更年期に加速する肌の乾燥、冬の潤いケアは?

セルフケア


更年期世代の大人女子の代表であるヴィーナスたちが、日々の困ったお悩みを専門家に相談して解決していく「お悩み解決隊」。今回は48歳のユミコが、冬場に特に気になる乾燥肌の改善方法を求めて、成城松村クリニック院長の松村圭子先生にインタビューしました。松村先生の肌改善や生活習慣のアドバイスを受けて、ユミコも日常生活を見直し始めたようです。



更年期になると一層お肌が乾燥するのはなぜ?

ユミコ 肌の乾燥が気になる季節になりました。松村先生、まず冬に肌が乾燥する理由を教えてください。

松村先生(以下、松村) 冬に肌が乾燥しがちな理由は外的環境によるものが大きいです。特に日本の冬は湿度が低いですから、お肌の水分が蒸発しやすい環境だといえます。湿度の低下に加えて、エアコンの温風が肌の乾燥に追い打ちをかけてしまっていることもありますね。ただ、エアコンは夏でも冬でもつけるようになりましたから、冬だけではなく夏も肌が乾燥すると訴える方も増えているんですよ。乾燥肌に季節性がなくなってきている実感がありますね。

ユミコ 外的環境によって乾燥肌になるということですが、更年期に入ってから、肌がより乾燥するようになった気もしているんです。

松村 ユミコさん、それはあるでしょうね。更年期になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に減ります。エストロゲンは「美のホルモン」ともいわれていて、コラーゲンの産生を助けてくれているんです。エストロゲンの分泌量が減ると、肌のハリやツヤの土台であるコラーゲンの量が不足します。コラーゲンの減少により肌のバリア機能も低下して、表皮の乾燥が進みます。乾燥した肌にアレルゲンや紫外線などの外的刺激が加わると、肌トラブルが起こってしまうというわけなんです。

ちなみに最近では、長時間続いているマスク生活も、肌を摩擦する刺激でバリア機能が低下し、水分が飛んでいってしまう理由の一つになっています。

ユミコ 私は最近、口の周りがかゆく感じるときがあります。それも乾燥によるものでしょうか?

松村 Uゾーン(目の下から頬、口にかけてのライン)はもともと皮脂腺が少ないので、特に乾燥しがちな場所です。ひょっとすると乾燥からの肌トラブルが起きているのかもしれませんね。

ユミコ 水を飲んで体内から潤わせるのではダメでしょうか?

松村 最低限の水は摂る必要がありますが、飲んだ水はそのまま尿や汗として排出されるので肌の潤いには寄与しません。肌の乾燥は、外的な理由により水分の保持作用が低下してしまうことで起こるので、まずは肌を外側から保湿し、その潤いを逃がさないようにすることが大事です。



更年期の乾燥肌の対策を教えて!【スキンケア編】

ユミコ 更年期になったらなおのこと、しっかり保湿しなくてはいけないんですね。若い頃と同じ対策しかしていない気がします。どんなことに気を付けてスキンケアをすればいいのでしょうか?

松村 肌の乾燥は化粧品の使い方だけでなく、血行の改善もポイントになります。それでは更年期世代にトライしてほしい乾燥肌対策として、まずは化粧品の選び方や使い方をお伝えしましょう。

【化粧品の選び方、使い方】

●化粧水の成分はセラミドの配合に注目

更年期世代になると肌体力がなくなってきて、水分も油分も減る一方です。大切なのは水分や油分を「外から与える」こと、そして「取り入れたら逃がさない」こと。そのために化粧品は、とにかく保湿に重点を置いたものを選びましょう。

コラーゲンやヒアルロン酸は角質層の中で保湿成分になりますが、私がおすすめしたいのはセラミドが入っている基礎化粧品です。セラミドは角質層にある成分で、水分を肌に蓄える働きを持っています。しかしセラミドも加齢により減少していきます。保湿力の高いセラミドを肌の外から補うと、肌の潤いも保てるのです。

●更年期世代のマストアイテムは化粧水とクリーム

基礎化粧品のラインの中で、更年期世代の基本となるのは化粧水とクリームです。

まず化粧水。高価な化粧品に効果を期待する気持ちも分かるのですが、化粧水はたっぷり使えることが大事。安いものでいいので惜しみなく使いましょう。今の時代、安価だからといって質の悪い化粧品はそんなにありません。むしろ、アンチエイジングに良いとされる高価な化粧品の場合、ついついコストが気になってチビチビ使ってしまう…。これだと使用するときに肌をこすって摩擦になりやすいので逆効果です。

また、更年期世代は乳液よりもクリームを重点的に使いましょう。若いときは化粧水と乳液が基礎化粧品の基本でしたが、乳液は水分量が多いので、保湿力はクリームより劣るんです。年齢的にはクリームでしっかり保湿を。口周りなど乾燥しがちなところには、クリームを重ね塗りするといいですよ。

化粧水とクリームでしっかり肌に水分、油分を与え、ざらつき感やくすみがなく、ハリを実感できれば、肌が潤っているサイン。その上でプラスαのケアをしたいのであれば、保湿効果やリンクルケアを謳う美容液など、用途別のスペシャルアイテムを取り入れてみてはいかがでしょう。

●肌の変化に合わせてコスメもチェンジ

「昔から気に入っている化粧品を、ずっと使い続けて大丈夫か」と聞かれることがありますが、答えは「No!」です。年齢も変われば肌も変化しますよね。その肌の変化に応じて化粧品も変えていくといいでしょう。

化粧品を変えるタイミングは「その化粧品を使っていて肌トラブルがあるかどうか」です。私は乳液やクリーム、美容液の効果も入ったオールインワンの化粧品を使っていますが、自分の今の肌に合っている実感があり、トラブルもないので使い続けています。より積極的に肌の加齢のスピードを緩やかにしたいなら、今の自分にどんな化粧品が必要か、より丁寧に探せば、理想的な化粧品に出合えると思います。

なお、現代はいろいろな化粧品が巷にあふれていて、無添加のものならより肌に刺激がないのかと思う方もいるかもしれません。でも、添加物がすべて悪いかというとそうでもないのです。無添加とはいえ、防腐剤が入っていないならすぐに劣化してしまい、逆に肌にはマイナスの場合も。品質を保つために必要な添加物は、化粧品に入っていても肌には悪くありません。

●一年中しなくてはいけないのは紫外線対策

冬になるとつい油断しがちですが、紫外線によっても肌は乾燥します。そこで、夏だけでなく冬も日焼け止めを塗るなどして紫外線対策をしてください。冬の日焼け止めには、SPF値は夏ほどには必要ありませんが、PA値は高いものを選ぶようにしましょう。晴れの日はもちろん、雨の日であっても、UVAはガラスを通って肌の奥深くまで入り込んでしまうので、年中無休で紫外線対策をすることが大事です。紫外線はシワのもとになります。老化を緩やかにしたいなら、紫外線対策を怠らないでくださいね。今からでも遅くはないですよ!

●お風呂上がりは3分以内に化粧水をオン!

お風呂上がりには3分以内に化粧水を使いましょう。手でもコットンでも構いませんが、とにかくたっぷり使ってください。コットンの摩擦が刺激になる場合は手を使いましょう。また美容液がたっぷり入ったシートマスクも保湿効果が期待できます。

100円ショップで売っている乾燥したシートマスクに、手持ちの化粧水をしみこませて使うのは、肌にのせている間に乾いてしまうことがあるのでおすすめはしません。



更年期の乾燥肌の対策を教えて!【生活習慣編】

ユミコ 肌の外側からの乾燥対策を教えていただきましたが、食生活や生活習慣の改善で乾燥肌のためにできることはありますか?

松村 血行不良から肌のターンオーバーがうまくいかないと、乾燥肌を招いてしまいます。血のめぐりを良くして肌を整えることが大事なのです。ここからは、肌を健康にするための生活のヒントをお伝えしていきましょう。


【食生活】

●乾燥肌対策ならタンパク質とビタミンC、ビタミンE、EPA

コラーゲンはタンパク質の一種なので、季節を問わずしっかり摂っていく必要があります。また肌の代謝を整えるために、ビタミンCも必要です。ただ、ビタミンCはまず最初に必要な臓器に届けられ、ストレスでも消費されてしまって、肌に届くのは最後なんです。その意味では、意識して多めに摂るようにしないと美肌効果は期待できません。

冬には血管が縮こまり、血行が悪くなりがちです。乾燥肌対策には、血行を良くするビタミンEや、青魚に含まれるEPAを摂るといいでしょう。

●血行促進のための食生活は鍋や生姜紅茶

冬に頻繁に食べる鍋ものは、乾燥肌にはとても良いと思います。肉や魚からタンパク質が、白菜や大根などの野菜からビタミンCが摂取できます。特にキムチ鍋なら体が温まり、血行も促進されます。鍋から出る蒸気も肌を潤わせてくれますしね。

また、生姜紅茶もおすすめです。発酵作用のあるお茶は体が温まりますし、ビタミンCも多少補うことができます。


●スペシャルな食材より毎日食べられるものが基本

「フカヒレを食べて、肌がぷりぷりになった」という投稿をSNSで見ることがあります。でも、コラーゲンの代謝には3カ月ほどかかるので、1回食べたからといって肌が潤うわけではありません。第一、フカヒレを食べたら乾燥肌が改善するとしても、そんな高級食材を毎日食べ続けることはできませんよね。「これがいい」という特別な食べ物があっても、それだけを食べていては栄養も偏りますし、毎日は続けられない。現実的に考えると、普段からバランスのとれた食生活をずっと続けていることのほうが肌の保湿には大事です。

●野菜価格が高騰しているなら冷凍野菜を使う

美肌のために野菜を摂るべきだと思っていても、野菜の価格が高騰すると手が出せないことがありますよね。そういう場合は、冷凍野菜やカット野菜を検討してください。冷凍のブロッコリーなどは意外と良心的な価格なんです。旬のときに冷凍しているから栄養価も高いです。「摂らないより摂るほうがいい」わけですから、臨機応変に考えましょう。カット野菜も手間なく料理できるから、疲れている日にはもってこい。キノコ類だって、舞茸なら包丁いらずで、サッと料理に使えます。

更年期はただでさえ疲れやすい時期ですし、料理を完璧にする必要はないです。体がしんどいときには手間をかけずに野菜を摂る方法を考え、栄養バランスの帳尻を合わせましょう

●サプリメントも賢く活用を

もし「栄養が足りていない気がする」と思うなら、サプリメントを生活にとり入れるのも一つの方法です。不足が気になる栄養素を補給したり、肌の代謝を助けてくれたりします。忙しくて料理に手が回らないのに、「栄養素は食材から摂らないと…」と優等生を目指して自分を追いつめなくて大丈夫!できないときには、手軽なサプリメントを頼っていいと思いますよ。


【生活習慣】

●室内と自分の近くに加湿器を置く

エアコンを使うことが増えると、どうしても乾燥しやすくなるので、加湿器をおすすめします。室内を加湿するのはもちろんですが、自分の近くに卓上の加湿器を置いてダブルで湿度を補いましょう

●加齢により睡眠時間は短くなる。質の良い眠りを目指そう

血行の良い肌をつくるためには、睡眠も大切です。

加齢とともに睡眠時間は短く、眠りは浅くなっていきます。なぜなら副交感神経が低下してリラックスできなくなり、相対的に緊張状態が続くから。そのため意識して睡眠をとるようにしないと、睡眠不足になってしまいます。活動的だった20代、30代とは違って、もう荷を降ろして生活のスピードを緩めていかなくてはならない時期です。いかに楽をして、効率よくしていくかを考え、美肌のためにしっかりと睡眠時間をとりましょう

必要な睡眠時間は人によって違いますが、一般的には90分の倍数で起きると、良い睡眠がとれるといわれています。4時間半は短い気がしますので、6時間、7時間半など、いろいろ試してみるといいでしょう。

なお、よく眠れているサインはいくつかあります。


・シャキッとした気持ちで目が覚める

・起きるとお腹が空いていて、もう二度寝したいとは思わない

・日中眠くならず、昼寝をしないで過ごせる


また、夜、寝床に入っても30分、40分も眠れないのは眠りに問題が起きているサインです。更年期になるとメラトニンという眠りを誘うホルモンも低下するので、入眠儀式を見つけて自然に眠りにつけるようにしたいものです。

睡眠時間は、誰にも等しく与えられている「無料で健康をリセットできる貴重な時間」。この時間をおろそかにして、元気でキレイでいられるわけはないのです。睡眠時間を十分とらずに高い美容液を使えば美肌が保てるという考え方は、本末転倒ですよ。

●適度な運動をして体を疲れさせて眠る

睡眠は大事ではあるのですが、あまり意識すると逆に目が冴えてしまうという人も多いのです。眠れないままゴロゴロとベッドにいると、脳が「ベッド=眠らない場所」とセットで記憶してしまうのです。そうなると、ベッドにいるだけで眠れなくなってしまう。そうならないよう、眠れないなら別の部屋に行ってぼーっとするくらいがいいと思います。

また、適度に運動して体を疲れさせると、自然に眠くなるということもあります。かといって好きではないスポーツやジム通いをいきなり始めても続くわけがないし怪我のもと。とりあえず歩こう、雑巾がけの掃除をしよう、など身の回りの家事から始めるのがいいと思います。自転車をこぐのも、歩くのと同じ時間こぐなら立派な運動になりますよ。


●肌のためにはツボ押し、マッサージも有効

肌の血行を良くするためには、婦人科の万能ツボである三陰交(内くるぶしから指4本分上)、足三里(ひざのお皿から指4本下のすねの外側)、合谷(手の人差し指と親指の骨が交わるくぼみ)などを押すといいですよ。思い出したときに「痛気持ちいい」くらいの強さで押すと気分転換にもなります。

肌をマッサージするのもおすすめ。クリームを顔にのばしながらマッサージすると、滑りが良いのでいいと思います。マッサージの際に、決して肌をこすって傷つけないようにしましょう。

●冷え対策には筋肉をキープすることが大事

体が冷えると、血の巡りが悪くなり乾燥肌につながります。冷え対策をして血行を良くしておけば、乾燥肌も改善されます。そこで、顔だけではなく体を動かして、全身の筋肉をキープしましょう。筋肉は熱の最大の産生工場なのです。

また、体を温かく保つためにも、冬は特に冷たい飲み物は控えるようにしましょう。

●お風呂タイムでストレスをリセット

時間がないからとシャワーで済ませるのはNG!20~30分はバスタブに浸かって心身を緩めてください。湯気による保湿効果もありますが、なによりリラックスすることが大切。リラックス作用のあるアロマオイルを湯舟に垂らして、ゆっくり過ごしましょう。額がじんわり汗ばむくらいの温度で20~30分過ごすと、副交感神経が優位になって気持ちも落ち着きます。

なお、入浴するなら、寝床に入る1時間半前に入浴を終えるくらいのタイミングがベスト。お風呂で少し体温が上がったあとに、急速に体温が下がって眠気がやってくるからです。

バスタイムでリフレッシュできると、悩んで夜眠れないということもなくなります。ストレスからの肌荒れは多いので、バスタイムでストレスがリセットできれば、肌の調子もきっと良くなりますよ。


●ホットタオルと冷やしタオルを交互に当てて血行対策を

目元は皮膚が薄いので乾燥しやすい場所です。目元のむくみやクマが気になるようなら、ホットタオルを使いましょう。準備するのはレンジで温めたホットタオルと、冷やしたタオル。交互に1分間ずつ目元に当てると、血行が良くなり乾燥防止にもなります。

ユミコ ここまで伺ってきて、乾燥肌に悩みながらも、対策については手を抜き気味だったなと感じています。こんな私ですが、今からの対策でも遅くないでしょうか。

松村 乾燥対策は、気づいたときからでいいので始めてください!まだ間に合います。肌が乾燥し、シワが気になりだすと、鏡の前で自分に自信がなくなってしまうんですよね。それが自己否定につながることもあります。でも、女性は肌の調子がいいと「私はまだまだいける!」と自分に自信が持てるのです。



美肌の大敵、ストレスを遠ざけるコツ

ユミコ 先ほど、バスタイムにストレスをリセットするというお話がありましたが、私の場合、どうしても毎日ストレスが溜まっています。更年期世代は何かと気苦労も多い時期ですが、どうしたらストレスをなくした生活ができるのでしょうか。

松村 ストレスや外的環境で肌の血行が悪くなると、代謝も落ちてしまいます。肌にとって血行は何よりも大事ですから、どうすればストレスを解消して快適に暮らせるかを考えましょう。

一番いいのはストレスがあっても「スルーする」ことです。気になることが多すぎると、それが余計ストレスになるので、ものの考え方を変えていくということですね。

更年期に体のなかで起こるホルモンの変化は誰しも同じようなものです。それなのに更年期症状には個人差が出てしまう。その違いは、性格と環境なんです。ストレスの感じ方が強いと、更年期症状もつらくなってしまいます。ストレス源から逃げる方法を覚えましょう。

また、すべて自分でやらずに人を頼ること。更年期は棚卸、荷降ろしの時期です。がむしゃらに自分でやる時期は過ぎています。いかに人に任せるかを考え、自分は適当に過ごせるかどうかも大事なんですよ。

更年期になり、昔できたことができなくなってきた。シワやシミが気になってしまう。閉経を迎えると、もはや女性ではないのでは、と考えてしまう。こんなふうに自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかもしれませんが、「できなくなって当たり前」ととらえて、いかに緩やかにこれからの人生を生きていくかを考えましょう。私たち世代には、若い世代にはない社会性や経験値、いろいろあるじゃないですか。いかにストレスを「まあ、いいか」で流せるかが大切だと思います。

あとは、「私はこれをしているとすごく楽しいわ!」ということをたくさん見つけていきましょう。楽しいことで忙しくなると、悩んでいる場合ではなくなりますよ(笑)。

例えば私は、資格を取るのが好きなんです。ファイナンシャルプランナー2級、食生活アドバイザー2級、愛犬飼育スペシャリストを取りましたし、アンガーマネジメントも勉強しました。そうやって知識を増やしていくと、実生活にプラスになるし、自分にも自信が出てくるんです。勉強以外でも、興味を持った楽しいことにはどんどんトライするといいですよ。ヨガなどの素敵な趣味でなくても、例えば無心になってプチプチをつぶすというのだってアリです!更年期世代は、もう自分中心にものごとを考えていい時期。クヨクヨ悩まず、新しい世界の扉を開きましょう!

また、挑戦したいことができたときに、元気に楽しめるよう、日頃から丈夫な体をつくっておきたいですね。タンパク質をきちんと摂って、体を少しでも動かして、筋力を維持しましょう。筋肉や骨が減っても自覚症状はないかもしれませんが、筋力を維持しておくことは、更年期以降の自分のためにもなります

ユミコ なるほど、思うようにできない自分に歯がゆさや自己嫌悪を感じていましたが、ここからは「今の自分を大切にする」方向で進むべき時期なんですね!ストレスがあってもスルーできるように「今の自分が楽しめること」を積極的に見つけていきたいと思います。元気が出ました!



ストレスを吹き飛ばして更年期を楽しもう

ユミコ 先生、最後になりましたが、乾燥肌に悩む更年期女性に向けてメッセージをいただけますか?

松村 誰しも体や肌は老化していきます。これは避けられません。でも、その変化を緩やかにすることはできるはずです。これからはいかに肌に潤いを与えていくかに気持ちを切り替えましょう。いつまでも若々しく元気でキレイでいたいですものね。

我慢や努力…。更年期世代は、もう十分、努力してきたと思うんですよ。ここからは、優等生として100点を目指して教科書通りにやるのではなく、ストレスから自分を解放して、健康でハッピーを目指すだけでいいと思うんです。私だって大好きなお酒を飲めないのはストレスなので、休肝日はつくりません!(笑) その代わり、毎日バランスの取れた食生活は維持しようと思っています。

あとは、SNSを見て、同世代の華やかな生活をうらやましがらないこと。隣の芝は青く見えてしまいがちです。でも、自分自身に満足できていたら、外に向けて自慢する必要もないでしょう?あえて華やかに見せているのには、何か理由があるのかもしれない。そんな情報に自分の心が振り回される必要はないと思います。

その分、興味のあることにチャレンジしていきましょう。三日坊主はいけないとよくいわれるけれど、逆にいえば「3日は続いている」わけ。好奇心が旺盛だということですし、それを繰り返せば日坊主ではなくなります。そもそも始めなければ日坊主にすらならないんですよ(笑)。

長く生きていれば、昔の嫌な思い出、後悔することもたくさんありますよね。でもそれはそれで「まあいいか!」と思いながら、今からの自分だけ見ていきましょう。明日の自分は今日よりプラスにできるのですから。

更年期世代は、ようやくI(アイ、自分)を主語にして生きられる年代だと思うの。だから臆せず、「私(I)はこうしたい」と自分主体で人生を満喫していきましょう

ユミコ 乾燥肌の解決方法をお聞きしながら、更年期の乗り切り方、この先の人生の楽しみ方まで教えていただいた気持ちです。失いがちな肌の水分、油分の改善、血行の促進とともに、失いがちな自己肯定感の回復にも努めていきます。先生、今日は本当にありがとうございました!



松村圭子先生
日本産科婦人科学会専門医。成城松村クリニック院長。広島大学医学部卒業。広島大学附属病院を経て2010年に成城松村クリニックを開院。月経トラブルや更年期障害といった不調や病気の治療、婦人科検診のほか、サプリメントや漢方、各種点滴療法などのメディカルケアを行っている。著書に『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)、『女性の悩みはFemtechで解決!オトナ女子のためのカラダの教科書』(宝島社)など多数。


ユミコ
48歳。夫との2人暮らし。自営業をしながら、自分時間も楽しんでいる。2年半前から足のしびれや股関節の痛み、胃の不調を感じている。生理周期が短くなった影響で貧血や立ちくらみの症状があるほか、動悸や汗も頻発。冷え性もひどくなってきている。

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