ゲニステインが更年期女性に選ばれる理由

ゲニステインは、更年期におけるさまざまな症状に働きかけてくれます。この記事では、更年期症状に悩む女性が、大豆イソフラボンアグリコン(ゲニステインを含む成分)を摂取した経過をまとめた臨床試験結果より、改善が見られた症状をご紹介していきます。

ゲニステインと更年期症状を調べた臨床試験

なんらかの更年期症状を持つ40~50代の女性90人を対象に、以下の3グループに分けて8週間連続摂取し、更年期症状の改善について調べました。

・大豆イソフラボンアグリコンを1日に25mg摂取

・大豆イソフラボンアグリコンを1日に12.5mg摂取

・プラセボ(有効成分が入っていない偽薬)を摂取

出典:Hirose A. et al.  Arch. Gynecol. Obstet. 2016; 293: 609–615.

抑うつ改善効果

代表的な更年期の症状の一つに、「物事に対する意欲の低下」があります。簡単に言うと、やる気が出ない状態です。

この臨床試験では、うつ症状を評価するスコア「Hospital anxiety and depression scale (HADS)」を用いて、症状を確認。すると、大豆イソフラボンアグリコンを1日に25mg摂取したグループは、プラセボ群と比較して、うつ症状が改善したことが分かりました。

不眠改善効果

睡眠障害も、更年期症状の代表的な症状として挙げられます。睡眠の質を評価する方法の一つに「アテネ不眠尺度(AIS)」があります。これは、世界保健機関(WHO)が中心となって作成された評価法で、8つの質問に対する合計点から、睡眠障害の有無が分かるものです。

このスコアにおいても、大豆イソフラボンアグリコンを1日に25mg摂取したグループは、プラセボ群に比べ、不眠症状に顕著な改善が見られました。

血管運動神経症状改善効果

この臨床試験では、MSS(更年期症状質問票)という更年期症状を評価するものを用いて、大豆イソフラボンアグリコンを1日に25mg摂取したグループは、プラセボ群と比較して、血管運動神経障害が改善したことも分かっています。

MSSは、ホットフラッシュ、発汗などの血管運動神経症状などについて答えるものです。更年期になり、少し体調が良くない日が続いている方は、こういった栄養素が、健やかな毎日を取り戻す助けになるかもしれません。

まとめ

ゲニステインは、大豆イソフラボンアグリコンの中でも、女性ホルモンによく似た構造をしており、女性ホルモン様作用が確認されています。とはいえ、ゲニステインを含むサプリメントを利用する場合も、治療薬ではありませんので、日々のサポートとして継続していくことをおすすめします。深刻な更年期症状にお悩みの方は、医療機関を受診するようにしましょう。

 

<記事監修>

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寺内公一先生
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座教授。医学博士。主に更年期障害や骨粗鬆症の診療に従事し、中高年女性の抑うつ・不安・不眠の特性とその対応についての研究や、閉経後骨粗鬆症の病態生理に関する研究、女性の身体的・精神的機能の加齢による変化と、食品・薬品およびそれらに含まれる生理活性物質がこれに対して与える影響についての研究を行う。