更年期はガマンせず、頼れる存在を見つけて

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40代後半につらい更年期症状を経験した俳優・鈴木砂羽さんと、様々なメディアを通じて女性のヘルスケアの啓発を行う産婦人科専門医の三輪綾子先生。それぞれの分野で第一線で活躍するお2人が、更年期症状が出たときの対処法や、更年期に摂りたい成分、更年期後も前向きに生きるための心構えについて語り合った、スペシャル対談をお届けします。

人それぞれ異なる更年期の症状。どうして?

鈴木砂羽さん(以下、鈴木) 私も更年期にさしかかったこともあり、いろいろと調べたり、まわりの人の話を聞いてみたのですが、症状は人によってかなり違うみたいですね。どうして違いが出るのですか?

三輪綾子先生(以下、三輪) ホルモンバランスなど個々の体質の違いによる物理的な理由と、症状の感じ方や我慢の度合いなどの心理面、家族や仕事などまわりの環境面、更に日ごろの食事・運動・睡眠などの健康管理の状況や更年期の知識があるかどうかなど、複合的な理由が絡み合っているため、症状にも違いが出てくると思います。とかく今の更年期世代の女性は、我慢しすぎる傾向があります。適切なタイミングで病院へ行くことで、つらさを回避できます。

鈴木 病院へ行く適切なタイミングって、どう見分けたら良いでしょうか?

三輪 そうですね、まずはこれまでなかった体の変化や疲れを感じたら、その状態を見つめ直すことが大切です。更年期の症状は十人十色で、例えば「眠れない」とひとくちにいっても、入眠がうまくいかない人もいれば、睡眠時間の維持ができない人もいます。症状によって仕事がスムーズにできなくなったり家事ができなくなったりするなど、生活に悪影響が出ていたら、病院で診てもらってください。また体調が気になってストレスを感じるような場合も、我慢せずに病院へ行きましょう

乱れた食生活やアルコールなどの生活習慣が、体調不良の原因になっている場合もあります。この場合は、生活習慣の見直しも大切です。

鈴木 我慢せず、病院を頼ることが大切なのですね。症状がつらくなる前の段階で、意識した方がいいことはありますか?

三輪 更年期の症状は、女性ホルモンの変化だけが原因ではないんです。生活環境や食習慣、その方の性格なども関係します。例えば、頑張り屋さんや完璧主義の人は症状が強く出る傾向にあります。自分の生活や性格を振り返って、ストレスの要因を取り払ったり、頑張りすぎないように意識したりすると、病院へ行く前に緩和されるかもしれません。

鈴木 なるほど、ちょっとした心がけで症状が緩和されることもあるんですね。それでも緩和されず病院へかかる場合は、何科を選べばいいですか?

三輪 ぜひ、産婦人科へ来てください。「産」が付いているから出産の専門科だと思われがちですが、同時に「婦人科」でもありますので、更年期の診察もしています。診療科目に「更年期外来」が入っている病院もあります。受診するときは、どんな症状に困っているかを話してさえもらえれば、医師が適切な治療方法を考えますので、病歴の資料などは持参しなくても大丈夫ですよ。

鈴木 困っていることを先生に話しに行けるのは心強いですね!




大豆イソフラボンが更年期にいいとされる理由

鈴木 更年期には「大豆イソフラボン」がいいと聞きます。どんな特長がありますか?

三輪 大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするといわれます。なかでも「ゲニステイン」は、エストロゲンと分子構造がとても似ているため、「エストロゲン受容体」とも結びつく力が強く、結びついて女性ホルモンのような働きをするため、女性ホルモン減少による症状を和らげてくれるといわれてます。

▼更年期に摂りたい成分/大豆イソフラボン
▼更年期に摂りたい成分/ゲニステイン


鈴木 更年期にはゲニステインを積極的に摂りたいですね。治療の選択肢の一つとして、女性ホルモンを直接体に補充する方法もありますよね。

三輪 はい、HRT(ホルモン補充療法)ですね。直接エストロゲンを補充するため効き目は強いですが、副作用やリスクがゼロではないため、不安に感じる方もおられます。そういった場合、食品由来の成分である大豆イソフラボンで補うことをおすすめしています。ただし、それだけで症状が緩和されない方もいますので、症状や強さなどを医師に相談して、ホルモン補充療法や漢方を組み合わせておすすめする場合もあります。

鈴木 症状の強さによって治療法も変わるんですね。「ゲニステイン」以外にも、女性の体におすすめの成分はありますか?

三輪 おすすめは「ポリフェノール」です。体内を酸化させて細胞や血管に傷をつける活性酸素も体調の変化を招く原因の一つになるのですが、40歳を過ぎた頃から抗酸化力が低下し、この活性酸素の働きを抑えにくくなります。ポリフェノールには抗酸化作用があり、美容と健康に欠かせない成分ですので、ぜひ積極的に摂ってください。ポリフェノールといえばワインに多く含まれることで有名ですね。

▼更年期に摂りたい成分/ブドウ種子ポリフェノール


鈴木 じゃあ、ワインを思いきり飲めますね!(笑)

三輪 そう思われがちですが、アルコールの飲み過ぎは体に良くないので、なにごとも適量にお願いします(笑)。また、骨粗しょう症予防となるカルシウムやビタミンD、動脈硬化予防に働く葉酸なども積極的に摂ってほしい成分です。食品から摂れますが、難しい人はサプリメントであわせて補ってもいいと思います。あわせて、日本の女性は鉄分が欠乏している人が多く、更年期で生理不順がひどくなると貧血が起きやすくなるので、鉄分も補うといいですよ。



生涯現役で前向きに生きるヒントとは

鈴木 私は、これからも元気で長く仕事を続けたいと思っています。生涯現役で前向きに生きていくために、必要な心構えを教えてください。

三輪 まずは自分の限界を知って、限界を超える前に周りの手を借りてほしいと思います。家族でも、パートナーでも、友人でも、医師でもいいです。皆さん、仕事や家事などを優先される分、自分のケアを後回しにしがちなんですよね。これからは、ご自身のセルフケアにも目を向けてほしいと思います。健康でないと、いざ自分にチャンスがめぐってきたとき、諦めることになるかもしません。いくつになっても好きなことに取り組める体でいるために、今の状態と必要なケアについて情報を持っていてください

また、できるだけ我慢をやめていただきたいですね。我慢できる人はそのことが普通になっていて、我慢していることに気づかないんです。しんどさを感じたら我慢せず、人に話したり、助けを求めたりしてあげてほしいです。ギリギリまで我慢するほど、事が大きくなって人に言いづらくなります。まずは小さなことから、人に話したりお願いしたりして、人に頼れる自分になっていきましょう。男性の家族や身近な人でも、更年期についてきちんと説明したり、「〇〇をしてほしい」と言えば手伝ってくれることがありますので、話してみてもいいと思いますよ。

鈴木 たしかに、男性の方が得意なことだってありますよね。相手を上手にたてながら、頼れることは頼っても良いんですよね。

三輪先生は「女性のヘルスケア」や「フェムテック」に取り組まれているそうですが、どんなことをされているのか教えていただけますか?

三輪 はい、私は日々の診療のなかで、患者様が病気になる前からケアをしていれば、病気にならずに済んだケースが多々あると感じてきました。そこで、毎日のケアで病気を防げることを啓発するプロジェクトとして、「女性ヘルスケア」と「フェムテックサロン」を立ち上げたんです。ゆくゆくは啓発活動と病院の垣根がなくなり、社会に馴染むようにしたいと考えています。

更年期の症状を抱えながら家事や子育て、仕事などをこれまで通り続けるのは、かなりつらいはずです。更年期の症状は、約10年ほど続く長い付き合いになる場合もあります。ぜひ周囲や専門医を頼っていただき、少しでも前向きになれる情報を増やしてください。私も、更年期になっても活躍し続けられる社会になるよう、啓発を続けていきたいと思います!

鈴木 本当にそうですね。私も女性が100年元気でいられるよう応援していきたいと考えています。三輪先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!


鈴木砂羽さん
1972年生まれ。静岡県出身。94年に映画『愛の新世界』で主演デビューを果たし、第37回ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞。テレビ朝日の人気ドラマ『相棒』シリーズに出演。ドラマ、映画、舞台、バラエティーの他にも舞台演出、マンガの執筆など幅広い表現ジャンルで活躍中。

三輪綾子先生
産婦人科専門医。札幌医科大学卒業後、順天堂大学産婦人科学講座入局。一般社団法人予防医療普及協会理事として、様々なメディアを通じて子宮頸がんや女性のヘルスケアの啓発を行う。 株式会社GENOVA社外取締役。2021年よりDMMオンラインサロン「フェムテックサロン」運営。2022年6月に堀江貴文氏と共著『女性のヘルスケアを変えれば日本の経済が変わる』(青志社)を出版。 現在、産婦人科・美容皮膚科クリニック「THIRD CLINIC GINZA」院長を務める。

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