乾燥する冬に必読!角膜保護にも大切な、ドライアイの治し方
更新日: 公開日:
セルフケア

更年期世代のお悩みを、読者代表のヴィーナスが専門家に相談して解決する『お悩み解決隊』。今回はドライアイをとり上げます。管理職でバリバリ働くナオミが訪ねたのは眼科医の西之原美樹先生。パソコンで作業していると目が乾くというお悩みに、西之原先生が即対処できるドライアイの治し方をレクチャーしてくれました。果たしてその方法とは…?
更年期に目が乾く!ドライアイになるのはなぜ?
ナオミ 先生、冬になって特に目が乾くような気がしています。オフィスでパソコン作業をしていると、目が痛くなって画面がかすむこともあるんです。いわゆるドライアイだと思うのですが、どうしてドライアイになってしまうのでしょう。
西之原先生(以下、西之原) ナオミさん、それはお困りですね。ドライアイは、涙の分泌や維持が低下して、眼球の表面を保護する涙の量や質が低下するために起こります。
【ドライアイの症状】
・目の乾燥感
・充血
・かすみ
・疲れやすい
・視力低下
・ひどい場合は肩こり、頭痛などの身体症状も

ドライアイを放っておくと、角膜が傷つき目の痛みが強くなります。ひどい場合には傷が治らず、強い目の痛みで目が開けていられなくなることもあるんですよ。これを繰り返すと、最悪の場合、傷跡が白く濁って視力低下の原因にもなります。
ナオミ えっ!そんなことになるとは思ってもいませんでした。
西之原 目を乾燥から守ったり、汚れやゴミを流したりするために涙があるのはナオミさんもご存知だと思いますが、更年期になると、女性ホルモンのエストロゲンが減少して体の潤いが低下するため、ドライアイになりやすいんです。
また、ストレスや生活習慣もドライアイに深く関わっているんですよ。ストレスや生活習慣の乱れによって、血流が悪くなったり、免疫力が低下したりすると、涙腺など細胞の機能そのものが悪化します。その結果、涙の分泌量も低下してしまうのです。
さらにストレスや生活習慣のせいで、瞼(まぶた)にあるマイボーム腺(涙の蒸発を防ぐ油を分泌する器官)の働きまで低下し、目の表面が非常に乾きやすくなってしまうこともあります。
ナオミ 思い当たるふしばかり!どうりで私のドライアイは治らないはずだ…。

ドライアイが悪化するNG習慣とは
ナオミ 日常生活で、どんな悪習慣がドライアイを加速してしまうのでしょうか。
西之原 ドライアイが悪化するNG習慣にはいろいろあります。例えば…。
【ドライアイが悪化するNG習慣】
●エアコンを強くかけている部屋で、長時間パソコンやスマホを見る
エアコンで室内の空気が乾燥している部屋のなかで、長時間、スマホやパソコンの画面を休憩もせずにずっと見るのは良くありません。瞬きの回数が減り、涙を分泌する涙腺が刺激されず、涙の分泌量が減ってしまいます。
●まつげの生え際ギリギリまでメイクをする
まつげの生え際ギリギリに太いアイラインやマスカラ、アイシャドウをつけるのはNGです。まつげの生え際にあるマイボーム腺に炎症を起こさせる原因となってしまいます。
●頻繁に目をこする
目をこすると、目の表面を傷つけるほか、雑菌をこすり付けてしまう場合もあります。そのため炎症が起きて、涙の分泌が邪魔されることにもなりかねません。瞼の腫れの原因になることもあります。
●ソフトコンタクトレンズの長時間装用
ソフトコンタクトレンズは涙を吸い取る性質があるためドライアイになることも。そのため、装用時間は最小限にしたほうが良いでしょう。特にお洒落で使用するカラコン(カラーコンタクトレンズ)はレンズのサイズが大きいので、より目が乾燥してしまいます。着けたままで寝てしまうと、レンズが目にくっついてしまったり、目の表面が傷ついてしまったりすることがあるので気をつけてください。
●過量な飲酒や喫煙
飲酒によって瞼が腫れることがありますし、喫煙は毛細血管の血流を悪くしてしまいます。その結果、涙(水分)やマイボーム腺からの油の分泌機能が低下してしまい、目が乾燥するのです。

ドライアイを集中的に治したい人の、速攻セルフケア
ナオミ お話を伺っていて、ドライアイのままでいると、目に良くないことが分かりました。ドライアイだと感じたら具体的にどのように対処すればいいのでしょう。
西之原 それでは、ここからはドライアイを感じたときにすぐにできる対処法をお伝えしますね。ぜひデスクワークの合間にトライしてみてください。
【ドライアイを改善する速攻対策】
●マッサージ
まつ毛の根元にあるマイボーム腺を優しく刺激して油の分泌を促すために、マッサージをおすすめします。上瞼は上から下へ、下瞼は下から上に各10回ほど軽く押さえます。このとき、目を強くこすらないように注意してください。
もし瞼が腫れてきたり、まつ毛の根元に白く丸いニキビのような炎症が見られたりしたら、分泌腺が詰まっている可能性があります。その場合は、分泌腺の出口近くで、詰まりの原因となっている油を押し出してもOK。ただし、力が強すぎると目を傷つけてしまう可能性があるので、痛くない程度の力で押さえるのが基本です。
●ツボ押し
ドライアイに効くツボを押すのもおすすめです。1つのツボを痛気持ちいいくらいの強さで、5回くらいゆっくり押さえると良いでしょう。
【目の乾きが気になる人におすすめのツボ】
・太陽
・印堂
・攅竹(さんちく)
・四白(しはく)
・晴明(せいめい)

●目を温める
マイボーム腺の分泌を良くするために、火傷しない程度(40~42度くらい)に温めたホットタオル、又は市販のホットアイマスクで5~10分、目を温めましょう。目を温めると、目の周りの筋肉の血流も良くなりますのでおすすめです。
●目薬を差す
ドライアイが気になったら目薬を差すのもひとつの手です。
市販の点眼液は、何種類もの成分が少しずつ含まれていて、ドラッグストアで気軽に購入できて便利です。市販の点眼液では、“乾き目用“と書かれているものがドライアイ用ですが、人工涙液は涙と同じ濃度の生理食塩水にすぎません。ヒアルロン酸が含まれていると書かれている目薬のほうが、より高い保湿効果が期待できます。
ただし、厚生労働省から濃度の制限が指定されていますので眼科で処方される目薬の方が、含有されている成分濃度が高い分、より高い効果が得られます。
なお、防腐剤の含まれている点眼液は開封して1か月、防腐剤が含まれていない目薬は5~7日で使い切って破棄するようにしましょう。
ナオミ ありがとうございます。これならドライアイが気になったときに簡単にできそうです!意外だったのが目薬です。開封後に使い切る目安があったんですね。気を付けて使いたいと思います。
体のなかからじっくりアプローチ!生活習慣を見直し、目の疲れを改善
ナオミ ドライアイを改善するために、生活習慣も整えていきたいです。ぜひアドバイスをお願いします!
西之原 分かりました。例えば睡眠、入浴、食事、運動について気を付けていただければ、ドライアイとともに目の疲れも改善できますので、ぜひこの機会にご自身の生活を見直してみてください。
【日常生活のポイント】
●睡眠
睡眠はぜひ、長さより質に目を向けてください。以前は睡眠時間が長いほうが良いとされていましたが、最近のデータでは、世界的にも「睡眠は時間の長さより質が大切である」とされています。なぜなら、睡眠時間の短い日本人の平均寿命が長いと出ているからなんです。
睡眠の質を悪化させる原因はいろいろありますが、なかでも注意したいのは、寝るギリギリまでスマホを見ていること。ブルーライトのせいで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が低下して熟睡できず、睡眠の質が大きく低下してしまいます。そのため、スマホは寝る1時間前には見るのをやめてください。

●入浴法
疲労回復には38~40度のお湯で10~15分入浴するのがおすすめです。副交感神経が刺激されてリラックスできますよ。42度以上の高温だと、血流は良くなりますが、交感神経が刺激されて血圧が上昇し、心臓に負担がかかる場合がありますので注意しましょう。
●積極的に摂るべき栄養素
食べ物でドライアイが治ることはないですが、目に良いものを摂ることが大切です。涙の油分を増やすオメガ3脂肪酸や、ビタミンA、C、Dが含まれている食品を積極的に食べましょう。
【目のために摂ると良い栄養素】
・アントシアニン:抗酸化作用で毛細血管の働きを安定させ、血流を改善
(含まれている食材)ブルーベリー、アサイー、ブドウ
・オメガ3脂肪酸:涙の油分を増やす
(含まれている食材)青魚、サバ、イワシ、サンマ、亜麻仁油
・ビタミンA:角膜表面の細胞の新陳代謝を促進し、涙の分泌を調節
(含まれている食材)うなぎ、レバー、ほうれん草、人参
・ビタミンC:涙の分泌を増やす
(含まれている食材)柑橘類、パプリカ、ブロッコリー、水菜
・ビタミンD:涙に含まれる油分の分泌を増やす
(含まれている食材)きくらげ、舞茸
・アスタキサンチン:抗酸化作用で網膜の機能を保護・改善
(含まれている食材)サケ、エビ
【目のために摂らないほうが良い食べ物】
高脂肪食はマイボーム腺が詰まりやすくなりますので、避けたほうがベターです。
●運動
運動量が多い人ほど涙の分泌が多いと報告されているデータがあります。ドライアイに良い運動というのは思い当たりませんが、更年期の女性にはヨガやピラティスなどが手軽にできる運動としておすすめです。

ほかにもあるドライアイと目の周りのお悩み、先生に聞いてみた
ナオミ 今日のインタビューで、先生にお伺いしようと思っていた質問がまだまだあるので、もう少しお聞きしてもいいでしょうか?
西之原 もちろんです。ナオミさん、何でしょう。
Q. 目の周りのシワや目の下のクマ、たるみはドライアイと関係がありますか?
ドライアイや加齢によって結膜が徐々にたるみ、ドライアイの悪化や目の異物感、充血が起こります。この状態を結膜弛緩症といいます。
結膜弛緩症は、スキンケアやアイクリームで治るわけではありませんが、クリームを塗りながら目の周りを軽くマッサージすると、毛細血管の血流が良くなり、改善することができます。このときに使うアイクリームは、保湿効果の高いものがおすすめです。
ちなみに更年期世代で、しわ取り効果のあるレチノールや、シミ対策のビタミンC、ハイドロキノンの含まれているクリームをお使いの方もいることでしょう。実はレチノールやビタミンCは、代謝を早めて皮膚の表皮が早く剥がれるように促す効果があるため、使用すると乾燥しやすくなります。市販のレチノールは濃度が低いので、使用法を守れば問題はありませんが、ドライアイの方、皮膚の乾燥が気になる方は、レチノールやビタミンC入りのクリームを使用した後に、保湿効果の高いクリームを重ねてください。

Q. 暖房の効いたオフィスで、連日、一日中パソコンに向き合う仕事の場合、どのようにドライアイ対策をすればいいでしょうか。
A. 1時間に1回は目を5~10分休めて、ホットアイマスクで温めたり、点眼をしたりするのが理想です。室内では加湿器を使用すると良いでしょう。
Q. 視力回復には遠くの緑を見ると良い、と言われますが、ドライアイの場合も同じでしょうか。
A. 緑を見ると、ものの見え方は良くなりますが、涙の分泌が良くなることはありません。
Q. セルフケアで改善せず眼科を頼る場合、クリニックではどのような治療が行われますか?
A. まず、2つの主な検査を行い、ドライアイかどうか診断します。
【ドライアイの診断方法】
シルマーテスト:目盛りのついたろ紙を下瞼の端に5分付けて、涙の分泌量を調べる
フルオレセイン染色法:目を染色して2~3回まばたきをした後、角膜上の涙の量を見る
ドライアイと診断された場合は、以下のような治療が行われます。
【治療の一例】
・点眼液 (ジクアス点眼液、ヒアルロン酸点眼液、ムコスタ点眼液などを処方する)
・眼軟膏(がんなんこう・油の成分に薬を混ぜたものを処方する)
・涙点プラグ(コラーゲンを使用した涙点プラグを、涙が出る涙点に入れて、涙が逃げないような処置をする)
・レーザー照射(目の周りに月1回レーザーを照射して、マイボーム腺の分泌改善をする)
ナオミ ありがとうございます!ドライアイについてしっかり理解できたと思います。「更年期は目が乾きやすい」ということを念頭に置きながら、オフィスでも対策をしていきたいと思います。

ドライアイを治して、すっきりした毎日を送ろう
ナオミ ああ、先生にもっと早く、ドライアイについてお聞きできていればよかった!ドライアイを自覚してから、対処をせずにずいぶん放置してしまった気がします。今からケアしても対処は間に合いますか?
西之原 もちろん、悪化の程度にもよりますが、今からケアするのとしないのとでは、10年後に必ず大きな差が出ますよ。
目の角膜は5層あって、最表面の細胞は1週間で再生されて入れ替わるのですが、一番下の内皮細胞は二度と再生されない細胞です。内皮細胞はドライアイによってダメージを受け、形が崩れて小さくなり、形が保てなくなると死んで数が減ってしまいます。内皮細胞が減ると、見え方の質ももちろん低下します。
でもね、ナオミさん、今や人生100年時代。更年期はちょうど折り返し地点です。更年期世代の方々は、日々老化と戦いながら、毎日を快適に過ごそうと工夫されているはずです。もう年だといって諦めず、日々少しずつでいいので、努力を積み上げてください。
ご自身の体も科学も、進化し、進歩しているのです。ぜひ新しいケアを取り入れて生活を改善し、毎日を楽しみましょう。ポジティブな気持ちは老化も寄せ付けないはずです。
ナオミ 先生、前向きなメッセージ、すごく励まされました…!今できることを粛々と対策していけば、目の乾きも体調も良くなる気がします。先生からお伺いしたドライアイ対策、早速今日から始めてみます。先生、今日は本当にありがとうございました!
<この記事を監修いただいた先生>

西之原 美樹 先生
アイリスター麻布クリニック院長
▼詳しいプロフィールを見る

ナオミ
52歳。未婚。仕事では管理職としてバリバリ働いている。約1年前から頭痛や肩こり、目の疲れがひどくなり、最近では高血圧や高コレステロール、肌の乾燥の症状も。生理周期が極端に短くなってきているのが悩み。





