更年期のストレッチ、肩こりや腰痛に効果あり!

セルフケア

つらい更年期症状を抱える5人のヴィーナスたちが、その道の専門家に更年期症状の改善策を取材している「お悩み解決隊」。今回取り上げるお悩みは、更年期に悪化しがちな肩こりと腰痛です。管理職として忙しく働く52歳のナオミにとっても切実な問題ですが、更年期トータルケアインストラクターの永田京子先生にインタビューし、症状が楽になるストレッチを伝授していただきました。

更年期に肩こりや腰痛がひどくなるのはなぜ?
その生活習慣、その環境が肩こり・腰痛を悪化させる!
肩こり・腰痛はストレッチで改善!「ちぇぶら体操」を伝授
ストレッチをするとどんなメリットがあるの?
ストレッチ以外に取り入れたい改善策とは
肩こり、腰痛ケアはこれからの人生の土台に


更年期に肩こりや腰痛がひどくなるのはなぜ?

ナオミ  更年期になって、肩こりや腰痛に悩まされています。更年期に症状はひどくなるものなんでしょうか?

永田先生(以下、永田) 更年期に肩こりや腰痛がひどくなるという方は多くて、理由は2つあります。

1つは女性ホルモン(エストロゲン)の低下です。女性ホルモンには私たちの血管を強くしなやかに保つ役割があります。それが低下してしまうことで、血流がいつもよりも悪くなり、こりや痛みの原因である老廃物が滞りやすくなります

もう1つの原因は、姿勢です。骨盤が後ろに倒れて猫背の状態で過ごしていたり、 反り腰で過ごしていたりと偏った姿勢が続くと、特定の筋肉が緊張状態になります。特定の場所に負担がかかるとその部分の筋肉は硬くなり、血流が悪くなって疲労物質がたまり、肩こりや腰痛の原因になってしまうのです。


ナオミ  なるほど、更年期の症状もありますし、デスクワークでパソコンとにらめっこする時間も多いので姿勢の問題もあるかもしれませんね。ちなみに周りの友達は四十肩、五十肩で肩が痛いと言っている人もいるんですが、それと肩こりとは違いますか?

永田 更年期由来の肩こりと四十肩、五十肩は全く違います。

肩こりは、筋肉疲労や血行不良から起こる症状で、 肩自体は自由に動かすことができます。

一方で、四十肩・五十肩は、 肩関節の炎症によって起こっている症状です。 腕が肩よりも上に上がらない、腕を後ろに回すのが難しいなど、動きに制限が出ます。肩を動かすときに痛みを感じ、ひどくなると夜寝ていても痛くなってしまうこともあります。

ナオミ  四十肩、五十肩が関節の炎症によるものなら、きっと動かすだけでも痛いので、肩こりと区別はつきそうですね。

その生活習慣、その環境が肩こり・腰痛を悪化させる!

ナオミ  肩こりや腰痛になりやすくなってしまう生活習慣などはありますか?

永田 実は、運動不足が続くと肩こりや腰痛になりやすくなります。日ごろから体を動かしていますか? 運動をすると血流が良くなり、肩周りや腰回りに滞っているこりや、痛みの原因である老廃物を流し出してくれます。また運動することで、筋肉が柔軟に保たれるので、肩こりや腰痛の予防に効果があるんですよ。

また、パソコンやスマートフォンを触るときには特に姿勢に注意しましょう。首を前に突き出すような姿勢は首の筋肉や肩周りに大きな負担をかけます。できるだけ同じ姿勢を続けるのではなく、こまめに体を動かして 筋肉の緊張をほぐすようにしていきましょう。

ナオミ  言われてみると、パソコンやスマートフォンを見るときは、ゆとりがなくて無意識のうちに首を前に出しているかもしれないです。また、冬になってさらに肩こりがひどくなっている気もするんですが、気のせいでしょうか?

永田 いえ、おっしゃる通りで、冬になると肩こりや腰痛は悪化しやすくなります。寒い日には、つい肩をすくめて生活をしたり、余計なところに力が入ったりしませんか?筋肉がこわばると血管が圧迫され血液の循環が悪くなります。すると、疲労物質がたまって筋肉が硬くなりやすいので、冬こそこまめにケアをしていくのがおすすめです。


ナオミ  わかりました。肩こりや腰痛って誰もがありがちな症状だけに、ついついケアを怠りがちですよね。私は整体に通うようにしているのですが、もしケアをせずに放っておいたらどうなるのでしょうか…?

永田 実は肩こりや腰痛は万病のもとなんです!

肩こりを放っておくと、手足のしびれやめまい、耳鳴り、頭痛などの神経症状につながる恐れもあります。また特に首回りは、自律神経の副交感神経というリラックスする神経が通っている大切な場所。 そのため、肩こりがひどくなると、自律神経にも影響して、不眠や疲れやすさ、うつ症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。

私たちの背骨の中には神経の束が通っています。首回りや腰回りの筋肉が硬くなることで、 その神経を圧迫してしまうことがあるので、やはり肩こりと腰痛はその都度対策するに越したことはないですね。

ナオミ  自律神経に影響が出ると聞くと、ちょっとまずいなと感じます…。整体任せにせず、私自身も普段からケアしないといけないのかもしれませんね。

肩こり・腰痛はストレッチで改善!「ちぇぶら体操」を伝授

ナオミ  永田先生は更年期女性が明るく元気に暮らせるためのエクササイズを提唱されているとお聞きしました。肩こりや腰痛が改善する体操があれば教えていただけますか?

永田 わかりました!多くの更年期女性に支持されている、体の不調をその場で改善するストレッチ方法をご紹介しますね。その名も、更年期を前向きに捉えた「the change of life」が語源の「ちぇぶら体操」です。

●肩こりケア

肩こり解消のポイントは肩甲骨です。 肩甲骨周りの筋肉を伸ばしたり縮めたりと動かすことで、肩周りにたまっているこりの原因である老廃物を血流の力で流していきます。 仕事や家事の合間にぜひ取り入れてみてくださいね。

① 両方の手を肩の上に乗せ、肘で大きな円を描くように、前まわりに10回回す

② 同じように後ろまわりにも10回回す

③ 両方の腕をクロスして手を合わせ、頭上方向に伸ばす。10秒キープし、ゆっくり腕をほどく

肘を大きく回すときに、肩甲骨周りでゴリゴリというのは老廃物の音。 続けていくうちに、とってもすっきりしますよ。肩が痛い場合は無理をせずできる範囲で行ってくださいね。

●腰痛ケア

腰回りの筋肉をほぐし、背骨の柔軟性を高めるストレッチです。 骨盤、背骨、頭蓋骨まで連動させて上半身を大きく動かすことで姿勢改善にもつながります。 朝や夜、お布団の上でやってみてください。

① 肩関節の下に手首が、股関節の下に膝がつくようにハイハイのポーズをとる

② おへそを覗き込むようにして、背中をゆっくりと丸める

③ 斜め上を見上げるように首を動かし、背中を反らす。これを5セット繰り返す。呼吸は自然呼吸でOK。

背骨を動かすことに慣れてきたら、今度は肩甲骨周りまで大きく動かしていきましょう。背中を丸めるときに肩甲骨同士が両脇に離れるように、背中を反らせるときには肩甲骨同士が背骨側に寄るように筋肉を意識して動かせば、肩こりの予防・解消にも期待ができます。

こちらも腰が痛い場合は無理をせず、できる範囲で行ってくださいね。

ナオミ  とても簡単ですね!肩こりケアは仕事中にもできそうなので、デスクでやってみます!

ストレッチをするとどんなメリットがあるの?

ナオミ 日常的にストレッチをすると、どんなメリットがありますか?この先の体にも変化は出るものでしょうか。

永田 体を動かすことで血流が良くなれば、 全身に必要な栄養素や酸素が行き届きます。肌のハリや髪のツヤがアップしたり、冷えの悩みが解消されたり、夜よく眠れて心も晴れやかになるというように、心と体にいい循環がきっと起こりますよ。
また、「今」の習慣は、「10年後の自分をつくっている」といっても過言ではありません。今日・明日の快適さだけでなく、将来の生活習慣病の予防や筋力の維持にもつながりますから、ぜひ日常生活の中に「体を動かすこと」を積極的に取り入れてみてくださいね。

ナオミ  私は仕事に追われて忙しいこともあるのですが、ストレッチの時間がなかなか取れない場合は、どうすればいいでしょうか。

永田 肩こりや腰痛は、姿勢良く生活するだけでも症状を予防したり、改善することができます。日ごろから、股のあたりにある恥骨からおへそまでが床に対して垂直になるように、意識して骨盤を起こしてみてください。 腹筋や背筋など体を支える筋肉も鍛えられるので、代謝が上がる効果も期待ができます。

ナオミ  わかりました!将来の健康のためにも、できることから少しずつやっていきたいと思います。

ストレッチ以外に取り入れたい改善策とは

ナオミ  先生、ストレッチについていろいろお伺いしてきましたが、ストレッチ以外でも生活習慣や食事など、肩こり・腰痛の対策はありますか?日々仕事に追われている私にもできることが何かあればお聞きしたいです!

永田 肩こりや腰痛の最大の敵は「血行不良」です。日常生活の中でできる対策といえば、ウォーキングや、軽いジョギング、温かいお風呂にゆっくり入ったり、首回りや腰回りをホットタオルで温めたりして、血流を良くすることで随分楽になるはずです。

一方で食事を工夫するのもとても大事ですね。体を温める代表的な食材はショウガですが、そのほかにも、かぼちゃやナッツ類に含まれるビタミンEは血流を良くするはたらきがありますし、豆腐や乳製品、肉類などに豊富に含まれるたんぱく質は熱エネルギーの源となり体を温めます。また、寒い地域で育った野菜や、冬が旬のお野菜、地中で育つ根菜類なども血のめぐりを良くしてくれます。バランス良く食べて肩こりや腰痛になりにくい体を維持しましょう。

肩こり、腰痛ケアはこれからの人生の土台に

ナオミ 運動や日常生活での対策、食生活を見直せば、肩こりや腰痛が改善できるんですね!できることから早速生活に取り入れたいと思いました。最後に肩こりや腰痛に悩む更年期女性にメッセージをいただけますか。

永田 肩こりや腰痛は、「自分自身を大切にして」という体からのサイン。更年期には、これまで感じたことのないような不調に悩まされることがあります。いつもと違うと感じたら運動や食事、睡眠など生活習慣の改善で早めにケアをしてくださいね。

更年期に見つけた自分に合ったセルフメンテナンス方法は、この先の人生でもずっと使えるはずです。自分らしくごきげんに、快適に過ごすための心と体の土台を今からつくっていきましょう!

ナオミ  先生、今日は本当にありがとうございました。ちぇぶら体操、がんばりますね!



永田 京子先生

NPO法人ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター

演劇活動後、ピラティスや整体・経絡などを学ぶ。インストラクターとして活動する中で、更年期を迎える女性の健康サポートを目的とした「ちぇぶら」を設立。1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て研究・開発した “更年期対策メソッド”は、企業や医療機関などで講演を行い述べ2万5千人以上が受講している。著書に『女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操(三笠書房)』、『はじめまして更年期♡(青春出版社)』など。

ナオミ

52歳。未婚。仕事では管理職としてバリバリ働いている。約1年前から頭痛や肩こり、目の疲れがひどくなり、最近では高血圧や高コレステロール、肌の乾燥の症状も。生理周期が不規則になってきているのが悩み。

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