更年期の髪の悩みを一挙解決!ハリ、ツヤ、コシをアップさせる方法
読者代表のヴィーナスたちが、更年期世代のお悩みを専門家にインタビューする『お悩み解決隊』。今回は52歳で管理職のナオミが、最近失われつつある髪のハリやツヤを取り戻す方法を、ヘアスタイリストの大川宏美先生に伺いました。女性ホルモンの減少に加えて、加齢や生活習慣…。更年期以降の美髪には、努力が必要と認識したようです。
更年期に増える髪の悩み。どうしてハリ、コシ、ツヤがなくなるの?
ナオミ 先生、若い頃はもっと髪の毛にハリがあったような気がするのに、最近髪の毛が弱っているような気がしているんです。更年期になると、髪の毛にも変化が出るものでしょうか?
大川先生(以下、大川) ナオミさんは52歳でしたね。更年期に分泌が減る女性ホルモンの一種・エストロゲンは、髪の成長に影響するので、ホルモンバランスの乱れのせいで、髪のハリやコシが顕著に低下しているかもしれません。
【ハリ、コシ、ツヤとは】
ハリ… 髪を引っ張ったときに、伸びた後切れずに耐えられる強度。
コシ… 髪の毛に力を加えたときに長さや体積が変化し、力を除くと元に戻る弾力。
ツヤ… 髪にあたった光の反射(表面が滑らかなストレートヘアは光が均一に反射するため、ツヤが出やすくなります)。
ただ、女性ホルモンの減少以外にも、老化現象、生活習慣の乱れによる血行不良や、外部からのダメージなど、ハリやコシが失われる原因はさまざまです。
ナオミ まさか女性ホルモンの減少が髪にも影響を与えているとは思いませんでした。それで女性は更年期以降、特に髪の悩みが増えるのかもしれませんね。私はハリやコシが気になっていますが、少し年上の友人は髪が薄くなったことを嘆いています。
大川 薄毛でお悩みの女性も多いですよね。それは、年齢を重ねて頭皮が変化することに理由があるんです。
歯を食いしばったときに動く側頭部分、ここには筋肉があります。そしてハチ(側頭の上、最も出っ張っている部分)には帽状腱膜があります。それに対して頭頂部には頭皮しかありません。年齢を重ねた方が、分け目が広くなってきた、頭頂部の髪が薄くなってきたと感じるのは、頭皮が下がったせいで頭頂部の頭皮が張り、毛穴が小さくなってしまうからです。そのため一つの毛穴から3~4本生えていた髪の本数が減り、髪の毛自体も細くなるんです。
頭皮は健康な髪をつくる土台。薄毛に悩まないためにも、またハリやコシをアップさせるためにも、更年期世代からしっかり頭皮を整えていきたいところです。
美髪はどうつくる?シャンプーとヘアケアのコツ
ナオミ 今、そしてこれからの美髪のために、何か私にできることはありますか?
大川 まずは、シャンプーの仕方を見直してみましょう。髪に良い成分を含むシャンプーを選び、毎日の洗髪の時間に頭皮のマッサージをすると、だんだん髪のハリやコシも変わってくると思います。
●シャンプーの選び方
シャンプーは汚れを落とすものですが、洗浄成分が強すぎたりすると髪の乾燥を招きパサついてしまいます。ハリやコシのためにはケラチンタンパク質、なかでもCMADKが配合されているものを選んでください。エイジングケア、保湿のためにはビタミンB₆が配合されているものも良いでしょう。これらの成分は、シャンプーだけでなく、トリートメントやアウトバスのヘアケア製品など、すべてのアイテムに配合されているのが理想です。
ケラチンタンパク質… 毛髪は8~9割がタンパク質でできていますが、ケラチンはその大部分を占めるタンパク質です。ケラチンは水分を保つ役割を果たし、枝毛や切れ毛などの髪のダメージを防いでくれます。
CMADK… CMADKとはS-カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンタンパク質のこと。髪本来のもつタンパク質の構造に近く、毛髪補修効果が高いタンパク質です。
ビタミンB₆… 頭皮の血行を促進させてくれる栄養素。頭皮環境を良好に保ってくれます。
●シャンプーの方法
健康的で柔らかな頭皮を維持するために、シャンプーの際に頭皮をマッサージして血行を促進させましょう。コツは、頭蓋骨と頭皮をずらすような動きで軽くマッサージすることです。血行を促進させる目的で軽めの力加減で行えば、力を入れすぎず指も疲れずにできるはず。頭皮の血行が良くなると、毛細血管が働き始め、栄養を運びやすくなるので、薄毛予防や白髪予防にも効果があります。
頭皮は重力に負けて下がってくるので、両手の指の腹で頭皮を上へ引き上げるように動かします。頭皮のマッサージにはリフトアップ効果もあるので、フェイスライン(頭の前後、側頭も)からはつむじに向けて引き上げるように動かしましょう。
●髪の乾かし方
髪の毛は3層になっていて、一番外側の組織がキューティクルです。洗髪後、髪が濡れているときはキューティクルが開いている状態。このままだと、少しの摩擦でキューティクルの組織が傷ついたり、はがれ落ちたりしやすく、ダメージヘアになってしまいます。また地肌も、湿った状態のままでは、雑菌が繁殖してにおいの原因になってしまいます。そうならないように、濡れた髪はすぐにドライヤーで乾かしてください。
髪は、根元から乾かすのが鉄則。温風を髪の根元に当て、ボリュームを出しましょう。その後、髪の毛を軽く引っ張るように乾かすとツヤが出やすいです。最後は頭頂部から下に向かってドライヤーの風を当てると、キューティクルの目がそろってキレイに仕上がります。
●ブラッシングの注意点
濡れた髪をコームやブラシでとかすと絡みやすく、キューティクルがはがれて、ハリ、コシの低下、髪のダメージにつながります。また、無理な力を加えてブラッシングすると切れ毛の原因にもなってしまいます。ドライヤーをして髪が乾いてくるとキューティクルが閉じるので、その段階で手ぐしで髪の絡まりをほどき、さらに乾かしていってください。
白髪染めにも気を遣いたい!髪の健康を考えたヘアカラーとは
ナオミ 私は月1回のペースで白髪染めをしているのですが、それも髪には良くないのかなと考えることもあります。白髪染めについては、どんなことに気を遣えばいいでしょうか。
大川 白髪染めは、髪への負担を減らすために、極力、根元のリタッチだけにするといいですね。ただし、毛先の色が抜けて明るくなりすぎたりしている場合は、全体にカラーを入れ直した方が、ツヤ感が出てキレイに見えます。その際も、根元はしっかり染め、退色した毛先部分に少し色を足す程度にカラー剤を減力(薬剤の濃度を抑えること)すれば、比較的ダメージも抑えられます。このあたりは美容師さんに相談するといいかもしれませんね。
なお、カラー後の頭皮と髪はアルカリ性に傾き、その後1週間くらいかけて肌と同じ弱酸性に戻っていきます。地肌のためには早めにアルカリ性を弱酸性に変えたいところ。カラー後すぐに弱酸性に戻すケアがついたヘッドスパなどのメニューがあるなら、それを選ぶのも良い選択です。
ちなみに、カラーを繰り返すとだんだん頭皮が敏感になって、薬剤の刺激を受けやすくなることがあるので、地肌に優しいカラーを選ぶのもおすすめです。例えば、私のサロンでは、オーガニック認証を取得した本物のオーガニックカラーも取り扱っているのですが、低刺激、ほぼ無臭、環境にも優しいと、いいことずくめなんですよ。
美髪を目指すなら、生活改善もマスト
ナオミ 生活習慣については、髪にどれだけ影響があるのでしょうか。髪も体の一部ですし、食事に気を遣うことも大事ですよね?
大川 もちろんです。食事だけでなく、運動や睡眠など、美しい髪のためにできる生活のヒントをお伝えしますね。
●バランスの良い食事
美髪を保つためには、バランスの良い食事を摂るようにしましょう。特に摂るといい栄養素としては、髪の毛をつくるもとになるタンパク質、髪の毛の成長を助ける亜鉛やビタミンB群などです。
また、ホルモンバランスを整えることも大事なので、女性ホルモン様作用のある大豆イソフラボンを摂取するのもよいでしょう。
タンパク質… 乳製品、肉類、魚介類、卵、大豆類など
亜鉛… 牡蠣、海藻類、レバー、肉類(赤身)、大豆、黒ゴマ、ナッツ類など
ビタミンB群… レバー、豚肉、魚類、緑黄色野菜など
●定期的な運動
血行をよくするためにも、生活のなかに、ウオーキングなどの簡単な運動を取り入れましょう。有酸素運動は、血流が促され、ストレスの解消にもつながります。
●良質な睡眠
寝ている間に成長ホルモンが分泌され、育毛につながるので、睡眠はとても大事です。ただ、長時間寝ればいいのではなく、質の良い睡眠を心がけたいところ。日中に活発に活動すれば、疲れて寝つきも良くなります。夜はカフェインを控え、寝る前のスマホもやめて、睡眠の質を向上させていきましょう。
髪の毛は見た目年齢を変える!今からのケアで楽しい毎日を
ナオミ 更年期の今から髪のケアをしていれば、これからの人生も変わってくるでしょうか。
大川 もちろんです。年齢の印象は髪の毛でかなり変わります。今日お話ししてきた頭皮と髪のケアを日々の習慣にしていただければ、ヘアスタイルが決まらないというストレスは少なくなると思いますよ。年齢を重ねても若々しくいられ、より人生を楽しめると思います。
加齢により髪や頭皮に変化が生まれるのは当たり前のことですが、適切なケアをしていれば、髪のハリやコシもある程度維持できるでしょう。髪の毛に良い変化が現れたら、ケアも苦ではなくなるはずです。
健康な髪は、ツヤがあって毛先までまとまりがあり、根元もふんわりしています。また健康な頭皮は、透明感がある青白い色です。この状態を目指して、ぜひケアを続けてみてくださいね。
ナオミ 何歳になっても素敵な髪を目指して、ケアを頑張ってみようと思います。先生、今日はありがとうございました。
<この記事を監修いただいた先生>
大川 宏美 先生
Hair Make CULMINE代表、トップスタイリスト
▼詳しいプロフィールを見る
ナオミ
52歳。未婚。仕事では管理職としてバリバリ働いている。約1年前から頭痛や肩こり、目の疲れがひどくなり、最近では高血圧や高コレステロール、肌の乾燥の症状も。生理周期が極端に短くなってきているのが悩み。
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