更年期の冷え対策に1日5分の簡単スロトレを
寒さ本番! 更年期に“冷え”はなぜひどくなる?
熱を生み出す筋肉の量が男性より少ない女性は、もともと男性に比べて、体のつくりが冷えやすくできているのですが、更年期の女性は特に、冷えを強く感じることが多いようです。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)の変動の影響で、体温調整などを司る自律神経のバランスが乱れることが大きく関係していると考えられます。
東洋医学では、女性の生命力は「腎力」に左右されるといわれています。「腎」とは単に腎臓のことだけではなく、子宮や卵巣、膀胱や、それらに関係するホルモン系、自律神経系、免疫系なども含む腰周りに集約されているエネルギーそもそものこと。
この腎力こそが、女性ホルモンの働きを司っているともいえます。
子宮や卵巣などを含む「腎」は体の中でもっとも冷たい部分で、しかも精神的・肉体的ストレスでダメージを受けやすいとされています。
更年期になると腎力が急激に弱まり、それにともなって女性ホルモンや自律神経の働きが低下し、それがさらに腎力を弱めるので、ますます身体を冷えさせてしまうのです。
更年期特有の症状として、顔がカーッとほてって汗が出たり、のぼせたりする「ホットフラッシュ」がよく知られていますが、これも東洋医学では「冷えのぼせ」の状態と考えられています。
顔や体が熱くなるので一見、“冷え”とは無関係のように思われますが、実は体の芯が冷えて血行が悪くなっていることが一因で起こるのです。
ホットフラッシュを避けるために、できるだけ薄着にしたり、冷たい飲み物を飲んだりするのはかえって逆効果。この症状を改善するには、まず「体を冷やさない」ようにすることが大切。
それでは、毎日の生活の中で冷えを改善し、積極的に体を温めるには、どうすればいいのでしょうか。
1日5分!簡単スロトレで鍛えよう
体を芯から温めるには、血行をよくして代謝を上げる運動が効果的です。運動で筋肉がつくと、それがポンプの役目をして、手足など体の末端の血行をよくしてくれます。
ウォーキングレベルの運動でも習慣化すれば効果が期待できますが、忙しくて時間がとれないという人や高齢者、女性におすすめなのが「スロトレ」です。
低負荷で安全かつ充分な筋肥大が期待できます。まず一般的な次の3つからトライしてみましょう!
スクワット
①足を開いて立つ。つま先の向きはまっすぐかやや開く
②背筋を伸ばして体を膝が90度くらいになるまで3~4秒かけて腰を下ろす
③②の状態から、膝を完全に伸ばさない状態まで3~4秒かけて戻り、また②にうつる。
*足の幅や、どこまで深く腰を下ろすかによって負荷が変わります。無理のない範囲からはじめましょう!腰を反らさないようにするために、腹筋にも力をいれておきましょう。
ランジ
①足を開いて立つ。つま先の向きはまっすぐかやや開く
②背筋を伸ばして体を前の足の膝が90度くらいになるまで3~4秒かけて腰を下ろす
③②の状態から、膝を完全に伸ばさない状態まで3~4秒かけて戻り、また②にうつる。
*前に置いてある足の膝が、つま先より前に出ないように注意してください。スクワットと同じく、足の幅やどこまで深く腰を下ろすかによって負荷が変わります。
プッシュアップ(腕立て伏せ)
①うつ伏せになり、足を閉じる。手は肩幅より少し広めにつく。
②体を持ち上げ、腕とつま先で支えた状態から、肘をまげ、なるべく胸が床と近くなるくらいまで3~4秒かけて下す
③②の状態から、肘を完全に伸ばさない状態まで3~4秒かけて戻り、また②にうつる。
*体が一直線になっていることが重要です。お尻が浮きがちなので注意。うつ伏せでの腕立て伏せが難しい場合は、立ったまま壁に向かって行うことから始めましょう。
スクワット、ランジ、プッシュアップ、いずれも1セット10回を、負荷の感じ方によって1~3セットをおこないましょう。
スロトレの名の通り、
□動作をゆっくり
□動きをとめない
□関節を伸ばしきらない
この3つのポイントを守ると、筋肉を緊張させ続けることで刺激を与えることができ、十分な効果があることが確認されています。
毎日続けてみて、負荷が軽く感じられるようになったら回数を増やしたり、1回の負荷を重くしたりしてみてください。動作の最中は、自然に呼吸をすることも忘れずに。息を止めてしまうと、血圧が上がるリスクにつながります。
身に覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんが、運動の最大の敵は【続かない】こと!はじめは簡単にできてしまってOKです。
なんだか物足りないな、と思って最初から負荷をかけすぎると、やること自体が重荷になってしまい、なかなか続きません。結果が伴ってくれば、自然とレベルアップへのモチベーションが沸いてきますので、それから徐々にレベルアップすれば大丈夫。
3か月後・6か月後の変化を目指して頑張りましょう!
更に冷えに勝つプラス3ポイント
「足湯」や「半身浴」を習慣に
ぬるめのお湯にみぞおちから下だけを15分以上つける半身浴はおすすめです。じんわりと顔に汗をかくまでゆっくり入りましょう。肩にタオルをかけておくと上半身も寒くありません。
半身浴ができないときは、洗面器などに熱めのお湯を入れて、くるぶしから下を20分以上温める足浴も効果的です。入浴後はすぐに服を着て、体を冷やさないよう注意します。とくに、心臓から遠い足元は冷えやすいので、素早く靴下などを履きましょう。
冷えに効くツボ「三陰交(さんいんこう)」
三陰交は、冷えを改善するだけではなく、ホットフラッシュや生理不順などのさまざまな婦人科系の症状にも効果を発揮します。
足の内くるぶしの一番高いところから、指幅4本分上がったところで、骨と筋肉の境目のくぼみにあります。親指を使って、5秒間ほど、痛気持ちいいくらいの力で押したら、ゆっくり指を離します。左右の足ともに、3~5回ほど押しましょう。
冷えを防いで体を温める、毎日の食生活
冷たい食べものや飲みもの、水分の多い果物や生野菜、夏が旬の食べもの、白砂糖や甘いお菓子などは体を冷やすのでなるべく避けてください。
温かく調理したものや温かい飲みもの、冬が旬の食べもの、みそ・しょうゆ、赤身の肉類や魚、根菜類、発酵食品、干し野菜などは体を温める食べものなので積極的に食べましょう。
また、基礎代謝量が落ちると、太りやすくなります。脂肪は体を冷やすため、さらに体温が低下して冷えやすくなります。食べ過ぎに気をつけ、適量の食事を毎回、しっかり噛んで腹八分目にとどめ、規則正しい食生活を送ることも非常に大切です。
スロトレは道具も不要で自宅ですぐに始められるので、この記事を閉じたら早速挑戦してみてください!毎日いつやるかを決めておくとルーティーン化しやすくなります(夏になると汗をかくかもしれないので、入浴前などにしておくといいかもしれません)。
すぐにでもできそうなツボや入浴と比べて、食事は習慣化するのに時間がかかりますが、生活に基礎となることなので、改善を進めたいところです。少しずつでも、意識してみてくださいね。体に良いことを始めるのに、遅すぎるということはありません!