備えあれば憂いなし。トイレが気になる女性のお出かけ対策

トイレの悩みのイメージ
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楽しいお出かけは更年期の症状をやわらげてくれます

 秋は山登りやハイキング、散歩するにも楽しい季節です。体を動かすことは更年期の症状をやわらげることに加え、ストレス解消にもなりますのでいつもと違う風景を見に出かるのはとてもおすすめです。ただし、普段あまり体を動かしていない人がいきなり長時間歩いたり、激しい運動をしたりすると、思わぬケガをすることがあります。

長い時間体を動かしっぱなしのお出かけの場合は、スタート前にからだが温まるまで30分ほどの時間をかけてしっかりと準備運動をしましょう。脚を中心に、全身の筋肉をやわらかくほぐしておくと、ケガをしにくくなります。

また、更年期(おおむね45~55歳)は、加齢によって筋力が衰える時期とも重なります。筋肉量は、70代には20代の半分ほどの量になるといわれ、その中間にあたる40代からは特に下半身の筋力が衰えやすくなるといわれています。
山登りやハイキングでは全身を動かしますが、一番大切なのは脚力でしょう。筋肉は使わないと衰えやすく、“貯金”しておくことができません。ふだんからウォーキングやスクワットに取り組んだり、エスカレーターではなく階段を利用したりして、太ももやふくらはぎなどの脚力を保つ工夫をしておくことが大切です。適度な運動は生活習慣病の予防にもなります。

観光地でも体温調整ができるように重ね着を

ハイキングや山登り以外にも、都市の観光地に出かける人も多いでしょう。

更年期は体温調整が難しくなる時期です。顔が急にカーッと熱くなり、汗がとまらなくなる症状(ホットフラッシュ)は、更年期に訴えの多いもののひとつです。その一方で、冷えを感じる人も少なくありません。そんな更年期の秋のおでかけには、体温調整がしやすい重ね着がおすすめです。

場所(標高)や天候、日差しによっては、秋でも厳しい寒さを感じることがあります。一般には、標高が100m高くなるごとに気温は0.6℃下がり、風速が秒速1m増すごとに体感温度は1℃下がるといわれています。また、雨などでからだが濡れると、急速に体が冷えやすくなります。

レストランやカフェでは温かく過ごせても、一歩外に出ると寒さが身に染みることも。そんなときのために、小さくたためるタイプのウィンドブレーカーや薄手のダウンジャケット、ストール、手袋などを携帯しておくと、思わぬ寒さにも対応できて安心です。

ホットフラッシュなどで汗をかいた後、冷たい風に吹かれると、急速に体が冷えてしまいます。暑くなったらこまめに上着を脱ぎ、寒くなる前に重ね着をするように心がけましょう。

外出先でのトイレの心配!事前の準備でストレスフリー

更年期にあらわれる不調のひとつに尿もれや頻尿があります。尿もれは力を入れたり、笑ったり、くしゃみをしたりしたタイミングで起こりやすくなります。運動しているときに尿もれをしてしまう人もいます。

不意にドキッ。尿漏れ

外出先では楽しい会話で笑ったり、ちょっと速足で歩いたりすることもありますので、ふいの尿もれを心配して外出をためらう人もいます。尿もれの原因はいろいろありますが、膀胱や子宮を支えている骨盤底筋のゆるみが原因の場合、普段からやっておきたいセルフケアとしては「骨盤底筋体操」がおすすめです。骨盤底筋は、加齢や肥満の影響でゆるみやすくなるといわれています。

「骨盤底筋体操」は、「肛門と膣を10秒間締め、その後に10秒間力を抜く」、これを10回ほど繰り返すだけです。いつでも、気づいたときにできるのがメリットです。

頻尿・尿もれ・尿路感染症もチェック!

さっきトイレに行ったのに…

トイレが近くなる頻尿も、更年期に多い悩みのひとつです。更年期には、女性ホルモンの分泌量が急激に減少する影響で、自律神経のバランスが乱れやすくなります。そのため、膀胱が過度に収縮しやすくなり、差し迫った尿意を感じやすくなることがあります。
外出中は、好きなタイミングでトイレに行けないこともあります。その「トイレに行けないかもしれない」というストレスが、自律神経のバランスの乱れに拍車をかけてしまうことがあります。

膣炎や膀胱炎に悩む更年期の女性

普段からできるセルフケアとしては、生活の中でトイレに行く間隔を少しずつ伸ばすトレーニング「膀胱訓練」があります。尿意のまま頻繁にトイレに行くと、膀胱が小さくなってしまうことがあります。そこで、トイレに行きたくなったら、最初は数分間我慢することから始めて、10分、15分と、少しずつトイレを我慢する時間を伸ばしていきます。

安心感だけでも価値アリ!尿もれパッドや尿もれシート

トイレの不安には、お出かけの時だけでも尿もれケア専用の製品、尿もれパッドや尿もれシートを利用するのもひとつです。薄くて軽いつけ心地で、水分や臭いを素早く吸収してくれるものが増えています。抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、更年期の尿漏れや頻尿は、体の構造上仕方がないこと。月経の際にナプキンをつけるのと同じことです。

とはいえ、尿と経血は、成分や粘度などの点で異なりますので、生理用ナプキンで代用している人も、尿もれ専用の製品の方が安心です。吸水・速乾、抗菌防臭加工を施した生地で作られた尿もれ対応の下着もあります。尿の吸収量も、数cc~300ccまでいろいろなタイプがありますので、イベントのある日は大容量タイプを使うと安心ですね。
秋は天候の影響で急に寒くなることがあります。カイロなども利用して、腰回りを冷やさない工夫も大切です。

頻尿や尿もれは生活の質に大きく影響します。それが原因でお出かけをためらってしまうほど症状が重い場合やセルフケアで改善しない場合は、婦人科や泌尿器科などで診察を受けましょう。

忙しい毎日の気分転換になるお出かけはとても楽しいものですね。ただし、更年期は体調が揺らぎやすい時期です。つらいときは無理をせずに、参加を見送る勇気をもちましょう。前々から友人や家族と日程を合わせていたり、費用を支払い済みだったりすると、つい参加したくなりがちですが、無理は禁物です。
更年期女性の周囲の人も、困った時はお互い様ですので、更年期は体調の波があることを快く受け止めてあげましょう。

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