更年期の止まらない汗。今日からできる対策を教えて!

セルフケア


更年期女性を悩ませるさまざまなお悩みを、専門家と一緒に解決していく「お悩み解決隊」。今回は、汗トラブルを取り上げます。突発的な汗トラブルに悩むヤヨイが、美容家の今泉まいこさんを訪問。自らもホットフラッシュ経験者という今泉さんに、汗トラブルの対処法をインタビューしてきました。



更年期世代のお悩み、「汗トラブル」とはどんなもの?

ヤヨイ 今泉さん、今日は私の悩みを聞いてください。4年ほど前からほてりやのぼせの症状が出始め、47歳になった今も、急にほてって汗が出る症状は続いています。更年期症状の一つだと思うのですが、本当に困ってます。

今泉さん(以下、今泉) のぼせやほてりなどの「ホットフラッシュ」は、更年期世代なら経験がある方が多いと思います。この症状で一番困るのは、「いつ起こるかわからない」ということですよね。1人で家にいるときなら良いのですが、人と会話をしているとき、仕事中、通勤中などに突然症状が出ると、焦ってしまいます。ヤヨイさんのように、のぼせとともに大量の汗が出て、周囲の人から心配されるというケースも耳にします。汗はメイクがすぐに落ちてしまう、汗に含まれる塩分で肌がかぶれてしまうなど、美容面でのマイナス要因にもなりかねませんし、つらいですよね。

ヤヨイさんは43歳ごろから汗にお悩みとのことですが、同じように40代前半のプレ更年期と呼ばれる頃から汗トラブルを経験する人もいます。その一方で、汗トラブルには無縁な人もいて、個人差がとても大きいのが特徴です。

ちなみに私も、季節を問わず真冬でも滝のような汗が出てしまう状況が3年ほど続いているんですよ。

ヤヨイ え!今泉さんもお悩み中なんですね!

今泉 ええ、そうなんです。私は気温や体調に関係なくホットフラッシュが起こり、就寝中に汗びっしょりになって起きてしまうことも。更年期を卒業された先輩方からは、汗トラブルがなくなったという声も聞きますので、早めに終わることを期待しながら対処していくしかないですよね。

▼汗に負けないスキンケア法をチェックする


汗をかいたままはNG!すぐに拭こう

ヤヨイ びっしょり汗をかくと、なんとなく汗がにおう気がしてしまうんです。

今泉 実は汗自体にニオイはないのですが、肌に存在する雑菌と混ざってニオイが発生します。

繰り返し汗をかいた肌は水分量と皮脂量のバランスが崩れ、バリア機能が弱くなってしまうこともあります。汗をかいたら、時間を置かずに拭き取るのがベスト。放置せず、こまめに汗拭きシートやタオルで拭き取ったり、シャワーで洗い流したりしたほうがいいですね。

ヤヨイ 周囲の人に、汗のニオイに気づかれてしまうのではないかと不安になって、友達や同僚と一緒にいるときもドキドキします。

今泉 皮膚表面の汗腺から出る汗は、時間がたたないと気づかれにくいもの。服を着ていることもありますし、過度に不安になる必要はありません。

ただ、頭皮や耳の後ろはにおいやすい箇所です。これは、汗だけでなく皮脂と混じり合って加齢臭が発生するから。エスカレーターの後ろや、混雑した電車の中なら気づかれてしまうことがあります。ホットフラッシュが起きると頭やうなじからも汗をかきやすいので、その場合は注意が必要です。

ヤヨイ 今泉さんのように、就寝中に汗をかいてしまう人もいますが、夜中にも汗の対処は必要ですか?

今泉 就寝中に寝汗をかいて起きた場合、下着とパジャマは変えたほうがいいですね。そのままだと寝冷えしてしまいますから。また、汗をかいた肌をそのままにしておくと、かゆみが出ることもあるんです。寝ている間に肌をひっかいてしまわないよう、起きたタイミングで首の後ろや脇、膝の裏などを汗拭きシートで拭き取るといいですね。

ちなみに私は、夜の寝汗がひどい場合や、暑い夏の間は、冷却まくらを使っています。入眠しやすくなり、中途覚醒が減ったのでおすすめです。

ヤヨイ 冷却まくらは気持ちよさそうですね!私もやってみます!


汗によるメイク崩れはこう防ぐ!スキンケアのヒント

ヤヨイ 汗が多くなると、困るのがメイク。どうしても崩れやすくなってしまいます。メイクが崩れにくくなるコツはありますか?

今泉 メイク崩れを防ぐには、まずはしっかりと保湿することです。化粧水、美容液、乳液、下地で土台をしっかり整えてください。化粧水と乳液は「さっぱり」と「しっとり」に分かれていることがありますよね。汗によるベタつきが気になるなら「さっぱりタイプ」を使うといいでしょう。「さっぱりタイプ」でも、セラミド配合なら肌のバリア機能を守ってくれます。

また、汗の影響で赤みやかゆみが出やすい場合には、医薬部外品のグリチルリチン酸ジカリウム配合の物を使うと、肌荒れを防ぐ効果が期待できます

マスク生活の影響で、「ヨレにくい」「崩れにくい」メイクアイテムが増えました。40代以降の汗対策ができるブランドも誕生していますし、夏に向けてクールタイプのスキンケアやコスメが多数発売されます。気になった商品は、一度試してみてもいいかもしれませんね。


【汗トラブルにおすすめのコスメの一例】

●収れん化粧水
汗とともに皮脂量の分泌が増え、大人の肌は毛穴が開きがちになります。涙形のたるみ毛穴が目立ってきたら、肌の引き締め効果のある収れん化粧水を使うとよいでしょう。

●毛穴カバー下地
毛穴カバー下地は毛穴を目立たなくするだけでなく、肌をフラットに整えてくれます。Tゾーン、毛穴の目立つ頰、小鼻周りには部分的に毛穴カバー下地を仕込むのもおすすめ。上につけるファンデーションがキレイなままキープできるので、汗崩れ対策としても有効ですよ。

●リキッドファンデーション
厚塗り感が出るパウダーファンデーション、ムラになりやすいクッションファンデーションよりも、テクニック要らずで均一に伸ばせるリキッドファンデーションが使いやすいと思います。

●フェイスパウダー
リキッドファンデーションのあとは、フェイスパウダーで仕上げてください。フェイスパウダーには、粉が皮脂や水分を吸い取り、汗崩れを防ぐという機能が備わっています。今年はさらにその機能を強化したものや、つけると顔がひんやりするクールタイプも発売されています。

●メイクフィックススプレー
メイクフィックススプレーは、メイク仕上げのマストアイテム。「メイクキープスプレー」「メイクキープミスト」とも呼ばれ、メイクを肌に密着させる効果が期待できます。汗・皮脂によるメイクの崩れを防ぐので、更年期世代の強い味方。このひと手間で、より汗崩れしにくくなります。

メイク道具



汗をかきやすい人が取り入れたいスキン&ボディケア

ヤヨイ よく汗をかく場合、どんなボディケアをすればいいのでしょうか。お風呂に長めに浸かるといいのでしょうか。

今泉 のぼせがひどいときには、無理に湯船に浸かる必要はないですよ。その日の体調次第で、シャワーで済ませたり、ぬるめのお湯に浸かったり、調整するのが一番です。私自身、更年期を迎えて、長時間の入浴が苦痛になりました。 

それから顔、頭、体、すべてにおいて「洗いすぎ」はNG!ゴシゴシ洗いは肌荒れの原因になってしまうので、優しく洗ってください。体を洗うときにはナイロンタオルではなく、肌に優しい綿タオルや海綿などのスポンジを使うこと。汗で敏感になっているときには、洗浄力が高い石鹼を使わず、保湿メインのボディソープがおすすめです。 

また、洗顔時には洗顔料をよく泡立てて、肌の上で泡を転がすように洗ってください。手でゴシゴシ洗うと必要な水分と皮脂まで流してしまいます。すすぐ温度は32〜35℃が目安手で触ると意外と冷たく感じるかもしれませんが、肌の表面温度と同じくらいのぬるま湯がベストです。



【汗トラブルにおすすめのボディケア用品の一例】

●ボディソープ
汗のニオイを抑える、40代以降に適したボディソープも発売されています。ドラッグストアで気軽に購入できるので、検討してみてください。

●ボディクリームやジェル
ボディクリームを使う場合は、さっぱりした使い心地のものを選びましょう。
クールタイプのオールインワンジェルでボディケアをすれば、心地よくベタつきも気になりません。体の正中線は汗をかきやすいので避けて、腕、肘、膝、スネなどの乾燥しやすいパーツを中心に塗り分けてください。




とにかく汗がすごい!そんなときのお役立ちアイテム

ヤヨイ 汗が出たときに、使うといいアイテムはどんなものでしょうか。

今泉 分かりました。汗を落ち着かせることができるおすすめのアイテムをご紹介しましょう。外出時に持ち運べるものもありますが、みなさん荷物を増やしたくはないと思うので、自分に合うものだけを厳選してくださいね。

【汗を落ち着かせるアイテム】

●保冷剤をうなじに当てる
まずは保冷剤です。ガーゼハンカチやハンドタオルで包んだ保冷剤をうなじに当ててクールダウンしましょう。


●ミント系のアロマオイル(ロールオンタイプ)
外出先時にはミント系のアロマオイルがおすすめです。ロールオンタイプなら、小さいので携帯に便利。首筋やこめかみにつけて清涼感を感じていると、何もしないときよりも、早く汗が引く印象です。のぼせて熱っぽいときでも、清涼感を感じると大量に出ていた汗が徐々におさまってくるはずです。


●汗拭きシート
バッグに入れておくといいのが汗拭きシートです。汗が出てつらいとき、トイレの個室でサッと使えるのでとても便利です。

●パーソナル扇風機
軽量なパーソナル扇風機もホットフラッシュや汗トラブルのつらさを和らげてくれるアイテム。汗をかきやすい首の後ろや後頭部を冷やすのに使えます。



経験者が語る「更年期の汗トラブルを乗り切るコツ」

ヤヨイ 今泉さんは、ご自身も更年期世代で汗トラブルに直面していらっしゃることもあり、実感のこもったアドバイスがとても参考になります。どんなことに気を付けて毎日を過ごされていますか。

今泉 そうですね、汗トラブルを乗り切る生活のヒントはいくつかありますので、ご紹介してみますね。

●服装
基本的にはコットン100%の服がおすすめです。接触冷感のような機能性衣類は、一時的に冷たさを感じられて良いのですが、大量に汗をかいた後、逆に寒くなってしまうこともあるのでご注意を。パジャマは、綿やシルクなど肌あたりが良いものがいいですよ。吸湿性が高いので、就寝中に汗トラブルが起きても、それほど不快に感じません。
また、インナーは体を締め付けない物を選ぶといいでしょう。特に皮膚が薄い鼠径部は、汗をかきやすい上に、湿気がこもりがち。ショーツの股部分のゴムやレースが鼠径部に当たって摩擦が起こり、かぶれや湿疹が出ることがあります。私自身、更年期になってから、すべてボクサータイプのショーツに変えてみたら、鼠径部を締め付けず、汗をかいても通気性が良いので快適です。加えてお尻や太ももまで覆うので、椅子から立ち上がったときに汗じみにならずに助かっています。

●室温調節や空調
冷えすぎは良くありませんが、ホットフラッシュなど一時的にのぼせと発汗があるときは、冷房をつけて部屋を涼しくしてOKです。無理をしないのが一番です。

●睡眠
若いうちは短時間でも次の日に影響することはなかったかもしれませんが、更年期に無理は禁物。睡眠時間はたっぷりとるようにしましょう。私は平均7時間寝るようにしています。

●食べ物
にんにく、玉ねぎ、ニラ、チーズなどニオイの強いものを食べると、次の日に体臭が強くなりがち。私はお客様と距離が近くなるエステティシャンという仕事をしていたので、汗を抑えるためではありませんが、ニオイの強い食べ物は控えていました。施術中にホットフラッシュが起こり、汗とともにニオイがしてしまうのではないかと心配になったからです。

●飲み物
「体を冷やさないために温かいものを」というアドバイスを目にしますが、実際にホットフラッシュや汗トラブルが起きている時期には難しいものです。無理せずに、自分が心地よいと思える温度の飲み物をとってください。私は、以前と比べて、冷たいものを飲むようになりました。毎日冷たいルイボスティーをマイボトルに入れて持ち歩いています。

●飲酒や喫煙
あれもダメ、これもダメと枠をつくってしまうと逆にストレスが増えますよね。私は、お酒やたばこなどの嗜好品は、「適度ならば」問題ないと思います。むしろ、更年期は自分を甘やかすくらいの生活でいいと自分に言い聞かせています。

●ストレス対策
家庭、仕事、子育て、介護などのストレスが更年期に重なってしまったところ、汗トラブルがひどくなったというお悩みを聞くことがあります。上手に更年期を過ごすには、自分の好きなことに集中する時間を持てるといいのではないでしょうか。
同世代で、はつらつとしている人の話を伺うと、必ずと言っていいほど「推し活」 をしています。アイドルやアニメ、ドラマの俳優、中には和歌山県の動物園のパンダという人もいらっしゃいました。「好き」という気持ちが日々の原動力になるのでしょうね。

●家族や友人との付き合い方
家族間は近すぎて言動が乱暴になってしまうこともあるので、一旦冷静になる時間が必要です。汗トラブルをはじめとした更年期特有の体調はなかなか理解してもらいづらいので、家族の前で体の不調をはっきり伝えてもいいでしょう。私は必ず一人の時間を持つようにしています。
また、友人付き合いは適度な距離を保つことが大事。それぞれ環境や状況が異なるので、無理のない範囲で付き合うのが、自分が疲れないコツです。

●サプリメント
サプリメントは現代人に欠かせないアイテムです。現在私が飲んでいるのは、アルファリポ酸、ビタミンC、NMN、青パパイヤ酵素など。特定の効果を狙って摂るのではなく、美容や健康の全体的な底上げができるようなものを選ぶよう心がけています。いろいろ試しながら、自分に合ったサプリメントが見つけられるといいですね。

●婦人科の受診
ホットフラッシュから起こる汗トラブルが日常生活や仕事に影響してしまう場合は、婦人科や更年期外来などで相談するのがベストです。汗トラブルにかかわらず、定期的な婦人科検診は気持ちの安定にもつながります。



仕事中にもリラックスを。積極的に取り入れたいストレッチ

ヤヨイ 私は、デスクワーク中にもときどき汗トラブルが起こるので、「落ち着こう、落ち着こう」と思って余計焦ってしまうことがあります。仕事の合間にできるリラックス法はありますか?

今泉 ずっと張り詰めた状態で仕事をしていると、呼吸が浅くなってしまいますよね。仕事で疲れたときに、リラックスできるストレッチを取り入れてみてはいかがでしょう。

私自身、エステの施術前に、お客様と一緒に「吸って・吐いて」のゆっくりした呼吸を5回行っていました。その際、肩甲骨周りをほぐしてから行うと、リラックス度が高まる印象でした。心を落ち着かせるためには、肩甲骨をほぐすストレッチが有効だと思いますので、ここでご紹介しましょう。


【肩甲骨をほぐすストレッチ】

片手を前に出し下からもう片方をくぐらせ手のひらを合わせるようにします。肩甲骨がグッと伸びるので両方20秒ずつやると効果的です。




汗トラブルの対処法を知って、更年期をやりすごそう

ヤヨイ いろいろと対策を教えていただきましたが、汗をかいたときの対処法やケアを知っていると、どんなメリットがあるのでしょう。

今泉 ホットフラッシュによる大量の汗は、周りの人からも気づかれやすいので「恥ずかしい」と思って後ろ向きになってしまいがちですよね。でも、小さなケアと対処の積み重ねで、落ち着いた気持ちになれると思います。

私の経験談ですが、エステティシャンという職業上、エステ施術中に汗が大量に出てお客様の顔に垂れてしまったらどうしようと、いつも不安でたまりませんでした。

そんなとき、バストの上から背中までギュッとしめる「汗止めベルト」というバンドを見つけて購入したところ、下半身は汗だくでも胸から上は涼しい顔で施術ができるようになりました。

今の時代、いろいろな商品が開発されていますし、自分の症状に合ったアイテムを使ったり、工夫を重ねたりすれば、きっと「汗が出ても大丈夫」と思えるようになります。「きっと大丈夫」と安心できれば、気持ちに余裕が生まれ、コントロールしづらい汗トラブルも意外と減るものですよ。私自身、そうやって乗り切っています。

ヤヨイ なるほど…!今泉さんの前向きな考え方、とても参考になります!最後に、汗トラブルに悩んでいる更年期女性に、ぜひメッセージをいただけたらと思います。

今泉 個人差はあるものの、汗の悩みは更年期につきものです。私もホットフラッシュや発汗がひどく、一人だけ滝行をしたように全身びっしょりになることが多々あります。でも、汗対策のスキンケアやメイクをはじめとして、さまざまな商品が開発され、選べる時代になりました。きっとご自分の汗トラブルに合った商品や対策があるはず。あきらめずにいろいろ試して、汗トラブルを乗り切っていきましょう

ヤヨイ 今泉さん、今日お話を伺って、汗に悩んでいるのは私だけではないんだという気持ちになりました。今泉さんにお聞きしたことをもとに、自分に合ったアイテムや対処法を探してみようと思います。今日は本当にありがとうございました。

今泉まいこさん
肌育美容家、コスメ愛好家。40歳にして美容家を目指し、佐伯チズ氏に師事。美しい肌を育てる「肌育メソッド」でのプライベートサロンを主宰、「40歳からのセルフメイクレッスン」など美容家として活動中。美容Webメディアでライターとしても活動している。

ヤヨイ
47歳。中学生の子どもとの2人暮らし。バツイチのシングルマザー。子どもに手がかからなくなってきたので、仕事でキャリアアップに励んでいる。4年前から肩こりや倦怠感、目の疲れ、汗、イライラがひどくなってきて、肌のシワやシミも気になっている。

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