脂血症( *脂質代謝異常症)を指摘されていて、ショックでした。いったい更年期後はどのような食生活を基本として暮らせばよいのでしょうか。
(タレントさんのお名前は省かせていただきました)

回答

ご相談くださり、ありがとうございます。

タレントさんに限らず、身内や周囲の方でも、健康に気を遣っていると思える方が体調を崩されたりご病気などされると、「あんなに気を遣っているのに、どうして?」と、健康のための工夫や努力、方針に疑問を持ったり、心が揺らぎそうになったりしてしまいますよね。

ご相談の内容からも、体に対して健康意識を高くもっていらっしゃることが伝わってきますので、なおさらそう感じられるかもしれません。

人の体は、これだけ研究や技術が進んでいても明らかにされていないことが多い分野の一つで、専門家の間でも意見が分かれたり、これまで正とされてきたことがひっくり返ったりということが日常的に起こります。

医師の研究

それゆえ、〇〇していれば絶対に安心!ということはないのが辛いところではありますが、幅広く・新しく・正しい(とされる)情報を取り入れ、実践していくという今のマインドを持ち続けていただくことは何よりも大切なことです。自信をもっていただきたいと思います。

さて、そのタレントさんについて、LDLコレステロール値(悪玉コレステロール)が高く、LH比が悪い+タンパク質が少な目と感じられたとのことだったので、今回はそこに焦点を当てて回答させていただきますね。

●MEMO_________________
*LH比とは、「LDL(悪玉)コレステロール値÷HDL(善玉)コレステロール値」で示される比率。血管内(動脈硬化)の状態をみる数値です。
______________________

件のタレントさんはご年齢的に更年期以降と思われますので、ご相談に書かれていた通り「更年期後」ということの影響も考えられます。
ご存じの通り、女性ホルモン(エストロゲン)にはコレステロールを調整して内臓脂肪を減らすはたらきがあります。そのため、エストロゲンが急激に減少する更年期以降は、何もせずとも悪玉コレステロール値が上昇しやすくなるからです。

肥満・高コレステロールの症状をチェック

そこで、以下に5つほどセルフケアをご紹介します。こういった日常のケアは、すぐに効果が出るものではなく継続することで大きな効果が期待できます。「全て実行しなければならない」と構えすぎずに、まずは続けやすいものから試してみてください。

①副菜となる「野菜や海藻、キノコ類」を増やす
副菜により多く含まれる食物繊維には、コレステロールや血糖が体内に吸収されるのを妨げようとする作用があります。色の濃い野菜や海藻には、ミネラル分も豊富なのでヘモグロビン改善対策にもつながります。

<緑黄色野菜や海藻を使った作り置きもできるレシピの例>
小松菜とえのき、油揚げの和え物
簡単ラタトゥイユ
ひじきと油揚げの煮物

②主菜となるたんぱく質に魚や大豆製品を選ぶ
主菜となる「たんぱく質を多く含む食材」が不足していると鉄分不足にもなりやすいので、適量とることを心がけていただくとよいですね。

また、主菜に使用されるたんぱく質食材がお肉に偏ってしまうと、コレステロールを作り出す脂を摂りすぎることに繋がり、コレステロールが上昇しやすくなってしまいます。お肉以外のたんぱく質食品であるお魚や大豆製品をご利用したメインのおかずを1日の3食のうち2食にできると理想的です。

バランスの良い食事

お魚にはDHAやEPA、大豆製品には大豆イソフラボン、といったLDLコレステロールを減らす効果が期待できる成分も含まれています。

卵、魚卵(たらこや明太子など)、モツ類(レバーなど)、洋菓子(生クリームやバターを豊富に使ったもの)、牛乳乳製品などの食べすぎは、もともとLDLコレステロールが高めな人にとってはLDLコレステロールを上げやすいといわれますので注意が必要です。
しかし、卵や牛乳乳製品はタンパク質や鉄分などといった体に大切な栄養も多く含んでいますので、減らしすぎずに適量を召し上がってください。

<魚介類を使った作り置きもできるレシピの例>
厚揚げと小松菜の炒め煮
白菜とツナの簡単煮物
にらとさば缶の和え物

③食事の時間、タイミングも工夫してみる
何をどれくらい食べる、という食事の質と量も大切ですが、「いつ食べるのか」というタイミングも健康づくりには非常に大切です。

特に血糖値は、夕方以降の飲食を軽めに、朝食や昼食はしっかり食べる、と1日の総カロリーに変化がなくとも夕食過多のときに比べて、HbA1cなどの値が改善しやすいといわれます。

④主食となるご飯やパン類などを、食物繊維の多い精製度の低いものにかえてみる
朝食のパンを胚芽パンにする、昼食や夕食のご飯を麦ごはんや五穀米、玄米ご飯などにする、といった工夫も、コレステロールや血糖値の改善が期待できる食物繊維を増やすことにつながりますし、貧血改善も期待できるミネラル分を増やすことにつながります。

⑤体を動かす時間を増やす
無理のないところから体を動かす時間を増やしてみることもおすすめです。体を動かすことは、LDLコレステロールを下げHDLコレステロール(善玉コレステロール)を上げ、LH比を改善するのによいとされ、血糖値を下げるのにも効果が期待できます。また、運動することで筋肉をつけ代謝を高めることにもつながります。

ウォーキング

運動する時間を確保することはすぐには難しいかもしれませんが、
□階段を使う、車移動よりも、自転車や徒歩移動
□家事での工夫(掃除で大きく体を動かす、調理中や食器洗いで立っているときにスクワットやかかとの上げ下げをする等)
□職場や買い物などで、こまめに立ったり動いたりと効率悪く動くようにして、1日の中で座ったままの時間を少しずつ減らすようにする
□食後すぐに食器を片づけるなど、食後座りっぱなしにならないようにする
更年期の冷え対策に1日5分の簡単スロトレをの記事をチェック

など、まずは日常の中や少ない時間でも工夫できることを見つけてみてください。
理想の運動量は、1日ウォーキングなどを30分以上、などのようにいわれていますが、「まずは現状よりも1日の中で合計10分体を動かす時間を増やす」ところから始めましょう、と国でもすすめているところです。

前段でもお伝えしましたが、更年期以降は女性もLDLコレステロールが高くなりやすいほか、遺伝や体質的に数値が高くなりやすい方もおられます。

今までにあげた食事や運動を意識してみても、もし数値が正常の範囲内におさまらない、もしくはおさまらなくなった場合には、かかりつけのお医者様に相談されることをおすすめします。専門の方々の協力も得ながら、健康で美しい自分づくりを続けていきましょう!

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