つらい股関節周辺の痛み。骨盤のクセを正して不調をリセットしよう
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対策

読書代表のヴィーナスたちが、専門家の知恵を借りて更年期のお悩みを解決する『お悩み解決隊』。今回は、50歳を目前に股関節痛に悩むユミコが、理学療法士の山口正貴先生のもとを訪れました。股関節痛を放置していると、将来の歩行に影響が出る可能性があると聞いて大焦り!先生に股関節痛の改善につながる、さまざまなセルフケア法を教えてもらったようです。一生歩き続けるために、更年期の今からすべきこととは…?
| 記事まとめ ・更年期に増える股関節痛は、女性ホルモンの減少や骨格の変化、生活習慣が関与。 ・簡単なセルフチェックで、股関節の不調サインを早めに把握できる。 ・姿勢や歩き方の見直し、ストレッチ・筋トレなど日常のセルフケアが予防・改善の鍵。 ・たんぱく質や大豆イソフラボンなど、栄養面からのサポートも重要。 ・痛みを放置せず、気になる症状があれば早めの受診が将来の歩行を守るポイント。 |
更年期に股関節が痛くなるのはなぜ?
ユミコ 先生、今日は股関節痛についてお伺いしたいです。実は私、40代半ばから股関節痛に悩んでいるのですが、この症状は更年期と何か関係があるのでしょうか。
山口先生(以下、山口) ユミコさん、確かに更年期世代の方から、股関節痛のお悩みをよく聞きます。
股関節とは骨盤と大腿骨をつないでいる関節で、体を支えたり歩いたりする際に重要な役割を果たします。更年期に股関節痛が増える主な原因には、女性ホルモンの減少と骨格の加齢性変化が深く関わっているんですよ。詳しくご説明しましょう。
【更年期に股関節痛が起こる理由】
●女性ホルモンの影響
女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、骨盤底筋などの筋機能が低下しやすくなります。加えて経産婦の場合は、妊娠・出産時にはリラキシンというホルモンの影響で靱帯が緩みます。こうした女性特有のライフイベントによる負担も、股関節痛の背景にあります。
●骨格の変化
加齢に伴い、女性は特に骨盤の後傾、腰椎の前弯減少(ぜんわんげんしょう・腰骨の自然な反りが消える状態)、胸椎の後弯増加(ねこ背)といった背骨の変形が顕著に現れやすくなります。これにより股関節の一部に過剰な負荷がかかり、痛みが出るのです。
●女性特有の「骨格」のつくり
女性は男性よりも骨盤が横に広く、股関節の受け皿である臼蓋(きゅうがい)が浅い“臼蓋形成不全”などの先天的要因を持つ人が多いことが挙げられます。また、大腿骨の角度(前捻角)の影響で内股になりやすく、関節への負担が偏りやすい特性もあります。
ユミコ なるほど、女性ホルモンだけでなく、骨格も関係しているのですね。実は私、特に冬に股関節が痛くなるのですが、季節も股関節痛に影響しますか?
山口 寒い時期の冷えによる悪化もありえます。ただ、暖かい時期にも安心はできません。それは以下のような理由からです。
【季節ごとの注意点】
●冬の冷えによる影響
寒いと血流が悪くなり、筋肉が固まります。特に朝起き上がるときや歩き出しがつらいのはそのためです。そんなときは、股関節周辺を温めると筋肉が柔軟になるので、痛みを和らげることができます。
●暖かい時期の活動量増加
春の陽気につられて歩きすぎると、普段使っていない筋肉が疲労し、関節もスムーズに動かしづらくなります。最終的に関節の変形・痛みにつながることがあるので、歩く距離を増やすなら無理のない範囲から少しずつ慣らすようにしてください。
●冷房による夏の冷え
冷房の効いた室内に、薄着のままでいると、筋肉が冷えて血の巡りが悪くなります。デスクワークが多くて座りっぱなしになるなら特に、膝掛けやストールを使って、股関節まわりを冷やさないように気をつけてください。
ユミコ 冷房対策にカーディガンを羽織って過ごしていましたが、下半身を冷やさないことも大事だったんですね!膝掛けやストールは一年中使うことにします。

股関節は大丈夫?セルフチェックで健康度を確認!
ユミコ 痛みを自覚していても、股関節がどの程度悪化しているのかなんて、自分ではなかなか分からないものですよね…。
山口 足を限界まで広げたときに感じるのが筋肉が伸びるような痛みであれば、筋肉の硬さが原因です。ただ、筋肉が伸びる感じがしないのに足の付け根(鼠径部)に鋭い痛みがある、休んでも良くならない、体重をかけると痛む、といった股関節痛は注意が必要です。
特に、夜寝ているときや安静にしているのに痛かったり、腫れたり、鼠径部が熱っぽかったりする場合は、早めに受診するようにしていただく必要があります(詳しくは病院の項で解説)。
まずは、股関節の健康度をチェックできる方法がありますので、よかったらぜひ試してみてください。
【股関節の健康度チェック】
① 片足立ちテスト
壁の近くで10秒間、片足立ちをしてみてください。痛みが出たり、支えなしで立てなかったりする場合は、股関節にトラブルを抱えている可能性があります。
② あぐらテスト
あぐらをかいてみましょう。片側の足だけ開きにくかったり、鼠径部が痛んだりする場合は、股関節の曲げ伸ばしや股関節の可動域に問題があるサインです。
③ 靴下テスト
座って靴下をはいてみてください。足を持ち上げると痛かったり、靴下を履きにくかったりする場合も、股関節の曲げ伸ばし、股関節の可動域に問題があります。
ユミコ 簡単なテストだと思いましたが、私の場合、10秒間の片足立ちでふらついてしまいました。あぐらをかくと鼠径部に痛みを感じますし、股関節にトラブルがありそうです…。

知らずに股関節を痛めていない?知っておきたい NG習慣、OK習慣
ユミコ 先生、でも私、股関節を悪くする動きをしている心当たりはないのですが、一体いつ、どんなタイミングで痛めてしまっているのでしょうか。
山口 ユミコさん、実は日頃無意識で行っている仕草のなかにも、股関節に良くない習慣があるんです。例えば、こんなNG習慣、していないでしょうか?
【股関節を痛めるNG習慣】
●股関節に負担をかける座り方をする
(例)
・足を組む
・横座りをする
・あぐらをかく
・柔らかすぎるソファに座る
・低すぎる椅子に座る(股関節が90度以上曲がる)。
●股関節を痛める歩き方、立ち方をする
(例)
・片足に重心を乗せて立つ
・いつも同じ側でバッグを持つ
・ヒールの高い靴を履く
●極端な姿勢をとる
(例)
・無理に背筋を伸ばしすぎる(反り腰・骨盤を立たせすぎる)
・脱力した姿勢のままでいる(ねこ背・骨盤を寝かせすぎる)
●体を締め付ける服装をする
・タイトすぎる下着やズボンを履く(股関節の動きを制限し、関節の一部に負担が集中しやすい)。
ユミコ え!思い当たる動作がありました!つい足を組んだり、柔らかすぎるソファに座ったり、いつも同じ側でバッグを持つのは、まさに日頃の私そのまんまです。知らず知らずのうちに、股関節に負担をかけ続けていたのですね…。

ユミコ すぐにでも股関節に良い生活習慣を取り入れたいのですが、具体的にはどんなことをすれば良いのでしょうか。
山口 股関節のためには、こまめに姿勢を変えることが大事です。股関節に、過重のストレスや、同一姿勢を続けることによるストレスを溜めないこと。そして溜まったストレスはすぐに流すことを意識してください。具体例を挙げてみましょう。
【股関節のためのOK習慣】
●立ち上がり方に気を付ける
椅子から立ち上がるときには、まず骨盤を立て、上半身を前に倒して足に体重を乗せます。横から見たときに、肩・膝・つま先が一直線になった状態(腰を軽く落とした安定した姿勢=パワーポジション)になってから、立ち上がるようにしましょう。
●過重ストレスを分散させる歩き方に変える
股関節に過重がかかる歩き方を直すことから始めましょう。歩くときには背骨のねじれを利用し、手は大きく後ろに振り、肩甲骨や背骨を動かすようにして歩くこと。足は前に踏み出したときに後ろの足をすぐ上げるのではなく、後ろの足をできるだけ長時間地面に着けておくように意識しながら歩いてください。このとき、足を後ろに蹴り出す必要はありません。伸ばしたバネがもとに戻るように、自然に足を前に出します。
腕や足を、体の前ではなく後ろに残すよう意識して歩くことで、背筋が伸びるだけでなく、股関節を後方に伸ばせる範囲が広がり、股関節の一部分に集中的にかかっていた重みを分散できます。
※もし、この歩き方で痛みが出る場合は、関節に不調が起きている可能性がありますので受診をおすすめします。
●寝るときの姿勢に気を配る
仰向けで寝る際、膝を立てて曲げると、骨盤を引っ張る筋肉が緩み、腰や股関節の負担が軽減できます。膝下にクッションを入れてもOK。
●同じ姿勢を続けないようにする
同じ姿勢が続かないように、5~10分おきに、骨盤を前後にゆっくり動かしてみてください。骨盤を動かすだけで、股関節も自然に伸び縮みして、固まるのを防いでくれます。
●関節ゆらしで股関節をとにかく動かす
座りながらジグリング(上下や左右に細かく股関節を動かすこと。詳しくは後述)で関節液がうまく巡るようになります。それが潤滑油のような役割をして、軟骨を保護してくれるのです。
●ぬるめのお風呂に浸かる
夜、お風呂から出て寝るまでの間は、筋肉が緩みやすくストレッチに最も効果的なタイミングです。38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、股関節周辺の筋肉がほぐれやすくなります。炭酸ガス系の入浴剤を使うと、血行促進効果がさらに高まります。
●カイロを貼る
腰の仙骨部分(お尻の割れ目の上あたり)や、股関節の外側(大転子周辺)に貼ると効果的です。ただし、低温やけどを防ぐため、直接肌に貼らず下着の上から貼るようにしましょう。ちなみに、鼠径部(足の付け根)には直接貼らないこと。ここは皮膚が薄く、血管や神経が多いので、カイロを直接貼るのはNGです。

ユミコ 日々の生活のなかで、意識を変えるだけで、股関節のためになるんですね。簡単にできそうなポイントも多くて、毎日の生活に取り入れやすそうです。そうそう、お風呂やカイロで温めるお話もありましたが、股関節痛は温めるといいのでしょうか。
山口 実は、患部を温める、冷やすというのは、痛みの種類によって使い分けたほうが良いのです。
●急性痛の場合(突然の強い痛み)
突然痛む場合や、患部が腫れたり、熱を持っていたりする場合、最初の48時間は冷やすようにしてください。炎症を抑えるため、保冷剤やアイスノン、氷のうなどをタオルで包んで15〜20分程度当てましょう。
●慢性痛の場合(継続的な痛みやこわばり)
血行が悪くなると痛みが出やすいため、慢性的な股関節痛には温めることが効果的です。患部を温めることで血流が良くなり、筋肉の柔軟性が向上します。インナーパンツを履いても良いでしょう。
股関節を緩和するために毎日取り入れたいセルフケア
ユミコ 先ほどは股関節のためのOK習慣を伺いましたが、より積極的に股関節にアプローチしたい場合、何かおすすめの運動があれば教えていただきたいです。
山口 分かりました。それでは、モビライゼーション(運動などを用いながら組織に働きかける技術)やストレッチ、筋トレなどをいくつかご紹介しましょう。
モビライゼーションは毎日、ストレッチは週3日以上、筋トレは週2日以上を目安に始め、慣れてきたら回数を増やしていきます。大切なのは、痛みが出ない範囲で継続することです。
【モビライゼーション】
●座ったままジグリング(関節ゆらし)
関節液の循環を促し、痛みを軽減する目的で行います。
椅子に座って、足のつま先を床につけたまま、かかとを小刻みに上下させます(一般的に貧乏ゆすりといわれる動き)。上下に軽く“プルプル”と30秒〜1分揺らしましょう。テレビを見ている間やデスクワーク中など、何かをしながらでOK。
<ポイント>
・荷重がかからないので変形性股関節症でも安全です。
・暇さえあれば何度も行うと良いでしょう。
・痛みが出ない範囲で小さく揺らすだけで十分です。

【ストレッチ】
●仰向け膝倒しストレッチ(股関節のねじり)
股関節まわりの筋肉を緩めるのが目的です。
1.仰向けに寝て、両膝を立てます。
2.両膝を揃えたまま、ゆっくり左右に倒してください。骨盤ごと回旋してOK。また、片側のお尻が浮いても問題ありません。
3.痛みのない範囲で10〜15回を2セット行ってみましょう。
<ポイント>
・力を抜いて“ゆらゆら”するだけでOK
・痛みが強い日は倒す角度を小さくすること。

●椅子でできる股関節ストレッチ(内もも)
内転筋(内もも)を緩めるためのストレッチです。
1.椅子に浅く座りましょう。
2.片方の膝を伸ばして横に開きます。かかとは床に付け、つま先は正面に向けること。その姿勢で、開けるだけ開いてください。
3.背筋を伸ばし骨盤を起こしたまま、内ももが伸びるのを感じるところまで、上体を軽く前に倒します。
4.内ももが伸びたら20〜30秒キープ。左右各2セット行いましょう。
<ポイント>
・上体を前に倒しすぎないこと。
・呼吸を止めないように注意。

●腸腰筋ストレッチ(股関節の前側)
股関節の前側の突っ張りを改善するために行います。
1.片膝立ちの姿勢になります。前膝は90度曲げましょう。
2.足の親指と膝の向きを揃えて、上体を垂直にしたまま、前に出した足に体重を移します。このとき、反り腰になったり、骨盤が前傾したりしないようにしてください。
3.後ろ足の付け根(鼠径部)が伸びるのを感じながら、20〜30秒キープ。左右各2セット行いましょう。
<ポイント>
・腰を反らさないこと。
・痛みが出る場合は無理をしないでください。

【筋力トレーニング】
① お尻の筋トレ(ヒップリフト)
お尻の筋肉を鍛えて、股関節の負担を軽減するのが目的です。
1.仰向けになり膝を立てます。
2.お尻をゆっくり持ち上げて3秒キープします。
3.ゆっくり下ろします。これを10回繰り返します。1〜2セット行いましょう。
<ポイント>
・腰ではなく“お尻”で持ち上げる意識を持つこと。
・痛みがある日は無理しないこと。

② ワイドスクワット
太もも・お尻の筋力アップにつながります。
1.両足を肩幅の1.5倍に広げて立ち、つま先は30度ほど外側に向けましょう。
2.足の親指と膝の向きを合わせ、手を太ももに置いたまま腰を真下に下ろします。上体は前に倒さず、垂直のまま行います。
3.浅い角度で良いので、屈伸をゆっくり10回繰り返してください。1〜2セット行います。
<ポイント>
・腰は深く下げなくてOK 。
・痛みが出る角度まで膝を曲げなくて構いません。

③ 横向き足上げ(中殿筋トレ)
股関節を安定させるための筋肉を鍛えます。
1.横向きに寝ましょう。
2.膝とつま先を正面に向けたまま、上の足をゆっくり持ち上げ、ゆっくり下ろします。
3.この上げ下げを10回 繰り返します。左右各1〜2セット行いましょう。
<ポイント>
・足は高く上げなくて大丈夫です。
・股関節の外側が軽く疲れる程度でOK。

【おすすめのツボ】
股関節に効くツボをご紹介します。両方とも、優しく5秒間押して5秒休む、を5回程度繰り返しましょう。
●環跳(かんちょう)
股関節の外側、お尻の筋肉の中央付近にあるツボです。股関節痛や坐骨神経痛に効果があります。
●承扶(しょうふ)
お尻と太ももの境目の中央にあるツボ。股関節やお尻の痛みに有効です。
ユミコ 日常生活で“ながらケア”できそうなものばかり!早速トライしてみます。
体のなかから支える!股関節のために摂りたい栄養素
ユミコ よし!毎日少しずつ、教えていただいたモビライゼーションやストレッチをしてみますね!
山口 ユミコさん、股関節を動かすことはもちろん大事なのですが、もう一点、栄養面にも気を遣っていただきたいです。栄養不足の状態で運動すると筋肉を壊してしまうため、きちんとした食事で体のなかからのケアも行ってください。
【股関節痛に良い栄養素】
●たんぱく質(筋肉の材料になる)
鶏肉、魚、大豆製品、卵などに含まれるたんぱく質は、筋肉量の維持・増加に必須の栄養素です。体重1kgあたり約1g/日(体重60kgなら60g前後、1食あたり約20g)を目安に摂取しましょう。運動をしたときに筋肉を効率よく増やしたい場合は、普段よりも少し多め(体重1kgあたり1.6g/日)の摂取がおすすめです。
<可食部 100 g 当たりのたんぱく質量>
可食部100g=手のひら片手分が、1食で摂取したい肉・魚の目安量です。指を含まない手のひらの大きさと厚み(約80〜100g)で、たんぱく質約20gが摂取できます。
・鶏もも肉(皮つき) 約17g
・皮付きの焼鮭 約25g
・鶏卵 全卵(生) 2個(約12g)
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023より
●ビタミンD(骨の健康を保つ)
鮭・サンマなどの魚類やきのこ類は、カルシウムの吸収を助け、骨を強くします。骨の健康のために、食べ物だけでなく、15分ほど外に出て日光を浴びることもおすすめです。
●オメガ3脂肪酸(炎症を抑える)
サバ、イワシなどの青魚、亜麻仁油、えごま油に含まれます。関節の炎症を抑える効果が期待できます。
●ビタミンC(コラーゲン生成)
ブロッコリー、パプリカ、キウイ、いちごなどに含まれるビタミンCは、軟骨の主成分であるコラーゲンの生成に必要です。
●大豆イソフラボン(女性ホルモン様作用)
納豆、豆腐、豆乳などに含まれる大豆イソフラボンは、更年期のエストロゲン減少への対策として、筋肉や靱帯の機能を維持するために重要です。
ユミコ 体の内側からも健康に、ですね!ご紹介いただいた食品は、日頃から積極的に食べるようにしますね。

こんなときには迷わず病院へ!プロを頼るべき股関節痛サイン
ユミコ 股関節痛がありながらも、「まだ大丈夫だろう」と何も対処していない女性は多いようにも思います。股関節にひどく痛みを感じる場合、病気の可能性はあるのでしょうか。また症状を放置した場合のリスクもお聞きしたいです。
山口 股関節痛から考えられる疾患にはいろいろあります。
●考えられる疾患
・変形性股関節症(軟骨が摩耗して関節が破壊される症状)
・関節リウマチ
・股関節唇(関節の縁の軟骨)損傷
・腰椎由来の痛み(関連痛) など
【痛みを放置した場合の問題点】
●手術の可能性が出る
日常生活に支障をきたすようになると、人工関節置換術などの手術を検討することになります。
●全身へ痛みが波及する可能性がある
片側の痛みをかばっていると、腰や膝など全身の関節に変形や痛みが波及する場合があります。
●歩行困難になる恐れがある
10年〜20年後、軟骨が完全に消失し、骨同士が直接ぶつかる末期状態になると、激痛で歩行困難になる場合があります。

ユミコ えっ!片側の痛みをかばうと、全身の関節に変形や痛みが波及するリスクがあるんですか!しかも歩行困難になる恐れもあるなんて…ちょっと怖いです。
山口 重症化すると大変なので、少しでも股関節痛が気になったら、まずはクリニックに行ってドクターに見てもらうことが一番だと思います。病院に行ったほうがいいと思われる股関節痛のサインをご紹介しておきます。
【股関節痛の進行度のサイン】
●初期サイン
・開脚しにくい
・あぐらが開きにくい
・横座りがつらい
・股関節が詰まる感じがする
・動き始め(立ち上がりや歩き出し)の痛み
・長時間歩くと重だるくなる
●進行期のサイン
・靴下やストッキングが履きにくい
・足の爪切りが困難
・階段の上り下りがつらい
・歩くと痛みが出る
●末期のサイン
・左右の足の長さが違う
・歩くときに上半身が左右に揺れる
●クリニック受診のタイミング(以下の症状が見られたらすぐに受診を)
・筋肉が伸びる感じはないのに足の付け根(鼠径部)に鋭い痛みが出る場合
・左右の足の長さが違うと感じたとき
・仰向けに寝たときに、膝の裏に隙間があるとき
・足にしびれや関連痛が出現したとき
・体重をかけると痛いとき
・片足立ちがつらいとき
・夜間痛・安静時痛(寝ているときに目が覚める、何もしていなくても痛い)があるとき
・発熱・腫れ・赤みを伴う場合
・休んでも良くならないとき
・セルフケアを1カ月続けても改善が見られない、あるいは症状が悪化した場合
・痛みが徐々に悪化するとき
●病院での検査・治療
まずレントゲン検査が行われます。股関節の形や関節の隙間、骨の変形の有無などを確認し、痛みの原因を探ります。必要に応じて、CTやMRIなどの精密検査が追加されます。
リハビリでは、理学療法士が関節可動域や筋力、ボディイメージ、姿勢、起居動作、歩行などを詳細に評価し、個別にメニューを作成します。改善までの期間は症状の進行度によりますが、初期段階であれば3〜6カ月程度のリハビリで改善が期待できます。
ちなみに、先ほど「足にしびれや関連痛が出現したとき」と書きましたが、仙腸関節やその周囲の靱帯・筋肉に問題がある場合、「関連痛(太ももやお尻など、本来痛むはずのない部位に痛みや違和感が広がる現象)」として足に痛みや違和感が出現することがあります。また、背骨の加齢性変化(脊柱管狭窄症など)が原因で足にしびれが出ることもりますので、その点も注意してくださいね。
ユミコ ひと口に股関節痛といっても、さまざまなバリエーションがあって自分での判断には限界がありそうですね。症状が重くなる前にクリニックを頼るべきだなと感じました。

股関節痛への対策はまだ間に合う!
ユミコ お話を伺ってきて、私自身、一度クリニックで今の自分の股関節を調べてもらったほうがいい気がしてきました。と同時に、セルフケアや食事も頑張ろうと思います。こんな私でも、今から股関節痛を改善するのは可能でしょうか。
山口 もちろんです。更年期からでもケアを始めれば、股関節痛の予防・改善は期待できますよ。日々の備えが、将来の関節の痛みや骨折、転倒といった大きなトラブルを防ぐことにつながります。
股関節や骨盤の不調は、みなさんが長い年月をかけて積み重ねてきた“生活習慣のクセ”の結果です。「骨盤は嘘をつきません」。骨盤が教えてくれるサインを正しく読み解き、適切なセルフケアを始めれば、体は必ず応えてくれます。
「面倒くさい」「三日坊主になりそう」と感じたら、まずは1日1回、10秒だけで構いません。その小さな一歩を1カ月続ければ、「自分は継続できる人間だ」と脳のなかでセルフイメージが書き換わります。そうすれば、きっと10年後、20年後も自分の足で健やかに歩き続ける未来を手に入れることができるはずです。
ユミコ 股関節の痛みを諦めて受け入れていましたが、放置すると危険と分かれば話は別ですね。年をとったときに歩けなくなったら困るので、今から股関節痛のセルフケアを頑張ります。先生、今日は本当にありがとうございました。
<この記事を監修いただいた先生>

山口 正貴 先生
理学療法士
▼詳しいプロフィールを見る

ユミコ
48歳。夫との2人暮らし。自営業をしながら、自分時間も楽しんでいる。2年半前から足のしびれや股関節の痛み、胃の不調を感じている。生理周期が短くなった影響で貧血や立ちくらみの症状があるほか、動悸や汗も頻発。冷え性もひどくなってきている。





