更年期に体重増加が止まらない!更年期のダイエット成功のコツ


更年期の女性の多くは、体重増加が気になっているのではないでしょうか。更年期太りを解消するには、太ってしまう原因を知り、痩せるために適切に対処することが大切です。辛いダイエットとリバウンドを繰り返さないために、更年期のダイエットを成功させるコツをご紹介します。
更年期に体重増加が止まらない!その原因は?
若い頃に比べて食べる量は減っているはずなのに、痩せるどころか太ってしまう…なぜ?と思いますよね。まずは、更年期に体重が増えやすい原因を見ていきましょう。
更年期太りの原因①女性ホルモンの減少による代謝の低下
更年期になると女性ホルモンの分泌が減少し、心身に様々な変化が訪れます。体重増加もそのひとつ。女性ホルモンのエストロゲンには、脂質の代謝を促進し、体脂肪をエネルギーに変えて消費(燃焼)されやすくする働きがあります。そのため、女性ホルモンが減ると脂肪が燃えにくくなり、太りやすくなるだけでなく、血中の中性脂肪やコレステロールが増えやすくなります。
更年期太りの原因②更年期障害による運動不足
女性ホルモンが減少すると、体重増加以外にもホットフラッシュや頭痛、めまい、関節痛などが起こりやすくなります。症状が重い場合を「更年期障害」といいますが、身体の調子が悪いときは運動する気になりません。
そもそも体重が増えるのは、消費カロリーより摂取カロリーが多いからです。摂取したカロリーが消費されずに余ると、体脂肪として蓄えられます。運動不足は消費カロリーの減少に直結するため、更年期障害をきっかけに太ってしまう人は少なくありません。
更年期太りの原因③筋肉量の減少
更年期になると基礎代謝(起きている状態で消費される最低限のカロリー)が低下し、太りやすくなると言われますが、基礎代謝は筋肉量に比例します。筋肉は何もしないと減っていき、そのスピードが更年期にさしかかる40代後半から加速するのです。筋肉は存在するだけで多くのカロリーを消費するため、筋肉量が減ると消費カロリーが減り、太りやすくなります。
更年期太りの原因④ ストレスの増加とコルチゾール分泌
ちょっとしたことでイライラしたり、不安になったりするのも更年期の特徴。そうしたストレスが続くと「コルチゾール」というホルモンの分泌が増えます。コルチゾールは筋肉を分解して糖に変える働きがあるため、ストレスが多いと基礎代謝が低下しやすくなります。
一方で、血糖値が上がるとインスリンの分泌が増え、脂肪の蓄積が促進されます。さらに、コルチゾールには食欲を増強させる働きもあるため、ストレスを感じると、つい食べすぎてしまうのです。
更年期太りはどうやって痩せるの?おすすめのダイエット方法
更年期のダイエットで最も大切なのは、無理をしないこと。そして、内臓脂肪の蓄積は生活習慣病の原因になるため、血液検査の数値を気にしながら、健康的にダイエットしましょう。
バランスの良い食事を心掛ける
摂取カロリーが消費カロリーを上回らないように、バランスの良い食事を心掛けることがダイエットの基本です。さらに更年期以降はエストロゲンの減少によって脂肪が燃えにくくなり、骨密度も低下しやすいため、以下の栄養素を意識すると良いでしょう。
●タンパク質
タンパク質は筋肉の材料として重要。更年期以降は体重1kgあたり1.2ℊのたんぱく質を、1日3食で均等に摂るのが理想です。体重60kgの人なら1日72g、1食あたり20~25gとなります。
タンパク質を多く含む食材…肉(豚肉や牛肉は脂身の少ない赤身の部分、鶏肉ならササミやむね肉)、魚(さんま、サバ、いわし、マグロなど)、豆類など。
●カルシウム
カルシウム不足は骨粗しょう症の原因となります。骨粗しょう症は女性ホルモンの減少が関係しているため、更年期以降は本格的な対策が必要です。また、カルシウムは脂質の代謝を促進する働きも報告されており、ダイエット効果も期待できます。
カルシウムを多く含む食材…牛乳、チーズなどの乳製品、小魚、大豆製品、野菜や海藻類など。
●ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素です。日光を浴びると体内でもつくられますが、日焼けを避ける女性は不足しがちなので、食事でしっかり補いましょう。
ビタミンDを多く含む食材…きのこ類、魚介類、卵、牛乳やチーズなどの乳製品など。
●大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは大豆に含まれる抗酸化成分で、女性ホルモンに似た作用があります。更年期以降は、納豆や豆腐、きなこ、豆乳などを積極的に摂ると良いでしょう。これらの食品を毎日一定量摂るのが難しい場合は、サプリメントなどで補う方法もあります。
大豆イソフラボンを多く含む食材…納豆、豆腐、きな粉、味噌、豆乳など。
エクササイズ
筋肉が減り基礎代謝が低下しやすい更年期以降は、スキマ時間にできる筋トレと有酸素運動を習慣にしましょう。ご紹介する筋トレは、「少しきつい」と感じる負荷で、8~12回を1セットとして行いましょう。1日2~3セットを目安に、週2~3日行うのがベストです。エクササイズは筋肉の成長だけでなく、気持ちが前向きになる、骨密度が向上するなど、心身に良い影響があります。
●二の腕

●お腹

●お尻

●脚



●体幹

●背中

※出典:『仕事でモテる男はなぜ、体を鍛えているのか?』(比嘉一雄著/かんき出版、撮影:榊智朗)
ストレッチとヨガ
ストレスで食べ過ぎてしまうような場合は、心身のリラックス効果が高いストレッチやヨガを取り入れましょう。ストレッチやヨガをすると身体の緊張がほぐれ、リラックスしたときに高まる副交感神経が活発になります。ストレッチはウォーキングと同程度の運動強度があるのに、感覚としてはウォーキングより楽なので続けやすいはず。特に大きな筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。
●肩の三角筋を伸ばす

●わき腹の腹斜筋と背中の広背筋を伸ばす

●お尻の大殿筋を伸ばす

●太もも裏側のハムストリングスを伸ばす

●太もも表側の大腿四頭筋を伸ばす

●内ももの内転筋群を伸ばす

※出典:『ストレッチメソッドBOOK』(比嘉一雄著、石井直方監修/朝日新聞出版)
マッサージ
マッサージにもリラックス効果があり、ストレスが和らぎます。血流やリンパの流れも良くなるので、ホルモンバランスの乱れによる「むくみ」にも効果的です。
血流を促すなら、ふくらはぎ、手のひら、足の裏などのマッサージがおすすめ。力を入れすぎると皮膚や筋肉を傷めてしまうので、親指の腹や手のひらを使って、優しく押すようにマッサージしましょう。また、肩や腕のマッサージは、仕事や家事の合間にもでき、リフレッシュ効果が期待できます。寝る前は、太ももやお尻などの大きな筋肉をほぐすと良いでしょう。
NEAT(非運動性熱産生)を増やす
日常生活の中でできるだけ身体を動かすことも大切です。運動のための運動とは違う、筋肉が動かされることによる運動を「NEAT:Non-Exercise-Activity Thermogenesis:非運動性熱産生」と呼び、1日の消費カロリーの大きな割合を占めます。通勤時に少し遠回りをしたり、エスカレーターではなく階段を使ったり、家にいるときもテキパキ掃除をするなどしてNEATを増やしましょう。
女性ホルモンを補うサプリメント
更年期太りには、原因のひとつである、女性ホルモンの減少にアプローチするサプリメントもおすすめです。大豆イソフラボンはエストロゲンと似た作用があるため、更年期のホルモンバランスの変化による不調の軽減に役立つとされています。
ある研究では、大豆イソフラボンを摂取することにより、体脂肪率の減少が確認されています。また、体脂肪率が高めの人(体脂肪率25%以上)が大豆イソフラボンの摂取で、総コレステロール値とLDLコレステロール値が減少したことが確認されています。

まとめ|ゲニステイン入りのサプリメントで更年期を乗り越えよう
更年期の体重増加には、女性ホルモンの減少による代謝の変化、筋肉の減少、日常のストレスなど、さまざまな要因が関わっています。女性ホルモンは骨の健康や脂質代謝にも関わるため、更年期以降のダイエットでは、生活習慣の見直しとホルモンバランスを整えるケアが重要です。
女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンは、更年期の症状を緩和する効果が報告されています。大豆イソフラボンをサプリメントで補う場合は、吸収性が高い「ゲニステイン」入りがおすすめです。更年期症状の緩和をはじめ、骨粗しょう症や乳がんのリスク低減、抗酸化作用などが期待できます。医薬品のような即効性はありませんが、継続的に摂取することで、マイルドな効果を体感できるでしょう。
更年期以降はサプリメントを活用しつつ、バランスの良い食事と適度な運動にマッサージなども取り入れて、体重管理と健康維持に努めましょう。毎日を健やかに過ごせるように、自分に合ったケア方法を見つけることが大切です。
<この記事を監修いただいた先生>

比嘉 一雄 先生
株式会社CALADA LAB.代表取締役社長、ダイエットトレーナー
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