更年期のホットフラッシュとの付き合い方
ホットフラッシュの原因は、女性ホルモンのアップダウン
更年期(おおむね45~55歳)は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少します。急激に減少するというと、滑り台のようなきれいな下降線を想像するかもしれません。
しかし実際は、1日の間でも分泌量は急激なアップダウンを繰り返していて、波打つようにしながら下降線を描いていきます。
この急激なエストロゲンのアップダウンは、代謝や体温、血圧、発汗、消化などを調節する自律神経のバランスに影響を与えます。
ホットフラッシュは、自律神経のバランスが乱れ、血管の拡張・収縮のコントロールがうまくいかなくなることで起こり、だいたい月経が不順になる頃からあらわれ始めます。
代表的な症状としては、顔や頭、上半身がカーッと熱くなり、熱さとともにたくさんの汗が出る、あるいは、熱くもないのに、汗だけがたくさん出る、といったことです。
これらは、数秒間で消えることもあれば、数十分続くこともあります。また、1日に数回のこともあれば、数十回繰り返すこともあり、1時間に数回起きることもあります。
症状の強さや頻度は人によって異なり、あまり気にせずに過ごせる方もいますが、 一方で、のぼせや発汗などの変化に戸惑い、体力的に疲れてしまったり、大量の汗を拭いたり着替えたりすることがしんどくなったり、睡眠の質が落ちたりして、気持ちがふさいでしまう方もいます。
いつ起きるかわからないため、外出するのが不安、億劫になるという方も目立ちます。
単純に、汗でメイクが落ちることや汗ジミが目立たないように服装に気を遣う、というのもストレスですよね。
ホットフラッシュの原因が更年期によるものであれば、症状そのものは時期が来れば治まります。
しかし、いつか終わるとわかっていても、今この時が辛い、という気持ちは変わりません。
そんな時は我慢せず、また、「こんなこと」だと思わずに、更年期に理解の深い婦人科で相談してみましょう。そして、特に身近な人にはできるだけ症状と、辛く思う気持ちを理解してもらうようにしましょう。
また、ホットフラッシュの背景に、血圧や心臓、甲状腺の病気が隠れていることがありますので、専門の病院で診察を受けて、問題がないことを確認するのも大切です。
ホットフラッシュのきっかけを把握しましょう
例えば「緊張」は、ホットフラッシュが起こるきっかけになりやすいもののひとつです。
人前に立ったり、話したりしたときに、これまで以上に汗が止まらなくなって困ったという方は少なくありません。
一方、記憶をたどっても、特に緊張しているわけでもないのに、ホットフラッシュが起こるという方ももちろんいます。
自分では緊張していないつもりだったけれど、そういえば携帯に電話がかかってきたタイミングだったとか、ちょうど届いたメールを読み始めたときだった、など、ちょっとした気持ちのスイッチの切り替えが、きっかけになっていることもあるようです。
ホットフラッシュが起こった時、後から自分がその時に何をしていたのか、どういう精神状態だったのかを振り返ってみると、自分なりにきっかけの見当がつき、いつ起こるのかわからないという不安が、少し和らぐこともあります。
日記をつけたり、スマホのメモ機能を利用したりして、自分の状態を把握してみましょう。
大切なのは、大丈夫という気持ち!備えておきましょう
ホットフラッシュが起きた時にも快適にやりすごせるアイテムや、普段の生活の中で取り組めるセルフケアは、その選択肢が多いほど心強いものです。
これはできそう!という内容があれば、ぜひ取り入れてみてください。
<汗をとめるツボ>
更年期トータルケアインストラクターの永田京子先生が、更年期ケアの「ちぇぶらチャンネル」で汗を一瞬でとめるツボを紹介してくださっています。
汗が出たら、慌てずにまず実践!
<外出時に心強いもの>
●プラス1枚、吸水性のあるハンカチを持ち歩く
手を拭くハンカチとは別に、大量の汗が出た時に用に、吸水性に優れたハンカチを用意しておくと安心です。
湿ったハンカチをしまう袋も用意しておくと他の物が濡れません。100円均一や雑貨屋さんで可愛いジップバッグが揃っているので、小さな工夫で少しでも気分を盛り上げるのもおすすめ!繰り返し使えるのもポイントです。
●扇子、ハンディファンを活用する
からだが熱くなった時、涼しい風が顔に当たるだけでもほっとするものです。季節を問わずバッグに1本入れておきましょう。
特に暑い季節には、最近広く普及しているハンディファンも活用を。
●機能性重視のインナーを選ぶ
汗のことばかり気にして、着たい服が選べないことはストレスになりますよね。
インナーに吸汗性や速乾性に富んだ素材、抗菌防臭加工がされたものを選べば、汗をかいても不快にならずに過ごせます。そして、インナー以外は、できるだけ着たい気持ちを優先させましょう!
症状が頻繁に出る時や暑い季節は、予備のインナーを携帯するのもあり。
<寝汗が酷いときは…>
ホットフラッシュは、昼だけでなく夜にも起こります。熱さと汗で、夜中に何度も目が覚めてしまう方もいます。
汗をかいた服をそのままにしておくと体が冷えてしまいますので、予め寝間着の予備を枕元に置いておき、手早く着替えましょう。近くに置いておくことで、面倒な気持ちも幾分やわらぎます。また、枕カバーの上にタオルを1枚引いておくと、ひとまずタオルを替えることで、さっぱりしますね。
また、上半身はほてっているにもかかわらず、下半身が冷えている「冷えのぼせ」の方は、普段から「冷え」の改善を意識しておくことも大事です。筋肉量を増やして基礎代謝を上げ、体を冷やす食べ物を控え目にしましょう。
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ホットフラッシュそのものの根本的な解決は、更年期症状の改善(女性ホルモンに似た働きをする成分の摂取や、ホルモン治療など)を地道に行っていくことですが、「汗をかいたらどうしよう」という不安やストレスは、「汗をかいたらこうしよう」「汗をかいても、大丈夫」と思えるよう、事前の備えで軽減しましょう。
ただでさえストレスの多い更年期。少しでも心の負担を減らすことは、それ自体がとても意味のあることです。 まずはすぐにできるツボ押しから覚えて、試してみてください。