ぽっこりお腹・猫背・反り腰… 更年期の老け見え姿勢をゆる矯正しよう
更新日: 公開日:
セルフケア

更年期世代の代表であるヴィーナスたちが、大人のお悩みごとを専門家の先生に相談していく「お悩み解決隊」。今回は、最近なんとなく姿勢の崩れが気になってきたヤヨイが、ヨガインストラクターの橋本はづき先生にお話を伺います。更年期世代でありながら、いきいきと毎日を暮らしている橋本先生。ヤヨイは、姿勢の整え方とともに、ブレない考え方も学んだようです。
更年期の姿勢崩れ、原因はインナーマッスル?セルフチェックで確認を
ヤヨイ 先生、最近なんだか姿勢が悪くなってきたような気がするんです。これって、もしかして更年期の影響なんでしょうか?
橋本先生(以下、橋本) もちろん、女性ホルモンの関係もあるとは思います。でも、実は加齢によってインナーマッスルが使いにくくなっていることが原因かもしれません。特に、腹横筋(4層構造になっている腹筋の一番深いところで、内臓を支える筋肉)が使えなくなっている女性が多いなと、日々感じています。
この腹横筋が弱くなると、下腹部がぽこっと出やすくなったり、逆に背中側の筋肉ばかりに頼ってしまって、腰を痛めやすくなったり。反り腰や骨盤後傾など、骨盤の位置が崩れる背景には、このインナーマッスルの衰えが関係していることが多いんです。
さらに、年齢を重ねて呼吸が浅くなってくると、姿勢を保つのが難しくなってきます。それは呼吸筋の衰え、腹筋の衰えが、長年少しずつ積み重なってくるから。こうして姿勢が崩れると、老けて見られがちになってしまうのです。
姿勢を良くするためには、腹筋の一番奥にある腹横筋という“お腹のコルセット”をちゃんと使い、正しく呼吸することが大切です。
ここで腹筋の構造について、もう少し詳しくご紹介していきますね。

●腹直筋:お腹の正面にある筋肉で、鍛えるといわゆるシックスパック(お腹が6つに割れて見える状態)になる部位。更年期世代は、この表面の筋肉ばかりに頼りがちです。
●外腹斜筋:脇腹の外側にある筋肉で、内腹斜筋と一緒に体の回旋や傾きの動きを助けています(腹斜筋をしっかり使えるようになると、体幹が安定して姿勢を正すことができ、腰痛改善にも効果があります)。
●内腹斜筋:脇腹の内側にある筋肉で、体をひねったり、ねじったりする動きに関わっています。
●腹横筋:腹筋のなかで最も深い部分にあり、お腹をコルセットのように覆って内臓を守っているインナーマッスル。体幹を安定させて、姿勢をきちんと保つ役割があります。呼吸、特に息を吐くときに大きく関わり、腰痛にも関係している筋肉で、更年期世代ではうまく使えていない人が多いのがこの部分です。
ヤヨイ 腹筋ってそんな層になっていたんですね。腹横筋を正しく使えている自信もありませんし…。そもそも、お話を伺っていて自分の姿勢が心配になってきたのですが、チェックする方法はありますか?
橋本 では、姿勢のセルフチェック法をご紹介しましょう。
【姿勢のセルフチェック】
①壁に背中と頭(後頭部)をつけて座ってください。
②肩と腰の力を抜きましょう。
③背中が丸まり、肩と首が前に出るなら姿勢が崩れている証拠です。背中と頭が壁にまっすぐ沿っていれば(壁についた状態がつらくなければ)、正しい姿勢を保てています。腰は隙間が空いていてOK。
ヤヨイ うーん、なんとなく体が丸まっているような気がします。やっぱり私、猫背なんですね。
橋本 ヤヨイさんは“丹田”をご存知でしょうか。丹田は、体の中心とされる場所で、おへそから指3~4本下がったところにあります。
この丹田が緩んでいると背中が曲がり、肩や首が前に出やすくなります。背中の筋肉で頭を持ち上げようとする人は腰痛になりやすいですし、肩の力だけで体を支えていると、肩こりもひどくなりやすいんですよ。
丹田を締めるようにすると、リラックスしながら姿勢が整います。今まで使っていなかったお腹の筋肉に意識を向けて、お腹で頭の重さを支える…体の真ん中に“柱”を立てるイメージで試してみてください。

【姿勢の整え方】
①丹田に意識を向けて、呼吸をしながら下腹部のあたりをグッと締めましょう。肩と腰の力は抜いてください。
②お腹の奥に意識を向けると、自然と丹田が目覚めてきます。丹田が締まっていないと感じたら、上半身を軽くねじったり、肩を回したり、揺らしたりしてみましょう。丹田が締まってさえいれば、上半身でそんな動きをしてもブレずに自然と良い姿勢がとれることを感じられるはずです。
ヤヨイ なるほど!とても分かりやすいです。

姿勢を整えるポイントは3つ。歩く姿勢、食事、呼吸
ヤヨイ 先生、50歳目前で筋肉が衰えてきている私でも、意識すれば姿勢は良くなるんでしょうか?
橋本 もちろんなりますよ。ハードな筋トレは不要!いかに日常のなかで、姿勢や動きの“クセ”を変えていくか。そこに気づくことで、体調のポテンシャルはグッと引き上げられます。
「この体操を1分やる」「10分ストレッチする」とルール化しすぎるのではなく、たとえば、ダラダラとテレビを見る時間があったら、少し背筋を伸ばして呼吸してみる…。それだけでも立派な体のケアになります。“一生無理なく続けられること”を見つけることが大事なんです。
私の教室には、70歳前後の生徒さんもいらっしゃるんですが、通い始めた頃は「背中が痛い」「寝るのがつらい」「便秘気味」とおっしゃっていた方が、姿勢が良くなったことで、いろんな不調が改善したとおっしゃいます。
姿勢を整えるための基本は、
①歩くときの姿勢を見直す
②正しい呼吸をする
③3食をきちんと食べる
この3つです。そして大切なのは、“気づいたときに呼吸や姿勢に意識を向ける”こと。継続こそが、体を変える力になります。
【①歩くときの姿勢を見直す】
年を重ねると、頭が前のめりになってしまったり、腰を丸めて歩いたりしてしまいがちです。そんな姿勢で歩いていると、呼吸も浅くなり、血中の酸素濃度が下がって免疫力も落ちてしまいます。
また、歩くことはが一番手軽にできるエクササイズ。姿勢が悪い状態で歩くのと、姿勢を良くして歩くのとでは、運動代謝も変わります。せっかく歩くのなら、姿勢を正して運動代謝を高めてしまえば、時間がない方でも歩くだけでエクササイズになります。
といっても、「ウオーキングをしなくちゃ」と1時間、2時間歩くのではなく、買い物に行くとき、駅まで行くときの歩く姿勢を変えれば大丈夫。
歩く姿勢のポイントは、重心を丹田(へそ下)に集めて歩くこと。40代でも足の外側の筋肉(大腿筋)で歩くようになったり、特に内もも(内転筋)が弱ってくると左右にぶれやすくなったりするので、それを防ぐために内転筋を使って歩く意識や、大腰筋(おへその後ろあたりの背骨から両足に伸びている筋肉)から足が伸びている意識を持つことが重要です。
【②正しい呼吸をする】
歳を重ねると、みなさん腹直筋だけを使って姿勢を正そうとするクセがついていて、胃のあたりが硬くなってしまっている方がとても多い印象です。まずは、腹直筋を緩めて腹式呼吸をすること。さらに、余裕があれば腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせて、呼吸の補助筋肉である腹筋全体を目覚めさせていく方法(丹田呼吸)がおすすめです。
<腹式呼吸>
腹式呼吸を行うと便秘解消が期待でき、興奮気味の気持ちを落ち着かせたいときにも有効。いうなれば“リラックスの呼吸”です。
呼吸筋は、年齢を重ねるとどうしても働きが弱まってきます。無意識に胸式呼吸ばかりしてしまいがちなので、1日1回、お風呂のなかなどで腹式呼吸を意識的するだけでもOK。
①まずは頭から背骨まで緩めてリラックスしましょう。首、肩の力を抜いてください。
②たっぷりと鼻から息を吸って、お腹を膨らませていきましょう。
③次に脱力しながらお腹を凹ませ、息を吐いていきます。背骨を一つずつすき間を開ける意識で行えば椎間板や血流の流れも変わります。これを数回繰り返します。
<胸式呼吸>
脂肪燃焼に効果的なのが胸式呼吸です。“緊張したときや無意識に行う呼吸”で、眠いときに取り入れると目が冴えますよ。
①お腹を凹ませたまま呼吸をしていきます。頭を起こし、力を抜いて息を吸って吐きましょう。胸を張り、お腹を締めながら、胸からおへそまでをスッと伸ばすイメージで。
②お腹を凹ませたままで呼吸を繰り返すと、自然とろっ骨筋が広がります。
③その状態で吸って吐いてを繰り返し、さらにお腹を絞っていきましょう。
④最後には体を緩めましょう。これを数回繰り返します。
<丹田呼吸>
腹式呼吸、胸式呼吸をした後、丹田呼吸に入りましょう。丹田呼吸は、腹式呼吸と胸式呼吸を合わせたようなもの。集中力が増し、姿勢が正せますよ。
①肩の力を抜いて首を伸ばし、丹田を絞り上げる意識を持ってください。お腹を伸ばすイメージでお腹を膨らませながら、口から息を吸います。
②お尻の穴、骨盤底筋(骨盤の底にあり、内臓を下から支え、便や尿をコントロールする筋肉)を内臓側に引き上げるように、口から息を吐き切ります。吐いたときにお腹を背中側に付けるようなイメージです。背骨は気の通り道。背骨を掃除するように、古い気を全部吐き切ってください。
③さらに息を吸ってお腹を膨らませます。新鮮な気をたっぷりと入れ、吐いていきます。気持ちよく気を巡らせるような意識で呼吸しましょう。
④ ①から③を1分間程度繰り返します。慣れてきたら、鼻から吸って鼻から吐いても良いでしょう。

(インスタグラム)
【③3食をきちんと食べる】
体は食べるものでできているので、正しい姿勢づくりのためにも食事は大切です。
体のラインは、DNAという体の設計図や運動の反復によって、日々作り替えられています。脳の情報整理や筋肉の修復は寝ているときに行われますが、そもそも食事で栄養(特にたんぱく質)が入ってこないとなると、寝ている間に行われる修復機能にも弊害を生んでしまいます。
また、バランスの悪い食事も同じで、筋肉を使っているのに甘いものばかり食べてたんぱく質を摂らなければ、脂肪としての貯蓄が増えるばかりで、姿勢を正す持久力のある筋肉が育たなくなります。
毎日3食をきちんと食べるとともに、たんぱく質をしっかり摂って、炭水化物を控えめにすると、脂肪のつき方、筋肉のつき方が変わってきます。私自身は、朝食をしっかり食べて夜の炭水化物を控えめにしていて、週に1、2回のヨガや毎日の軽い運動、日々の深呼吸で体幹を鍛えることで正しい姿勢が保て、食べても燃やせる体にしようと心がけています。
ここでは私の毎日の食生活をご紹介しましょう。
<無理なく続ける!先生が実践するバランス食生活>
◆朝食
・茶色いパン(歯ごたえのある全粒粉など)
・ソーセージやハムなどの肉類やチーズ(たんぱく質)
・サラダ
・フルーツ
・コーヒー
◆昼食
・土鍋で炊いたごはん
・焼き魚や残りもののおかず、生卵や納豆、サラダなどをその日の気分で
・汁物
◆夕食
・野菜や肉類などのおかずを小鉢でちょこちょこと
・お酒や白湯
●ここだけは外せない、3食のこだわりポイント
私は朝、昼、晩と以下の3つを守って食事をしています。
・噛む必要があるものを食べる
・たんぱく質をしっかり摂る
・野菜を食べる
よく噛んで唾液をしっかり出し、胃腸の働きを整えること。そして、「これは食べちゃダメ!」と制限しすぎてストレスをためないこと。栄養面だけでなく、心のバランスも大切にしながら食べるようにしています。
●パンは全粒粉などの歯ごたえのあるものを
パンが好きなので朝食に食べますが、白いパンや菓子パンではなく、しっかりと噛める茶色いパンを選んでいます。
●甘いものを食べたいときは朝食後に
朝のコーヒーのお供に、少しだけスイーツを食べることもあります。
この「少しだけ」というのは、生菓子や和菓子などの甘いものは冷凍しておいて、小さく切って少しずつ楽しんでいるから。甘いものも夜に食べたら“ぜい肉”になりやすいですが、朝食後に食べて、その分動くなら、日中のエネルギーとして消費できます。少量なら血糖値も急上昇しにくく、「甘いものを食べた」という満足感も得られて、ストレスも溜まりにくくなりますよ。
●夜は炭水化物を減らす
夜はご飯はよそわず、小鉢を中心にいろいろと食べることにしています。たんぱく源として、肉や魚(刺身、焼き魚、揚げ物)もいただきます。
●冷たいお酒は控えめに
私はお酒が好きなので、ワインや焼酎をたしなむと同時に、白湯もよく飲みます。キンキンに冷えたビールは避けるのがマイルール。冷たいものを取った後は、必ず白湯やお湯割りを飲むようにして、お腹を冷やさないようにしています。たまに休肝日も作っています。
●氷水など冷たい飲み物は摂らない
暑い日でも、氷を入れたものを飲み続けないようにしています。氷水をやめると、だるさがなくなったという生徒さんも多いんですよ。体がだるくないとサクサク動けるし、汗も気持ちよくかけて、夏バテもしにくくなるんです。
●豆類を積極的に摂る
たんぱく質補給のために、豆腐や納豆、豆乳を飲むようにしています。冷たいものを摂らないのは基本ですが、たまに熟したフルーツがあるときは冷凍庫で凍らせて、豆乳と一緒にスムージーにして飲むこともあります。

毎日繰り返したら背中が変わる!姿勢矯正エクササイズ
ヤヨイ 先生、なんだかやる気が出てきたので、飽きっぽい私でも毎日続けられる、姿勢に良いエクササイズがあれば、教えていただきたいです。
橋本 では1分半ほどでできる姿勢矯正エクササイズがありますのでご紹介しましょう。毎日続けていると、徐々に姿勢が変わり、肩や股関節の動きの変化にも気付けますよ。
<姿勢矯正エクササイズ>
①両足を大きく広げて立ち、肩を下げ、つま先を外側に向け、軽くひざを曲げます。鼠径部(そけいぶ・左右の太ももの付け根あたりにある、お腹との境目のくぼんだ部分)を前に出さないようにしましょう。胸からおへそまでまっすぐにします。腕は体側に沿って下ろした状態から、手の平を上にして体の前で肘を直角に曲げ、手を外に広げます。
② ①の体勢を起点として、お腹をへこませながら、左右の腕を交互に天井に向かって1分間程度上げ下げします。肩には力を入れないように意識しましょう。肩がこわばる人は、斜め上に腕を出しても大丈夫です。
③今度は、足はそのまま、上げた両腕を左右に開き、肘を軽く曲げます(全身で“X”を形作るようなイメージ)。ここを起点に、前腕(肘から手首までの部分)を顔の前で合わせ、また横に広げるという往復の動作を1分間程度繰り返し、胸を伸ばします。背中側の菱形筋(りょうけいきん・肩甲骨と脊椎を結ぶ筋肉)が伸びていると猫背になりやすいので、しっかり動かすことが大切です。
④ 次に、手を上げたまま両肘を横に開いて、手を耳の後ろに添える姿勢をとりましょう。片肘を前に出し、もう片方の肘は後ろに引いて、体をねじります。この動作を左右交互に1分間程度繰り返します。横を向いたときにお腹をへこませながら行うと、脇腹にある腹斜筋が鍛えられます。
⑤ 最後に、大きく息を吸って前かがみになり、息を吐きながら腰を左右に軽く揺らしつつ、ゆっくりと上体を起こしていきます。

(インスタグラム)
猫背・肩こり対策に!オフィスでできる簡単エクササイズ
ヤヨイ 実は私が猫背なのは、パソコンやスマホの見すぎかな…とも思っているんです。
橋本 そうですね。私自身、パソコン作業をしていると、どうしても前傾姿勢になります。下腹部に力を入れないと、猫背気味になりますよね。そんなときは意識的に“フラットな姿勢”に戻すようにしています。
お腹にしっかり力を入れて、「おへそから胸を長く保つように意識する」。これだけでも座っているときの姿勢は大きく変わります。1~2時間に1回くらいでいいので、仕事や家事の合間に肩こり解消のエクササイズに挑戦してみてください。
<オフィスでしたい、肩こり解消エクササイズ>
仕事中の気分転換にもなるエクササイズ。僧帽筋(そうぼうきん・首の後ろから背中にかけて広がる筋肉)と三角筋(肩にある三角形の形をした筋肉で、腕を上げたり横に開いたりする動作で使う)をほぐし、菱形筋(りょうけいきん・背骨と肩甲骨の間にある筋肉)と丹田周りの筋肉を鍛えます。
①床にあぐらをかいて座り、ひざに手を置きます(椅子に座り、前にテーブルを置いてそこに手を着いてもOK)。息を吸って吐きながら、片方の肩をぐっと前に出すような動きを交互に1分間程度行い、肩をほぐしていきます。
②左右の手をそれぞれ左右の肩に置き、肘をぐるりと後ろに回しながら肩関節をほぐしていきます。徐々に大きな円を描きます。肩甲骨からしっかり動かすようにしましょう。しばらくしたら逆回しを行い、その間も呼吸は続けます。左右で1分間程度行います。
③手の位置はそのままに、背中を丸めてから上体を元に戻します。
④お腹から万歳をしている意識で、両腕を上げます。肩を上げるのではなく、お腹を伸ばすイメージです。手首を90度後ろに倒して、手のひらを天井に向けられる人は向けてみましょう。そのとき、指先はピンと伸ばします。30秒から1分ほどキープした後、丹田を締めながら肩の力を抜き、筋肉をリセットしていきます。そして息を吐き切ります。

(インスタグラム)
ヤヨイ 気持ちいいですね!このエクササイズ、ハマりそうです!
幸福ホルモン・セロトニンを出して、生活の質をより豊かに
ヤヨイ 先生、ほかにもおすすめの生活習慣があれば教えてください。
橋本 私は、幸福ホルモンのセロトニンをたくさん出せるようになるためのライフスタイルをおすすめしています。セロトニンは、夜になると体内でメラトニンという“眠りのホルモン”に変わるので、睡眠の質も良くなります。
セロトニンを出すためには、まず以下の3つを日々心がけましょう。
・毎日同じ時間に起きること
・朝起きたら必ず日の光を浴びること
・朝ごはんをきちんと食べること
そのうえで、以下のポイントも心に留めておいてください。
・食事は寝る2~3時間前までに済ませること
・夜中12時を越えて寝ることがないよう、その日のうちに寝ること
・頑張り過ぎないこと
日々の忙しさや健康に関する情報に振り回されて、体の声が聞こえなくなってしまっては本末転倒。余計なことはそぎ落として、できるだけシンプルに暮らすこと。そして、“絶対にやらなきゃ”と自分を追い込まないことが大事です。
ちなみにセロトニンは、姿勢とも深く関係しています。
姿勢が崩れて内臓が圧迫されていると、血流が悪くなります。腸内の状態も悪くなり、その結果、セロトニンが出にくくなり、免疫力も落ちやすくなります。だからこそ姿勢を正して、お腹に“腸が収まるだけのスペース”を確保することが大切なのです。
骨盤を立ててお腹のスペースを広げ、しっかり腹式呼吸をすれば、内臓の血流が変わって便通も改善し、セロトニンがしっかり出るようになりますよ。

姿勢矯正は、頑張り過ぎずに淡々と続けていこう
ヤヨイ 先生、今から姿勢を気にしていれば、10年後の体も変わってきますか?
橋本 はい、間違いなく変わります。私の周りにも、90歳になっても姿勢が美しく、イキイキとされている方がいます。そういう方を見ていると、「私もああなりたい」と思えて、目標になります。だから、「10年後にどうなっていたいか」を思い描いてみてほしいんです。すると、今の行動が自然と変わってくるはずですよ。
更年期には不調はつきもの。更年期のつらさを受け入れつつ、「今の食べ方や暮らし方でいいのかな?」と立ち止まってみる。そして、淡々と続けられることを続けてください。劇的に変わらなくても、少しずつ体が変化していきます。生活の基本を大切にしていれば、きっと更年期を乗り越えていけると信じています。
体って、家や車と同じだと思うんです。掃除をしていれば家はきれいに保てるし、手入れをしていれば車もよく走ってくれる。でも、部屋を雑に使って散らかしたり、車を乱暴に走らせたりしたら、すぐにダメになってしまう。体も、丁寧にメンテナンスしながら暮らしていくことが、何より大切だと私は思っています。人間はいつか死んでしまうからこそ、今借りているこの体を大切に使いたいですよね。
ヤヨイ 大切なのは、頑張りすぎずに、呼吸や歩き方、座り方といった日常のなかで“ちょっと意識すること”なんですね。姿勢を正そうと思っても、どうすればいいか分からないままだったんですが、今日のお話を聞いて、私にできそうなことがたくさん見つかりました。先生、今日はありがとうございました。
<この記事を監修いただいた先生>

橋本 はづき 先生
AWAKE鎌倉 代表
▼詳しいプロフィールを見る

ヤヨイ
47歳。中学生の子どもとの2人暮らし。バツイチのシングルマザー。子どもに手がかからなくなってきたので、仕事でキャリアアップに励んでいる。4年前から肩こりや倦怠感、目の疲れ、汗、イライラがひどくなってきて、肌のシワやシミも気になっている。