忙しい更年期こそ定期検診を必ず受けましょう

くつろぐ更年期の女性
学ぶ

更年期の女性の忙しさが、検診から足を遠のかせている?

乳がんと子宮がんは女性に特有の病気です。どちらも更年期(おおむね45~55歳)に発見されることが多いのですが、定期的な検診によって早期発見・早期治療ができ、治療しやすい病気でもあります。しかし、更年期の女性は、家庭に仕事にと多忙を極めていることが少なくありませんから、「忙しくてついつい後回しにしてしまう…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

2019年の過去2年間の乳がん検診の受診率(40~69歳)と子宮(頚)がん検診(20~69歳)の受診率*1を見ると、徐々に増加しているものの乳がんは47.4%、子宮がん43.7%にとどまっています。

40代になると、少なくとも2年に1回、乳がん検診を受けることが推奨されています。市区町村が住民を対象に行う検診なら、指定する医療機関において低価格で受診できますので、市報やHPなどをチェックしてみてください。

セルフチェックで見つけられる乳がん

乳がんは乳房の中の乳腺(乳管と小葉)にできるがんです。2017年の情報では、日本人女性の9人に1人*2が、生涯のうちに乳がんにかかるといわれています。しかし、早期に発見すれば、およそ9割以上が治るともいわれています。
乳がんにかかりやすい時期は、閉経の前後、つまり更年期と重なります。また、閉経後の肥満、喫煙、過度のアルコール摂取、早い初経、遅い閉経(日本人の閉経の年齢は平均で50.5歳)、初産年齢が高い、出産数が少ない、授乳経験が少ない、というような要素をもつ人は乳がんになりやすいといわれていますので注意が必要です。*3

乳がんはセルフチェックができるがんです。乳がんにかかった人の、およそ7割がセルフチェックで、およそ2割の人が自覚症状のないときに検診を受け、乳がんの発見に至っているというデータがあります。

乳がんのセルフチェックをする女性

セルフチェックでは、「乳房のしこり」「乳房のひきつれ」「乳首から血液がまじったような分泌物が出ていないか」などを毎月、月経後に定期的に確認しましょう。それと並行して、日々の入浴の際にその都度確認するとよりよいでしょう。
もし、乳房に違和感がある場合は、「乳腺外科」や「乳腺科」を受診しましょう。視触診だけでなく、マンモグラフィ検査、超音波検査が受けられる医療機関を探してください。

初期にはほとんど自覚症状がない子宮がんは、検診で早期発見が肝心

子宮がんは、子宮体がんと子宮頸がんの二種類があります(子宮の上3分の2を子宮体部、下3分の1を子宮頚部、と呼びます)。
子宮体がんも子宮頸がんも、ごく初期にはほとんど自覚症状はありません。不正出血や下腹部の痛み、茶褐色や悪臭のするおりもの異常などがみられる場合は、進行している可能性があります。
子宮体がんにかかった人のおよそ9割が不正出血を経験していますが、閉経前の月経不順と間違いやすいことが発見を遅らせる一因にもなります。特に閉経後に不正出血がある場合は、迷わず婦人科を受診しましょう。

子宮がん検診には「子宮体がん検診」と「子宮頸がん検診」があります。どちらも婦人科で受診できます。いわゆる「子宮がん検診」は、子宮頸がん検診であることが多いので検査の内容をよく確認しましょう。子宮頸がん検診も乳がん検診と同様に、市区町村が住民を対象に行う検診なら、指定する医療機関で低価格で受診できます。

現在では、医学の進歩によって、早期発見・早期治療できれば、乳がんと子宮がんは治りやすい病気になりました。
更年期の女性がみな、がんになるわけではありませんが、まだ検診を受けていないという人は、「なんとなく私は大丈夫」ではなく、「そういうこともあるかもしれないから、定期的に検診を受けておこう」という発想に、自分のためにも、家族や仲間のためにも、ぜひ切り替えましょう。

つい見落としがちですが、更年期以降の人生は、更年期の延長線上にあります(若い頃の日焼けが、今のお肌の悩みにつながっているのと同じです)。今、どう行動し、何を選択するのかということが、更年期以降をどう生きるのかということに深く関わっているのです。

*1 国民生活基礎調査より国立がん研究センターがん対策情報センターが作成したデータより(2020年9月)
*2 国立がん研究センターがん対策情報センター 「最新がん統計」データより
*3 認定NPO法人J.POSH HPより

ピックアップ記事

関連記事一覧