プロアントシアニジンは腎臓に良い?効果や注意点を分かりやすく解説
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近年、新たな国民病として「慢性腎臓病」が注目されています。日本における慢性腎臓病罹患率は増加傾向にあり、成人全体では5人に1人、80歳代になると2人に1人とさらに高くなります。また更年期の女性にとっては、腎臓病は発症リスクが高い病気の一つとも言えます。
プロアントシアニジンは、そんな腎臓の健康をサポートする成分です。本記事では、プロアントシアニジンが腎臓にどう働きかけるのかを解説します。また、摂取する上での注意点なども紹介するため、腎臓のためにプロアントシアニジンの摂取を考えている方はぜひ参考にしてください。
プロアントシアニジンとは?
プロアントシアニジンとは、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。その抗酸化作用から、健康や美容面でうれしい効果をもたらしてくれます。活性酸素による老化を防ぐほか、血流や脂質代謝の改善、シミの予防、さらに更年期の不調の緩和といった、年齢とともに気になり始めるさまざまな悩みに働きかけます。
プロアントシアニジンは、サプリメントのほか身近な食品にも含まれており、ブドウ種子や赤ワインなどから摂取することができます。
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プロアントシアニジンと腎臓の関係
ある試験によると、ブドウ種子由来のプロアントシアニジンを摂取することで、腎機能が改善したという結果が得られました。プロアントシアニジンがどのように腎臓に関与するのか見ていきましょう。
酸化ストレスが腎機能に与える影響
そもそも腎臓は、血液中の老廃物や塩分をろ過し、尿として体外に排出することで、体内をきれいに保つ役割があります。また、赤血球の産生や血圧の調整などに関わるホルモンをつくるほか、体液を調整するなどの役割も担っています。そのため、腎臓の働きが悪くなると、体内に老廃物や水分が貯まったり、赤血球が作られず貧血になったりと、さまざまなトラブルが生じます。
さらに、腎機能が低下することで、体内では活性酸素が発生しやすくなります。その活性酸素により、血管を守る役割がある一酸化窒素が活性窒素に変化。活性酸素と一酸化窒素のバランスが崩れ、さらに腎機能が低下してしまいます。
抗酸化による腎臓への可能性
腎臓は、一度悪くなってしまうと、なかなか回復が難しいといわれる臓器です。近年、注目されている慢性腎臓病は、腎機能の低下が3カ月以上続いている状態のことで、そのまま進行すると、人工透析や腎移植などの治療が必要になります。
特に女性は、更年期になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減少することで、血管や臓器にも何かしらの影響が出やすくなります。そのため、腎臓病の発症リスクも高まると考えられます。
腎機能の低下を防ぐには、酸化ストレスを発生させないことが一つの予防法です。そこで注目したいのが、プロアントシアニジンです。強力な抗酸化作用を発揮し、酸化ストレスによるダメージから腎臓を守ってくれることが期待できます。
プロアントシアニジンの腎保護作用に関する研究
ほかにも、プロアントシアニジンにより、腎臓の機能が改善したという臨床試験があります。慢性腎臓病患者にプロアントシアニジンを摂取させたところ、腎臓でろ過される血液量を表すGFR(糸球体ろ過量)の値が改善したほか、たんぱく尿の改善が確認されました※。
※Grape seed powder improves renal failure of chronic kidney disease patients
EXCLI J. 2016 Jun 27;15:424–433 より
腎機能が低下している人の摂取はOK?
プロアントシアニジンは、腎機能の改善を期待できる成分で、ブドウ種子や赤ワインなど身近な食品のほか、サプリメントから摂取することができます。サプリメントから摂取する際に、注意するべきことをご紹介します。
サプリメントでの摂取は医師に相談を
プロアントシアニジンは、身近な食品に含まれ、日常的に摂取されてきたことからも、安心して摂取できる成分といえます。そのため、腎臓病の治療中にプロアントシアニジンをサプリメントから摂取しても、特に問題はないといえます。ただし、摂取する前に、主治医に相談するようにしましょう。
腎臓病患者向けの成分摂取で気をつけるポイント
腎機能が低下していると、塩分やカリウムなどの排泄がうまくできなくなります。これらの成分は体内に留まると、さまざまなリスクを引き起こす可能性があります。そのため、プロアントシアニジンをサプリメントで摂取する際には、塩分やカリウムなど病状を悪化させる成分が含まれていないか確認しましょう。
腎臓の健康を守るためにできること
すでに腎機能の低下が見られる方、腎臓病のリスクが考えられる方は、生活習慣の見直しや、医療機関での継続的な健診を行いましょう。
食事・運動・生活習慣と合わせて成分を活用
慢性腎臓病の発症リスクを高めたり、腎機能の低下を加速させたりする要因に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が挙げられます。そのため、生活習慣の改善が慢性腎臓病の予防や、進行を抑えることにつながります。具体的にどんなことに注意したらいいのかご紹介します。
●食事面での注意点
野菜や果物、豆類、全粒穀物、魚、低脂肪の乳製品から、バランスよく栄養を摂取しましょう。また、塩分の摂りすぎにならないよう注意が必要です。
●運動
適度な運動は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を予防するとともに、腎臓の機能を維持するのに役立ちます。
運動習慣のない人でも始めやすいウオーキングをはじめ、水泳などの有酸素運動、ほかに筋力トレーニングなどを定期的に続けましょう。
●生活習慣での注意点
喫煙や過度の飲酒は、控えましょう。また睡眠不足は、健康にさまざまな悪影響を及ぼし、大きなストレスに。十分な睡眠を取ることも大切です。
継続的な健康チェックと医療機関との連携
慢性腎臓病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないといわれます。夜間尿やむくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れ出した頃には、すでに腎機能の低下が進行している可能性があります。そのため、年に一回の健康診断など、定期的な健康チェックが早期発見につながります。
慢性腎臓病かどうかを調べるには、まずは尿検査で尿たんぱくや血尿が出ていないかを検査します。また、一般的な健康診断で行われる血液検査でも、腎臓の機能を確認できます。血清クレアチニンの値は、老廃物であるクレアチンが腎臓でろ過され、尿中に排泄される量のことで、この値が高いと腎機能の低下を意味します。さらに、この血清クレアチン値から、GFRの推算値であるeGFR(推算糸球体ろ過量)も分かります。

まとめ|腎臓のために、ご自身に合った方法でプロアントシアニジンを取ろう
生活習慣の一つとしてプロアントシアニジンを取り入れる
慢性腎臓病は自覚症状がなく、気づかないまま腎機能の低下が進行しやすい疾患です。生活習慣病との関わりも深いため、食事をはじめ生活習慣の改善が、予防や進行を食い止めることにつながります。
腎臓は、機能が低下すると活性酸素が発生しやすくなります。そのため、強力な抗酸化力を持つプロアントシアニジンが、酸化ストレスによるダメージから腎臓を守ってくれることが期待できます。
日々の食生活にプロアントシアニジンを取り入れて、健康的な生活と定期的な健康チェックを行うことで、腎臓を守りましょう。
<この記事を監修いただいた先生>

和泉 亨
キッコーマンニュートリケア・ジャパン(株)開発部長
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