首のシワが気になる!更年期に取り入れたい、手や首のシワ改善策

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更年期世代のお悩みを、読者代表のヴィーナスが専門家に相談して解決する『お悩み解決隊』。今回は47歳のヤヨイが、年齢の出やすい手や首のシワについて、皮膚科医の川村都美先生に相談しました。シワの原因から今すぐできるスキンケア、生活習慣、食事による対策まで…。今すぐ年齢サインを改善したい人、必見の内容です!



顔以外に表れる年齢サイン!手や首にシワができやすいのはなぜ?

川村先生(以下、川村) ヤヨイさん、手や首元のシワは見た目の印象を大きく左右してしまうため、気になりますよね。手や首に年齢が出やすいのは以下のような理由によるものです。

・エストロゲンの減少、コラーゲンの減少
・肌のハリや弾力の低下
・加齢による皮膚の薄化

川村  そうなんです。年をとると皮膚が薄くなるのは、以下のような理由からです。


【皮膚が薄くなるメカニズム】

●表皮の菲薄化(ひはくか・皮膚が薄くなること)
ターンオーバーのサイクルが加齢のために長くなり、表皮近くの角層の水分量も減るため、表皮が薄くなります。

●真皮の菲薄化
真皮の主成分であるコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚の弾力性とハリを支える力が低下するため、真皮が薄くなります。

●バリア機能の低下
角層が薄くなり、水分を保持する力が低下皮脂の分泌も減少するため、皮膚のバリア機能が損なわれて乾燥しやすくなります。

川村 また、皮膚が薄くなる理由は年齢だけではないんですよ。ほかにもいくつかの要因があるのでお伝えしましょう。


【皮膚が薄くなる原因】

●ホルモンバランスの変化
特に女性は、閉経後に女性ホルモンが減少することで、コラーゲンの減少が加速します。

●光老化(紫外線)
長年の紫外線ダメージはコラーゲンやエラスチンを破壊し、皮膚が薄くなる現象(菲薄化)を進行させます。

●栄養不足
コラーゲン合成に必要なたんぱく質やビタミン、鉄分などの不足も、コラーゲン合成を阻害し、皮膚のハリや弾力性を失わせてもろくします(シワやたるみにつながる)。

●生活習慣
喫煙やストレス、睡眠不足や不規則な生活も、肌のターンオーバーを遅延させ、皮膚の老化を早める要因となります。



そもそも、体の不調は手や首に出やすいのです。例えば、以下のような理由からシワができてしまうことがあるんですよ。

・急激な体重減少による痩せジワ
・腸内環境の乱れから免疫力が低下(肌荒れやシワ、たるみといった肌トラブルの可能性)

肌の免疫力が低下すると、顔や首など、肌にトラブルが増えてきます。なぜなら、肌の免疫に重要な働きをするランゲルハンス細胞がうまく機能しなくなり、肌本来の防御力が低下してしまうから。

免疫力低下を招く原因は、紫外線の影響や不規則な生活(ストレス、疲労)、睡眠不足に不適切なスキンケアなど、日常にいろいろとひそんでいるのです。その結果、肌荒れや吹き出物、乾燥やかさつき、肌の炎症や赤み、かゆみなど、さまざまな肌トラブルを起こしてしまうので、日頃から注意が必要です。

川村 ちなみに、シワにもいろいろな種類があるのをご存知でしょうか。


【シワの種類と特徴】

●首の横ジワ
首の前面に水平に現れる線状のシワで、年齢とともに深くなる傾向があります。首を下に向ける動作の繰り返しによる皮膚の折り目ができて深くなります。乾燥、紫外線なども悪化因子となります。

●首の縦ジワ
首に縦方向に筋のように入るシワで、加齢によって目立つようになります。加齢による皮膚のたるみや、広頸筋(こうけいきん・首の筋肉)の緊張などがその理由です。特にあごの下から首の付け根にかけて入る筋状の細かい縦ジワは、加齢に伴って首の広頸筋が衰え収縮してくると顕在化します。

●ちりめんジワ
肌が乾燥して、細かいシワが気になり始める状態です。肌の乾燥や紫外線のダメージにより、肌のキメが荒くなることが原因で発生します。



首のシワの改善に良い生活習慣をチェックする



今日から始める!手と首のシワを改善するためのスキンケア

川村 手はとにかく乾燥させないことです。詳しくお話ししますね。


【手のシワケア】

●ハンドクリームを塗る

手洗いのたびにハンドクリームを塗りましょう。ハンドクリームは、手の皮膚のことを考えて作られているので、顔用のクリームで代用せず、手専用のものを使ってください。

ハンドクリームは、手洗い後はまめに塗ることをおすすめします。ゴシゴシ擦らず、クリームをたっぷりと優しく置くように塗ってください。とにかく一年中ケアすると良いでしょう。夜にハンドクリームを塗って手袋をして寝るケアがありますが、暑さと汗でかゆくなってしまう場合は避けてください。ハンドクリームは、ナイアシンアミドやセラミドといった成分の含まれたものがおすすめです。

なお、あかぎれはハンドクリームで治らないことが多いので、皮膚科の受診をおすすめします。

●石鹸の使い過ぎに注意

手洗いの際に石鹸を使う頻度を少なくしてください(たいていの汚れは水洗いで取れます)。

川村 加齢に伴い皮膚が薄くなり、皮下脂肪も減少すると、血管が透けて見えやすくなります。また、血管自体の弾力性が低下して拡張しやすくなることも原因です。遺伝や体質、痩せていること、手や腕を良く使う動作(作業や運動など)も、血管浮きやくぼみの要因となります。気になるようでしたら以下のような対策をしてみてください。


【手の血管浮きやくぼみの対策】

・今まで何もケアしていなければ、まずは保湿たっぷりのクリームを塗ってケアをする
・肌に良い栄養素を摂る(後述)
・美容皮膚科でアミノ酸が含まれている「肌育注射」を注射する
・手の甲にヒアルロン酸を注入する

川村 何も塗らないよりは、化粧水、乳液、美容液などの顔用のスキンケアアイテムを首まで伸ばして使うほうが良いですね。ただ首は顔より肌が薄いので、最後にネッククリームなどの首専用クリームを使うことをおすすめします。


【首のシワケア】

●ネッククリームを使う

首は顔よりも皮脂腺が少なく、皮膚が薄くてターンオーバーが遅いという特徴があります。そのため乾燥しやすく、シワやたるみが目立ちやすい場所です。ネッククリームは首の特徴にあった効能になっており、顔のアイテムより油分が多く作られている場合も。保湿とエイジング効果が高い成分が入っている製品がおすすめです。

ちなみにレチノールは高いエイジングケア効果が期待できる成分ですが、首の皮膚は顔よりもデリケートで反応が出やすいため、顔用のものよりも濃度が低く含まれている、刺激の少ない製品を使うようにしてください。

またネッククリームの塗り方ですが、皮膚を引っ張ったり擦ったりせず、置くように塗っていきましょう。シワが深い場合には、ひだのなかにもクリームが行き届くように、ひだの上の皮膚を持ち上げて内側まで塗ってください。



生活習慣で首のシワを改善!マッサージ法も伝授

川村 紫外線対策や姿勢など、ちょっとしたことに気を付けていただければ、手や首のシワのケアができます。


【シワを予防するための生活習慣】

●徹底した紫外線対策と保湿

まずは、基本中の基本である保湿と日焼け対策を欠かさないようにしましょう。日焼け止めは顔だけでなく、首や手にも必ず塗ることが大切です。手は日焼け対策用の手袋をするのもおすすめ。

●首のシワを防ぐ姿勢

スマートフォンを見る際などに下を向いて見ていると、首に横ジワができてしまいます。スマホを見るときには、目の高さに持ち上げて、首にシワが寄らないようにしてまっすぐ見るようにしましょう。

●水仕事での手袋の習慣化

料理や炊事など、水仕事をするときには手袋をしましょう。

●飲酒・喫煙は避ける

過度の飲酒や喫煙はしないようにしましょう。特に喫煙はシワ対策には良くありません。

喫煙がシワ対策にNGな理由は以下のとおりです。

肌への栄養が届かない(血行不良)… ニコチンの血管収縮作用により血流が悪くなり、肌へ栄養や酸素が届きにくくなります。その結果、肌の乾燥が進み、細かいシワの原因になります。

ハリ・弾力成分の破壊(活性酸素の増加)… タバコの煙に含まれる活性酸素が、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを破壊し、減少させてしまいます。

ビタミンCの大量消費… 体内で活性酸素を除去するためにビタミンCが大量に消費されます。その結果、コラーゲン生成に必要なビタミンCが不足し、肌のハリが失われシワが増えてしまいます。

●ストレス

ストレスを長い時間抱え込まないように心がけ、ストレス解消に努めましょう。好きな音楽を聴いたり、趣味を見つけたり、適度な運動を取り入れたりすると良いですよ。

ストレスがあるとビタミンBやCが消耗されてしまうので、これらの栄養素を普段より多く摂って補うよう心がけてください。

●質の良い睡眠をとる

睡眠を十分にとることが大切です。安眠に有効なホルモン(セロトニン)を作るトリプトファンというアミノ酸を多く含むホットミルクやバナナは、眠りの質を高めるといわれています。ほかには、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)サプリの内服も、睡眠の質を向上させたり、ストレス緩和に良いというデータがあります。

また、アロマテラピーを生活に取り入れるのもおすすめです。リラックスできる好きな香りを部屋に香らせたり、アロマオイルを使って脚をマッサージしたり、安眠を促す香りを枕にスプレーして寝たりしても良いでしょう。

なお、睡眠中に首にシワが寄らないよう、低めの枕を使うように心がけてください。

●適度な運動

日々、適度な運動を心がけ、健康的な生活を送りましょう。

川村 手首や指、首を伸ばすストレッチは、血行も良くなりおすすめですが、マッサージは、皮膚を擦ることになるので基本的におすすめできません。ただ、皮膚を擦らないように指のはらでたっぷりとクリームを塗るなら、冷え防止、血行促進につながりますね。


【シワ予防のためのストレッチ】

●手のストレッチ
手首や指を内側に曲げたり、外側に伸ばしたりするストレッチは、血行を良くしてくれます。

●首のストレッチ
首を前後、左右にゆっくりと倒して首の皮膚を伸ばしたり、首をグルグルと回したりするのも首のシワ予防に効果的です。



食生活からアプローチする、手と首のシワ対策

川村 まずは規則正しい食生活を送ることです。そしてたんぱく質、鉄、ビタミンA、C、E、亜鉛などは積極的に摂ること。また、肌の弾力やハリを保つコラーゲンなどの生成に必要な栄養素を意識して摂取しましょう。


【積極的に摂りたい!シワなし肌対策のための栄養素】

●牛すじ

肌の弾力やうるおいに大切なコラーゲンを多く含み、効率的に摂ることができる食べ物の代表的存在といえば、居酒屋メニューとしてもおなじみの牛すじです。ご家庭で調理する場合は、圧力鍋で柔らかく煮込んでスープにする方法がおすすめ。コラーゲンは熱を加えることで水に溶け出す性質がありますから、野菜と一緒にヘルシーなスープにして汁までしっかりいただきましょう。

●鶏皮・手羽先

鶏皮や手羽先も、コラーゲンを豊富に含む食品です。こちらも居酒屋のメニューとしておなじみですが、ご家庭では牛すじと同じく煮込みやスープにしていただくのがおすすめ。

ただし、脂質も多く含まれるため摂りすぎには気をつけましょう。

●レバー・ひじきなど鉄分豊富な食品

鉄分も肌の弾力には大切な栄養素です。なぜシワ予防に鉄分が良いのかというと、皮膚でコラーゲンが生成される際に鉄分を必要とするからです。美肌はもとより、貧血予防など女性の健康には欠かせない成分ですから、体調を整える意味からも毎日しっかり摂ると良いでしょう。

●いちご・キウイ、ブロッコリーなど

皮膚でのコラーゲン生成には、鉄分とともにビタミンCも欠かせません。ビタミンCは摂り貯めができない成分であり、コツコツ摂り続けることが大切です。いちごやキウイなどの果物のほか、ブロッコリーやパセリなどの野菜類、緑茶にもビタミンCが多く含まれています。

また、ビタミンCはコラーゲン生成に関わるほか、体内で老化の原因となる活性酸素の反応を抑える作用もあります。その他、シミやソバカスも予防するなど、まさに美肌維持に欠かせない栄養素ですから、お肌のために毎日しっかり摂るようにしましょう。

●鮭・マグロ・イワシなどの魚類

魚類に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、肌のハリに大切なコラーゲンやエラスチンの生成に必要な成分です。鮭・マグロ・イワシなどに特に多く含まれますから、魚を効果的に摂ることはシワ予防にもなるといえます。

●豆腐、豆乳、納豆などの大豆製品

豆腐や豆乳、納豆などの大豆製品に多く含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンによく似た働きをします。コラーゲンの生成を促進する働きがあるため、美肌のためにも積極的に摂りたい成分です。大豆製品には良質な植物性たんぱく質も多く含まれますから、シワ予防にとどまらず、肌を良い状態に保つために意識的に食べることを心がけましょう。

川村 控えたほうがいい食材ももちろんありますよ。


【控えたほうが良い食品など】

●脂質(油分)の摂りすぎ

脂質(油分)を摂りすぎると体内で脂肪分が酸化するため、美肌や老化予防に大切な抗酸化物質の消費を、脂肪の酸化のために促進してしまいます。また、余分な脂肪が顔に付くことで肌がたるみ、シワを作る原因となることも。

見るからに脂質の多い揚げ物やマヨネーズ、スナック菓子はあまり食べないという方も、サラダにかけるドレッシングやパウンドケーキなどの焼菓子、コーヒーフレッシュなどに多くの脂肪分が隠れていることもあります。脂質を摂りすぎていないか、一度食生活をチェックしてみましょう。

●アルコール類(お酒)

ビールやワインなどのお酒が好きという方も少なくないでしょう。でも、アルコール類を摂取すると、美肌に大切なコラーゲンやエラスチンなど弾力成分の代謝を抑制する「コルチゾール」という物質が分泌されやすくなります。飲みすぎた翌日に肌のツヤがあまりなくなり、なんとなくくすんで見えることが多いのもこの影響です。

おいしいお酒も適量を守って摂らないと、肌の弾力を低下させてシワの原因になることも。また、飲みすぎた翌日に起こりがちなむくみも、肌をたるませる原因です。

●糖分(糖質)の摂りすぎ

砂糖や主食などで糖質を摂りすぎると、肌に含まれるたんぱく質=コラーゲンが血中の余分な糖と結びつく「糖化」が起こりやすくなります。糖化したコラーゲンは「糖化生成物」(AGEs)とも呼ばれ、代謝されずに蓄積します。その結果、肌は徐々にくすんで硬くなり、弾力や柔らかさが失われ、シワができやすくなってしまいます。

●無理な「食べないダイエット」

食品ではありませんが、体重を減らしたいあまりに食事量を極端に減らしてしまうことも、美肌の維持には大きなリスクとなります。お肌はたんぱく質と脂質からできていますから、それらの両方が不足すれば肌状態が悪化してしまうのです。

シワ予防のために、無理なダイエットを避け、肌を作る良質なたんぱく質と適度な脂質、そして正常な代謝活動に欠かせないビタミン類をバランスよく摂りながら、健康的なダイエットを心がけましょう。



首のシワに困り果てたら、美容皮膚科も選択肢に

川村 年齢肌には美容医療も選択肢の一つです。気になったら、ぜひ美容皮膚科に相談してみてください。

フォト(フラッシュライトを照射してシミやシワなどの諸症状を改善する治療法)、レーザーやRF照射(ラジオ波を肌に照射してたるみやシワなどを改善する治療法)、肌育製剤の注射、マッサージピール(専用のピーリング薬剤をマッサージしながら肌に浸透させて肌のハリをアップさせる施術)、ヒアルロン酸や美容成分の導入(エレクトロポレーション等)、ヒアルロン酸注射、脂肪注入など、シワ対策のメニューはいろいろありますよ。例えば肌育注射は2週間ごと、計4回ほど施術します。ヒアルロン酸注射は、その製剤によって違いますが、一度打てば、一年ほど効き目が続くのが一般的かと思います。



「もう遅いかも」なんて思わないで。更年期から始めるケアが未来を変える

川村 完璧に20代の頃の肌に戻るのは難しいかもしれませんが、「もう遅い」ということは決してありません。思い立ったときに、いつからでもケアを始めれば必ず効果は現れます小さなケアの積み重ねが10年後のご自身の肌に大きな違いを生みますし、手や首のシワの状態も違ってくるはずです。

すぐに変わる、ヒアルロン酸や脂肪注入などもありますが、ヒアルロン酸は、いずれ吸収されてしまいます。つまり、一過性のケアに頼らず、日頃の地道なケアがとても大事なんです。シワ対策を毎日続けていくこと。とにかく、今できることから始めていきましょう!

<この記事を監修いただいた先生>

川村都美先生

川村 都美 先生
とみ皮膚科クリニック院長
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ヤヨイ

ヤヨイ
47歳。中学生の子どもとの2人暮らし。バツイチのシングルマザー。子どもに手がかからなくなってきたので、仕事でキャリアアップに励んでいる。4年前から肩こりや倦怠感、目の疲れ、汗、イライラがひどくなってきて、肌のシワやシミも気になっている。

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