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ゲニステインを摂取することで乳がんのリスクはある?摂取しすぎることのデメリットから適切な摂取量までご紹介

乳がんのイメージ写真
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大豆イソフラボンの一種であるゲニステインを摂取すると、乳がんのリスクが上がるのではないかと心配していませんか。ゲニステインは適切な摂取量を守れば、更年期症状・骨粗しょう症だけでなく、乳がんのリスクを軽減できることが分かっています。ゲニステインにまつわる研究データや適切な摂取量をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。



ゲニステインを摂取することで乳がんのリスクはある?

女性ホルモンであるエストロゲンは、乳がんの発生や増殖に深く関わっています。乳がん細胞のなかには女性ホルモンの受容体を持っているものがあり、エストロゲンが結合すると増殖する場合があります。ゲニステインはエストロゲン同様に女性ホルモン様作用があるため、過剰摂取することにより乳がんの発症リスクにつながることが可能性として考えられます。

一方で、ゲニステインが受容体に結合することで、エストロゲン自体がエストロゲン受容体に結合する割合が下がり、乳がんの発症リスクが軽減できるともされています。

日々の食事で摂取できる程度のゲニステインでは、乳がん発症リスクの増加は確認されていません。適切な摂取量であれば更年期症状の改善などが期待できるため、決められた上限量を守ることが大事、といえます。



ゲニステインの適切な摂取量


丸大豆に含まれるイソフラボンアグリコンでは、ゲニステインの存在比率が約50%程度という報告があるので、イソフラボン摂取量の約半分がゲニステインに相当します。 食品安全委員会では、大豆食品では1日70~75mg、サプリメントなどでは30mgがイソフラボンアグリコンとしての摂取上限値と定めているので、そのうちの約50%がゲニステインと考えると、ゲニステインの適切な摂取量は35~37.5mg、サプリメントでは15mg程度となります。ただ、実際はゲニステインとしての摂取上限値は定められていません。摂取するゲニステインの量を計算するより、イソフラボンアグリコンの総量を守って摂取するのがおすすめです。

ゲニステインを含む大豆イソフラボンは、「摂れば摂るだけ良い」というわけではありません。決められた摂取上限を守り、継続的に摂ることをおすすめします。

食事のなかでゲニステインを含む大豆イソフラボンを摂取する場合は、以下の表を参考にすると良いでしょう。

大豆食品1食あたりの平均含有量
(大豆イソフラボンアグリコン換算値)
納豆(50g程度)1パックあたりおよそ37mg
豆腐(150g程度)1/2丁あたりおよそ30mg
味噌(18g程度)大さじ1杯あたりおよそ9mg
豆乳(200g程度)1パックあたりおよそ50mg


ゲニステインがもたらす効果

ゲニステインがもたらす効果には、以下のようなものがあります。

●乳がんリスクの低下
●更年期症状改善効果
●骨粗しょう症リスクの低下

女性ホルモンが作用を発揮するためには、エストロゲン受容体という鍵穴のようなものに結合する必要があります。

女性ホルモンのエストロゲン(鍵)がエストロゲン受容体(鍵穴)に結合することにより、エストロゲン受容体から強い信号のようなものが出て、自律神経のバランスを整えたり血管や関節などの健康を保ったりするのです。

ゲニステインが女性ホルモン様作用を発揮するのは、鍵となる女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似ていることからということが分かっています。そのため、ゲニステインを摂取することにより、分泌量が低下した女性ホルモンの働きを補うことができ、更年期症状の改善や、骨粗しょう症リスクの低下などが期待できるのです。


乳がんリスクの低下

ゲニステインは、乳がんのリスクを低下させることが分かっています。さまざまな研究結果がありますが、今回ピックアップしたのは、40~69歳の女性約25,000人を対象に行われた約10年間の追跡調査です。

この調査では、血中イソフラボン濃度と乳がんリスクに関係があると確認されています。

イソフラボンのなかでも、ゲニステイン濃度が高ければ高い人ほど、その後、乳がんになる可能性が低いと示されており、特に閉経後、乳がんになる可能性が低いと確認されています。

更年期症状改善効果

大豆イソフラボンアグリコンを摂ると、更年期症状が改善することが分かっています。

実際に、更年期症状を持つ40~50代の女性90人に、ゲニステインを多く含む大豆イソフラボンアグリコンを8週間連続して摂取してもらったところ、更年期症状によく見られる症状である抑うつ、不眠、めまい、頭痛、疲労感、血管運動神経症状(ホットフラッシュ、発汗、冷え)などで改善が見られました。

大豆イソフラボンアグリコンとは?

大豆イソフラボン配糖体は、糖(グリコン)が結びついた状態で存在しています。ここから糖の部分が切り離され、糖がない状態になったのが大豆イソフラボンアグリコンです。大豆イソフラボンアグリコンは、ゲニステイン・ダイゼイン・グリシテインの3種類で、ゲニステインは、このなかで最もエストロゲン活性が強い成分です。

出典:Muthyala R.S. et al. Bioorg. Med. Chem. 2004; 12, 1559-1567



骨粗しょう症リスクの低下

ゲニステインは、骨粗しょう症のリスクを低下させることが分かっています。大豆イソフラボン配糖体40mg(アグリコン換算:24mg、ゲニステイン=12mg相当)を12カ月連続して摂取する臨床試験では、骨代謝マーカーであるデオキシピリジノリン量の減少が確認されました。

デオキシピリジノリンは、数値が高いほど骨粗しょう症になるリスクが高いといえる物質です。この試験では、大豆イソフラボン配糖体の状態で継続摂取しても、骨粗しょう症のリスクが減少することが確認されましたので、アグリコンであるゲニステインにおいても同等以上の効果が期待できると考えられます。


ゲニステインはどうやって摂る?

ゲニステインを摂る際は、サプリメントでの摂取をおすすめします。大豆製品に含まれているイソフラボンの多くは、体に吸収されにくい「グリコシド型」だからです。体内に吸収されやすい「アグリコン型」は醤油、味噌などに多く含まれていますが、多量に摂取しようとすると塩分の過剰摂取につながってしまいます。その点サプリメントであれば、ゲニステインの「アグリコン型」を効率的に摂取できます。



まとめ


年齢を重ねるとともに、病気のリスクは大きくなるのが一般的です。更年期の症状が気になる方や、将来に向けて病気を予防したい方は、ゲニステインを含む大豆食品やサプリメントを試してみてはいかがでしょうか?

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